「2011年はPTS(私設取引システム)元年になる」と想定していた通り、PTSによる取引は拡大している。このことが証券取引所をめぐる業界再編成を加速させるだろう。

イメージ撮影●村越将浩 人物撮影●永井 浩

連載第11回 資本主義の危機に備えて「経済脳」を磨きなさい!本年が「PTS元年」となり業界再編成が起こってくる
(画像=ネットマネー)
連載第11回 資本主義の危機に備えて「経済脳」を磨きなさい!本年が「PTS元年」となり業界再編成が起こってくる
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PTSの取引シェアは東証の取引シェアの4〜6%に達している

私は、昨年末から「2011年はPTS元年になる」と指摘してきましたが、日本でもPTSというものが大きな市場として育ってきており、まさに今年は「PTS元年」と呼べる状況になってきています。PTSは、証券取引所を介さずに株式を売買することのできる、証券会社が開設した私設の電子取引システムです。

現在、日本におけるPTSのシェアは、「ジャパンネクストPTS」(SBIジャパンネクスト証券が運営するPTS)と「Chi ‒ X JAPANPTS」(チャイエックス・ジャパンが運営するPTS)が合計で約85%を占めているのですが、すでに東京証券 取引所(以下、東証)比でそれぞれ2〜3%程度のシェアを持っており、2社合計で東証のシェアの4〜6%程度に達しています。

日本では2005年に証券会社に対して取引における「最良執行義務」が導入されましたが、実際にはいまだに定着していません。このような状況はまさに異様と言うほかなく、投資家保護の観点に立つならば、最良執行を行なわなくても許される現在の仕組みは直ちに改変されなくてはなりません。

たとえば欧米では、最良執行を行なわなければ投資家保護の観点から当局に罰せられるのが当たり前で、なぜ日本ではいまだに投資家が不利益を被るような状況になっているのか私には理解できません。これは即刻改めるべき問題であり、投資家がより有利な株式の売買執行を行なえるマーケットで取引できるようにすることを証券会社の責務として負わせるべきではないかと思っています。

それらが制度化されれば、東証よりも呼び値が小刻みに設定されているPTSは投資家にとって非常に利便性の高いサービスであることが明確になります。ただし、PTSの拡大を抑える要因が制度的に存在しており、とりわけ「5%ルール」(証券取引所外で株式の5%超を買い付ける場合は「TOB=株式公開買い付け」を行なわなければならない)、および「10%ルール」(PTSの運営において、取引量が対国内全取引所比の全売買代金の10%を超えてはならない)という取り決めは何とか変えていかねばならないと私は強く思っています。

日本ではおびただしい数の時代遅れの規制がいまだに敷かれている…

このように日本ではおびただしい数の時代遅れの規制がいまだに敷かれているわけですが、規制当局に変革の必要性を訴え続けて改善させるという努力をしていかない限り絶対に変わることはありえませんから、私は今後も提唱し続けて変革を促していこうと思っています。

これまでの金融制度改革への取り組みによりもたらされた成果の中から2点だけご紹介しますと、①日本証券クリアリング機構がPTSにおいて成立する有価証券の売買の債務引き受けを昨年7月にようやく開始したこと、②