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【相場概況編】FX――大転換点目前か!?市場の信頼回復がカギ

4月5日にサポートレベルである1ドル=110円を割り込んだ米ドル/円は、一時107円台まで売り込まれ、下値を試す展開に。

ここが底値となるかは、市場からの信頼回復がカギ。日本は有効な金融政策を打ち出すことができるのか!?

今、世界中の注目が集まっている。

売り一辺倒から、買い戻しの動きが。いよいよ底値確認か!?

このたびは、熊本地震で被災された皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。一日も早い復興を祈ってやみません。

さて、2月の上海でのG20(主要20カ国・地域)財務相・中央銀行総裁会議以降、各国がその約束を果たすべく政策を模索する中、日本はというと、準備こそすれ、具体的な財政政策なり金融政策なりを正式に打ち出せないまま新年度を迎えました。

米ドル/円は、4月に入って中東勢による日経平均の換金売りが続く中、CTA(商品投資顧問)筋など短期投機筋の仕掛けを受けて売りが先行。菅官房長官が「為替水準の動向を緊張感を持って注視し、必要に応じて適切な対応をとる」との牽制発言を繰り返したものの、下値を試す展開となりました。そして、5日のニューヨーク市場では、安倍首相がウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで「独断的な為替介入は控える必要」に言及したことがわかると、一気に売りが加速。チャート上での重要なサポートレベルとされていた2014年10月1日の高値110.09円や、大量のバリアオプションが設定されていた110円を下抜ける動きにつながっています。

安倍首相の発言は、その後に菅官房長官が説明しているように「長期的な通貨安に導く介入」についての話題であって、目の前の「無秩序な動きに対しての介入」について語ったものではないことは明らかですが、市場は急速に当局に対する〝リスペクト〞や〝畏怖の念〞といったものを失うことになりました。

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例えて言うなら、家庭を顧みずに生きて きた男性が、3月期末をもって定年退職した翌日の早朝に「これまであなたを信じてついてきましたが、何もしてもらえないことがわかりました。これからは、第二の人生を自由に過ごさせていただきます」と、奥さんから三くだり半を突きつけられたような状態となってしまいましたが、その男性は、実は妻への感謝の気持ちを込めて、4月下旬から1カ月かけて「世界一周豪華客船の旅」をサプライズで用意していた矢先の出来事―。このように為替市場も当局に対するリスペクトを完全に失い、手のひらを返したかのような〝なめきった〞姿勢へと急転換してしまいました。

チャート上でのブレイクはもちろんですが、実はこういった心理的な側面が非常に重要であって、一度失った〝畏怖の念〞を取り戻すには、「あまり時間をおいてはいけない」ことは明らか。当局に対して「やっぱりなめたらアカン」と思わせる状況を再びつくり出せない限り、「何をどう言っても、売り叩かれてしまう」相場が続くことになります。米ドル/円は、アベノミクスの生命線とまでいわれた「バズーカ2」、いわゆる大規模金融緩和とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオ変更が同時に発表された2014年10月31日の安値109.175円を完全に下抜けると、4月11日には一時107.632円まで売り込まれました。

そして迎えたのが14〜15日にワシントンで開催されたG20。週末のニューヨーク市場もクローズしていたG20後の記者会見で、ルー米国財務長官が「最近の円高にもかかわらず、市場は秩序だっている」と意地悪な発言をしたほか、熊本地震の被害拡大という大災害のリスクが浮上。17日にはドーハで開催された主要産油国会合で原油産出量凍結の合意が見送られると、週明け18日のオセアニア市場では、一気にリスクオフの動きが加速することになりました。

ただ、この動きも朝イチの突っ込み売りを経験した後は買い戻される展開に。米ドル/円しかり、WTI原油先物しかり、日経平均先物しかり、翌日のアジア市場は怒濤(どとう)の買い戻しというまさに底値を確認したような動きにつながっています。これをどう捉えるべきか。やはり日本がG20で約束した協調政策への期待感と言えるでしょう。

【マンガで押忍! 為替編】
失った威厳は、簡単には取り戻せない……の巻

信用しかり、威厳しかり、一度失われたものを取り戻すのは容易ではありません。また地道に実績を積み上げていくしかないのです。為替市場を動かしているのも、結局は人。その道は決して平坦ではないでしょう。

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今月のマーケット先生

和田仁志
グローバルインフォ 代表取締役社長。シティバンク銀行、スタンダードチャータード銀行でディーラーとして活躍後、証券会社でFXを立ち上げるなど、業界に精通。

【投資戦略編】FX――サミット後の動きに注目。反発の兆しが濃厚に!

年初からの続落で底値を探る展開が続く米ドル/円。いよいよトレンドの大転換となるか!?

6月は目が離せない相場になりそうな予感……。

「谷深ければ、山高し」1ドル=105円が節目に

米ドル/円は、今年に入って120円台から107円台まで下がり、13円を超える大幅な円高トレンドに。これを受け、政府および金融当局は、円高による景気下押しを懸念していますが、首相自ら「通貨安競争は避けるべき」と発言していることもあり、少なくとも5月末の伊勢志摩サミット近辺までは、具体的な行動(為替介入など)に出ることは難しいと予想されます。ただし、新たなマイナス要因として大規模な震災被害が発生したため、大規模かつ早急な「景気対策の実施」が行なわれることは必至。具体的には「財政出動」が考えられますが、さらなる景気下支えと消費マインドの不安払拭として、政府の公約である「消費税増税」についても、「増税見直し」が選択肢として挙げられています。

このような環境下でのマーケット動向について、個人的には105円近辺にワンタッチするまでは、本格的なドル高・円安トレンドには転換しないと考えます。逆に105円までの円高があった場合、下値の達成感からも年末に向け120円を目指すトレンドへ転換しそうです。

5〜6月は段階的な買いの仕込みに妙味か!?

変動要因の今後の注目材料は、やはりFRB(連邦準備制度理事会)の金融政策と原油相場(WTI)です。原油相場については、産油国の「増産凍結」へ向けた動きが活発化していることもあり、下値を切り上げていること、またFRBの金融政策に関しては、当然米国内の景気指標によるところですが、春先よりは下押し懸念が低減しているといえ、このこともドル買い要因となるでしょう。

ひところ懸念された中国の景気失速については、すでに織り込み済みとなっていますので、最初に述べた日本の経済対策が期待通りか、それ以下か、によって再び円が買われ、一段の円高局面があるかもしれません。以上のことから、米ドル/円については、5月から6月にかけて多少買い下がるのを承知のうえで、損失管理をしながら段階的に買いを仕掛けてみるのもおもしろいでしょう。

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損失管理に自信のない人には、細かい売買もロスカットも自動でこなす外為オンラインの「iサイクル注文」がおすすめです。個人的には、6月にEU(欧州連合)からの離脱の是非を問う国民投票が行なわれる英ポンドもおもしろいと思います。離脱なら暴落、残留なら急騰が予想されますので、5月末あたりからロスカットを入れつつ買いを仕込んでみてはいかがでしょうか。

今月の戦略先生

松本公明
外為オンライン 外国為替本部長。1989年から金融市場に携わる。ライブスター証券の証券営業部長・為替営業部長を経て、2012年より外為オンラインの取締役・外国為替本部長に。

【売買診断編】FX――今は円高? 円安? 基準になるレート発見法

一時は1ドル=105円まで〝円高〞が進み、政府要人からは口先介入が続いているが、現状の為替水準は果たして円高なのか、それとも円安なのか?

その判断基準を探ってみよう。

円高・円安の節目探しは政府の為替介入実施にも影響を与えるので重要!

現在、1ドル=110円近辺で推移する米ドル/円ですが、その水準が「円高か、円安か?」の判断は難しいところです。1ドル=120〜125円台だった昨年を基準にすると「円高」ですし、2011年の史上最高値75円台と比べれば「円安」ともいえるでしょう。今年の米国大統領選挙でクリントン氏やトランプ氏が異口同音に「日本は円安を享受している」と批判しているのも、過去5年で見ると1ドル=110円台は〝立派な円安〞だからです。

では、なぜその認識が重要かというと、日本の金融当局が為替介入に踏み切れるかどうかの基準になるからです。介入を実施するには、今の米ドル/円相場が実体経済に対して円高に振れすぎていることを証明する必要があります。

長期的な「滞留日数」で見た場合、米ドル/円はリーマン・ショック後の2008年から2013年までの約5年間、1ドル=70円台から100円台に滞留。昨年だけを基準に「円高」と判断して、為替介入に踏み切るにはかなり無理があります。2008年以前は、1998年8月の1ドル=147円台を最安値に、115円台から上下10円幅で推移しましたが、それではデータが古すぎます。

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為替レートは両国通貨の交換レートにすぎず、絶対的基準はないというのが結論ですが、今後の米ドル/円相場の〝メド〞を計測するためのアプローチを2つ紹介しましょう。

ひとつは、ここ5年の米ドル/円の最高値125円84銭から最安値75円55銭までの値幅に対し、FXのテクニカル手法である「フィボナッチリトレースメント」で計測すると。すると106円60銭、100円70銭、94円80銭といったレートが「円高か、円安か」を判断するための重要な節目になることが判明します。

もうひとつは、世界各国でマクドナルドのビッグマックがいくらで買えるかを比較した「ビッグマック指数」です。この指数における米ドル/円の均衡レートは1ドル=70円から86円前後。日米両国の物価基準で見ると、1ドル=110円台は「円安」と考えるのが妥当なのかもしれません。

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今月のジャッジ先生

藤井明代
カブドットコム証券 投資情報室投資アナリスト。株主優待からテクニカルまで幅広い分野の情報発信で人気。ラジオやテレビなどレギュラー出演多数。新刊『勝てる「! 優待株」投資』(幻冬舎)。