ハイスクール
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【相場概況編】FX――世界的な政策協調は急激な円高を防げるか

年初からのマーケットの混乱は、G20での圧倒的な政策協調の合意と、それを受けた主要国のスピーディーかつ力強い政策の実行でいったんは収束したかのように見えた。しかし、3月末からは急激な円高となり、米ドル/円は一時107円台に突入。世界政府は再び〝力業〞で、安定を取り戻せるのか…。

「過度な為替変動は断固許さない」というお上からの強烈宣言

2月末にG20(20カ国・地域)の財務相・中央銀行総裁会議)が上海で開催されました。以前はG7(主要7カ国)、G8(主要8カ国)といった先進国だけが集まって世界経済の方向性を協調していくことが模索されていましたが、現在はこのG20がその大役を担っています。

このような重要な会議では 必ず「声明文」が公表されますが、これは集まっている国や地域の〝約束事のまとめ〞にほかなりません。G20前後には関係者からさまざまな発言や思惑が語られるのが常ですが、声明文に盛り込まれていることに対して、全参加者が同意しない限り声明文は公表できないので、この声明文を元に判断するのが確かです。

今回の声明文では、為替について大きく分けて2つのことが約束されました。ひとつは、従来の約束をreaffirm(再確認)したことです。毎回毎回繰り返し〝再確認する〞ことですが、「われわれは、通貨の競争的な切り下げを回避することや競争力のために為替レートを目標とはしないことを含む、以前の為替相場の約束を再確認する」ことになりました。

そして、今回これに新たに加えられたのが、2013年2月12日のG7声明文と同様に、「われわれは、為替レートの過度の変動や無秩序な動きは、経済および金融の安定に対して悪影響を与えうることをreiterate(再確認)する。われわれは、為替市場に関して緊密に協議する」という文言でした(〝ドン麻生氏〞が強引に押し込んだことは容易に想像がつきますが……)。

通貨切り下げ競争に関する約束同様に英訳すると「再確認」となっていますが、使っている単語は「reaffirm」「reiterate」と別です。

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これは、G7での約束は、2013年から今回2度目の再確認(reiterate)という意味合いでもあります。簡単に言えば、「日本は無秩序な為替市場の動きに対しては対応させてもらいますよ。文句はありませんよね」ということ。

今月のマーケット先生

和田仁志
グローバルインフォ 代表取締役社長。シティバンク銀行、スタンダードチャータード銀行でディーラーとして活躍後、証券会社でFXを立ち上げるなど、業界に精通。

【投資戦略編】FX――スイングトレードなら、今年だけで利益42%!

急変動がたびたび起こる為替市場。長くポジションを持っているのが怖い人も多いはず。そんなときは、eワラントのスイングトレードが有効だ。

「eワラント」って何?
3000円で為替や株にレバレッジ投資できる!
3000円程度からの少額資金で、為替や株、原油、金などの幅広い資産に投資できる金融商品。相場の値上がりだけでなく、値下がりも収益機会になるタイプの商品(プット)があるのに加え、レバレッジを利かせた投資効率の高い運用ができるのが特徴。

3カ月で4回の売買。元手100万円が142万円になった!

まだまだ値動きの荒い為替市場においては、トレード期間の圧縮が損失リスクを抑える有効な手段のひとつになります。とはいえ、会社員の方など相場に1日中張り付いていることが難しい投資家にとって、デイトレードの実践は簡単ではありません。一方、長期投資では相場の急変動はおろかショック相場さえ見逃すリスクがあります。

その点、数日から数週間で損益を確定させるスイングトレードなら、1日1回の相場チェックだけでも、ある程度は臨機応変に利益確定や損切りを行ないながらポジョンを調整することが可能です。

特に損失の回避を重視するのであれば、相場が急変動しても強制的にポジションが決済されないeワラントは、為替相場でスイングトレードを行なうのに適しています。

スイングトレードの基本はまずトレンドに乗ること。トレンドの判断には、テークニカル分折による日足のパラボリックが売り・買いのサインがシンプルでわかりやすく、初心者向きです。

具体的には、パラボリックで買いシグナルが出れば米ドル高(コール)型を買い、売りシグナルが出れば米ドル安(プット)型を買う、というのが基本的な戦略です。

今回は100万円を元手に、パラボリックを使ったスイングトレードをeワラントで実践した場合のシミュレーションをしてみました。期間は今年1月から3月上旬にかけてで、図はその売買タイミングを示したものです。

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その結果、米ドル高型の買いが2回、米ドル安型の買いが2回、計4回の売買が発生。新規買い付け時にはすでに保有しているeワラントを売却する仕組みにしました。

1回当たりの投資期間は1週間から20日程度。勝率は3勝1敗で、1回当たりの最大利益は約48万円。損失は7万2000円、最終利益は42万3170円となりました。

最大利益の48万円が出たのは、2月3日に買い付けた米ドル安(プット)型。円高トレンドが続いたことによる値上がりが寄与した形です。

一方、損失が出たのは最後の米ドル高型の買い。これはまさにパラボリックとeワラントの弱点が出た例です。パラボリックはトレンドが出ていない(弱い)ときは効きにくく、相場水準が大きく変わらずに時間だけが経過するとeワラントの価格は目減りしてしまいます。

このシミュレーションは、実際の売値と買値の当日終値をもとに計算した、コスト込みのリアルな結果です。

パラボリックとeワラントの強みと弱点を理解したうえで丁寧に戦略を練ることで、スイングトレードの成績を引き上げることは十分可能といえそうです。

もうひとつ重要なのは、G20が「金融政策だけでは限界」があり、「財政政策」を模索していく必要性で一致したことです。

米欧中は即行で政策を実施。日本は追加緩和と経済対策をセットで

議長国の中国は、先陣を切って「追加利下げ」を実施。全人代においても「公共投資の拡大」をうたったほか、通貨取引にトービン税(金融取引課税)を課すことで、今年に入ってからの市場混乱の元凶となっていた「資本流出」を抑制するために動きだしました。

ECB(欧州中央銀行)は3月10日、大規模な追加金融緩和を実施。FOMC(連邦公開市場委員会)はその1週間後に、「市場情勢」という本来米国の金融政策決定の判断材料とはなりえない事象に焦点を当てることで、予定されていた利上げを見送るといった、最大限の〝配慮〞を見せました。

残る日本ですが、国際金融経済分析会合に出席したスティグリッツ米国コロンビア大学教授が「現在、消費税は間違った方向だろう。安倍首相には今は消費税増税の時期ではないと述べた」と発言するなど、G20以降、安倍政権が目指す方向性を外堀から埋めようとするあからさまな〝出来レース〞が展開されています。「消費増税延期」が現実的となりつつある中、黒田日銀総裁の次の一手となる量的・質的追加緩和が、5兆円とも10兆円ともいわれている経済対策とパッケージで決定される可能性が高まってきました。

各国が〝約束〞に従った方向性での政策を模索し始めたことで、市場はその動きを敏感に察知。G20以降の主要国による政策協調が功を奏し、市場はおおむねポジティブな反応でした。

しかしそれもつかの間、3月末以降、米ドル/円相場では急激な円高が加速。まさに、グローバルな政策協調がどこまで通じるかを試されているような状況です。

【マンガで押忍! 為替編】
約束は必ず守る、これは世界のマナー

規模の大きさに関係なく、一度みんなで決めた約束は絶対に死守する。これは政治の世界でも、一般社会でも同じ。だからこそ、みんなが守れない、自分が守れないような約束はしない、させないのも大人のマナー……。

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今月の戦略先生

小野田 慎
投資情報室長。イボットソン・アソシエイツ、ゴールドマン・サックス証券を経て現職。ポートフォリオ構築の専門家としての経験を生かし、幅広い資産の分析を行なう。

【売買診断編】FX――金利差と為替レートの関係が逆相関に変化?

これまでは為替レートと金利差には相関関係があるといわれてきた。しかし、米国の利上げ、日本のマイナス金利導入を受けて、その関係性に異変が起こっている。

日米で金融政策の方向性が真逆になった。それを機に逆相関に?

為替の変動要因の中で、最もポピュラーで教科書的なのは、「為替レートは金利のバイアス(偏り)を反映する」という考え方です。もう少し簡単に言うと、為替レートとは「ある2つの国の間の金利の差を為替というフィルターを通して調整した結果である」というもの。たとえば、A国の金利が上昇して、B国の金利が低下した場合、A・B国間の為替レートはA国の通貨の価値が高くなり、B国の通貨の価値が下がるというわけです。米国の金利が2%に上昇し、日本の金利0%に下がるときは、ドル高・円安に進むイメージですね。

ただ現実的には、今や世界はワンワールド。すべての国の経済や金融市場が密接に連動しているため、たとえ違う国の長期金利であっても指標とする債券の期間が同じであれば、金利水準こそ異なっても似た動きに収れんされていくことになります。

そこで押さえておかなければならないのが、為替レートは2国間の単なる「金利の高さ・低さ」ではなく、「金利差の拡大・縮小」によって決まるということです。

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日本の金利が0%から0.5%に上昇したときに、米国の金利が1%から2%に上昇したら、金利差が拡大するのでドル高・円安になる、という見方です。

では、本当に2国間の金利差によって、為替レートは調整されていくのか。それを検証したのがグラフです。

日米金利差と米ドル/円レートの推移を見ると、昨年12月上旬までは金利差と為替レートの天底やトレンドにはおおむね相関関係があることが確認できます。金利差が拡大する局面ではドル高・円安に向かい、縮小する局面ではドル安・円高に向かっています。

ところが、昨年12月中旬からはまったくの逆相関に!これは、米国が12月16日のFOMC(連邦公開市場委員会)で利上げを決定し、日本は緩和姿勢を継続、という金融政策の違いが明確化したタイミングです(さらにその後、日本は今年1月29日にマイナス金利導入を決定)。これまでの為替の変動要因を教科書にすれば、金利差が拡大する局面ではドル高・円安に振れるはずが、実際はそれと逆の状態になってしまっています。

「2国間の金融政策がまったく逆の立場をとった場合、金利差と為替レートは逆相関の関係となる」。これが新しい金利と為替の基本観念となるかもしれません。

今月のジャッジ先生

藤井明代
カブドットコム証券 投資情報室 投資アナリスト株主優待からテクニカルまで幅広い分野の情報発信で人気。ラジオ・テレビなどレギュラー出演多数。新刊は『勝てる「! 優待株」投資』(幻冬舎)。