インターネット広告やチラシで、「ショッピング枠の現金化」「クレジットカードの現金化」などの文言を目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。

クレジットカードは、現金を持たずにショッピングができる利便性の高いツールですが、「ショッピング枠の現金化」の仕組みについてはイメージしにくい部分もあります。

この記事では、ショッピング枠の現金化の仕組みとリスク、法的問題点などについて解説していきます。

ショッピング枠の現金化とは?

ショッピング枠,現金化
(画像=PIXTA)

多くのクレジットカードには、買い物の際に現金がなくても商品を購入できるショッピング枠と、現金を借りることができるキャッシング枠という2つの枠が設けられています。

ショッピング枠は、あくまでも何かを購入した決済のために使われるものです。これを利用して現金を入手することが「ショッピング枠の現金化」と呼ばれています。

一般消費者にショッピング枠の現金化を促す業者は、現金化業者と呼ばれており、過去には何度か摘発、検挙された事実があります。それでも撲滅にいたらないのは、犯罪としての立証が困難だからといわれています。

一方、利用者も切羽詰まっているため、法的にまずいことだと認識しながらも利用しているのです。損をすると分かっていても直ちに現金が必要で、背に腹は変えられないケースも多いと考えられます。

ショッピング枠の現金化4つの手法

ショッピング枠を現金化する具体的な方法は、以下の4種類です。

・買取方式

業者が利用者にブランド店や家電量販店などで換金性の高い商品をカードで購入させ、手数料を差し引いた額で商品を買い取る手法です。

・キャッシュバック方式

業者が自店で販売している、商品価値の極めて低いものを利用者にカードで購入させ、手数料を差し引いた額をキャッシュバックする手法です。

二束三文の安価な商品を高額でネット購入させ、購入代金の何割かを利用者の指定した口座に振り込むといったパターンで、形式上は、商品と支払いのやりとりが存在するところがポイントです。

・買戻方式

業者が利用者に自店で販売している返品特約付きの商品をカードで購入させ、手数料を差し引いた額で特約に基づいて商品を買い戻す手法です。もともと特約付きの商品なので、一見合法的に見せやすいやり方です。

・直接購入方式

利用者がカードでダイレクトに現金を額面以上の額で購入する手法です。現金を売買することは一部の場合を除いて合法とは言えません。かなり違法性が濃い手法と言えます。

ショッピング枠の現金化のデメリット

違法であることに加えて、ショッピング枠の現金化には大きなデメリットが2つあります。

・確実に損をする取引になる

どの手法を取っても、入ってくる現金以上の額の引き落としが待っています。

得られる現金とのちに支払う引き落とし額との差額を金利に置き換えると、キャッシングや消費者金融よりも高金利になる場合が多く、100%損をする取引であることは間違いありません。

利点は、ほかで資金調達ができない場合に、手軽かつスピーディーに現金を手に入れられるという点だけです。しかし利用すればするほど負債が積み重なります。

・不正と判断されると一括請求される

カード会社に不正とジャッジされた場合は、一括返済を求められることもあります。そうなると、ショッピング枠を現金化した利用分だけでなく、正規利用分も一気に返さなくてはなりません。

もともとお金に困っていた場合、利用額が大きければ、さらに困難な状況に陥いることになるでしょう。

ショッピング枠の現金化のリスク

ショッピング枠の現金化にはデメリット以上に重大なリスクがあります。

・犯罪や詐欺に遭うリスク

ショッピング枠を現金化して利益を得ようとする業者には、悪質な会社が多いと言えます。実際に、ショッピング枠の現金化のために使ったクレジットカードの情報が盗まれたり、現金が約束どおり振り込まれなかったりという詐欺被害も出ているようです。

・利用規約違反でカード停止となる

現金化は、カード会社の規約に明らかに違反する行為であり、発覚した場合は利用停止や契約を解除されてしまうこともあります。

ブラックな履歴が信用情報に刻まれ、その後はクレジットカードやカードローンなどの審査に通りにくくなるでしょう。

自己破産さえできなくなる免責不許可事由

免責不許可事由は、簡単に言えば自己破産ができなくなる状態です。現金化を行うと、経済的に困った場合の最終手段となる自己破産さえも行えなくなるおそれがあります。

破産法の「不当な債務負担行為」とみなされる可能性があり、法的に免責が認められません。

極論を言えば、ショッピング枠の現金化によって借財を減らして自己破産を避けようとしても、行き詰まってしまうと自己破産すらも不可能になる場合があるのです。

ショッピング枠の現金化は合法か違法か?

現状では、ショッピング枠の現金化は、明確な法律違反とはなっていません。

なぜなら現金を買う直接購入方式以外は、形式上は、買い物をして単に不要なものを売った」、あるいはキャンペーンのようにキャッシュバックを受けただけに過ぎないからです。

同じ行為でも、確信犯でショッピング枠を現金化したのか、良かれと思って買ったが気に入らないから買い取ってもらったのかは非常に曖昧であり、第三者から見極めがつきにくいと言えます。そのため黒とも白ともいえないグレーな取引なのです。

現金化業者が検挙された事例もありますが、罪に問われたのはショッピング枠を現金化したプロセスそのものではありません。現金化する際の差額を金利として考えたときに、出資法で定める上限金利を上回っていたからなのです。

とはいえ、カード会社の規約にはショッピング枠の現金化を目的とした利用を禁じる条文があるので、それに反する現金化はリスクのある行為であることは間違いないでしょう。

法的にグレーだからやってもよいという考えは、持つべきではありません。

現金化を利用する側の違法性とは?

ショッピング枠の現金化は、金利の設定が違法行為となり業者が検挙されています。では、利用する側には問題はないのでしょうか。

実は、利用者が検挙された事例はありません。しかし現金化業者を利用することは合法かというと、そんなことはないのです。

まずカードで購入した商品は、代金が完済されるまではカード会社が法的な所有者なので、勝手に転売することは「横領罪」にあたる可能性があります。またショッピング枠を現金化するためにカードで商品を購入することは、カード会社からお金を詐取する行為として「詐欺罪」にあたる可能性もあるのです。

そのため、現金化業者を利用する側も、罪に問われる可能性があります。

現金化業者の摘発事例

2011年に現金化業者が初めて検挙されました。警視庁は、ショッピングを装った事実上の金融業者であると断じて、この業者を貸金業法及び出資法違反で摘発したのです。前述のように出資法の上限金利を大幅に超過していたので、出資法違反に問われました。そのうえ、貸金業の許可を受けていなかったので、貸金業法違反にもあたりました。

この業者は、サイト上で公安委員会の許可を受けているなどの虚偽の文言を使用し、あたかも合法的なサービスであるとの印象を与えようとしていました。実際のところは、公安委員会は単に「古物商」の許可を与えているだけで、中古品の売買を行うことが許可されているだけだったのです。

これ以降も、多くの現金化業者が検挙されています。

日本クレジット協会の認可を偽る現金化業者

社団法人日本クレジット協会は、公式に現金化業者に関して言及し、消費者に注意を呼びかけています。同協会が認可したかのように、虚偽の情報を現金化情報サイトにおいて流す現金化業者についてです。

現金化業者らは、サイト上で「ショッピング枠のキャッシュバック方式によるショッピング枠の現金化は合法であり、現金化業者は社団法人日本クレジット協会の認可を受ける必要がある」と記載していました。

同協会ではキャッシュバック方式に限らず、ショッピング枠の現金化という行為自体をカード会員規約に反する問題ある取引として解釈しています。当然ながら、現金化業者を認可するようなことは一切ありません。また取締当局や監督官庁と連携しつつ、ショッピング枠の現金化排除に向けた対策を展開しています。

同協会の認可を受けているなどの虚偽の情報で消費者を安心させ、だますような現金化業者には要注意です。

リスキーな現金化は避けて正攻法で借りよう

ここまで見てきたように、ショッピング枠の現金化は限りなく違法に近いグレーゾーンです。どうしても現金が必要で借りられるあてがないとしても、ショッピング枠の現金化は思いとどまりましょう。

数日間待てるのであれば、金利が低めの銀行カードローンがおすすめです。また審査に通りやすく、即日融資も可能な消費者金融のカードローンもあります。質屋も現金化業者よりはるかに健全です。

いくらお金に困っていても、法に触れかねないショッピング枠の現金化だけは、絶対に利用しないようにしましょう。