中国が高い経済成長率を維持していくためには内需依存型への転換が重要

中国税関当局が発表した5月の貿易統計によると輸出の伸び率は昨年7月以来の低水準となり、輸入も予想に反して減少しました。この極端に落ち込んだ数字は、貿易を装った架空の「水増し輸出」に伴う代金の

中国経済は、世界第2位の経済大国になったとはいえ外需依存が強いがために、基本的には米国経済や欧州経済等の影響を強く受けるという特徴があります。中国がこれからも高い経済成長率を維持していくために非常に大事になってくるのは、その経済体質をいかにして外需依存型から内需依存型へと転換していくかです。とりわけ都市部と農村部の所得格差、沿岸部と内陸部の所得格差、そして同地域内での所得格差が非常に大きくなっていますから、内陸部に向かっての投資をどうやって活性化していくかということです。

2008年9月のリーマン・ショックの後、中国は世界恐慌を未然に防ぐべく内陸部分に重きを置いた内需拡大のために4兆元という金を使いましたが、こ国内流入について当局が5月から取り締まりを強化した影響が出たものなのか、はたまた経済が実体として本当に弱くなっていることを意味しているのかはわかりませんが、中国経済の減速に対する懸念が強まっていることは間違いありません。の都市化を何とかして急速に推し進め、社会不安につながるリスクというものを大幅に減らしていかねば、政治面における大きな問題が次々と顕在化してくるのではないかと思われます。中国という国では賄賂や腐敗がはびこっており、50超の民族を抱える多民族国家という面もあるわけで、高度成長を持続できない場合にはさまざまな意味で非常に難しい状況に陥ってしまう可能性があるということです。

高度成長を遂げている中では格差のゆがみといったものは表面化してきませんから、中国における当面の重要戦略はまず経済を成長させることに全力を挙げ、その成長によって内需拡大に力を入れながら内陸部の所得水準の上昇を図り、そして2030年に70%にもっていくとされている総人口に対する都市人口の割合を前倒しで実現していくことではないかと私は考えています。

P R O F I L E  O F  Y O S H I T A K A  K I T A O

連載 資本主義の危機に備えて「経済脳」を磨きなさい!

(画像=ネットマネー)
北尾吉孝

きたお・よしたか●1951年、兵庫県生まれ。74年、慶應義塾大学経済学部卒業後、野村證券入社。78年、英国ケンブリッジ大学経済学部卒業。野村證券で事業法人三部長等を経たのち、95年にソフトバンク入社、常務取締役。99年、ソフトバンク・ファイナンス社長。現在、インターネット総合金融グループを形成するSBIホールディングスの代表取締役執行役員社長。『何のために働くのか』(致知出版社)など著書多数。「face book」にてブログを執筆中。