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【相場概況編】FX――混乱極めたGWの為替市場。そのとき何が起こったか!?

GW(ゴールデンウィーク)を挟んで、1ドル=111.9円台から105.5円台まで、一気に6円以上も売り込まれた米ドル/円相場。

この混乱を招いたのが、黒田日銀総裁。為替市場と総裁のにらみ合いは、まだまだ当分続きそう。

GW前、出所不明なニュースで怒濤の買い上げ展開に

市場心理とはおもしろいもので、何の整合性もなければ、また「どうしてこんなことで?」というつまらないことがきっかけとなって、これまでとは正反対の方向に突然走り出してしまうといったことがよく見受けられますが、GWを狭んで、市場はそういった市場心理の急変を受けた混乱を経験しました。

GWを前にした4月22日、東京時間の昼過ぎに「日銀による貸出金利にマイナス金利を適用する」とのヘッドラインが飛び込んできました。4月27・28日の日銀金融政策決定会合を控えて、この政策自体は数日前から市場では取りざたされていましたが、そのネタ元が日本語では「複数の関係者によれば」となっているところを、英文では「BOJ Offi cials Said」と訳されていたのです。市場は以前にも同じような経験をしているがゆえに、「複数の関係者」の中に日銀内部の関係者が含まれていないことを理解していたはずですが、週末の、いかにもポジション調整を必要としていた時期と重なるといった偶然性も手伝って、想定外の米ドル/円の買い戻しにつながっていきました。

海外勢を中心に、市場は「事の真相をどうこうするよりも、とにかく買い戻さなければならないほどショートカバーが強かった」ことを確認すると、後は言わずもがな。一気に111.816円まで怒濤(どとう)の買い上げとなったわけです。翌週の4月25日には111.915円まで、さらに買われることになりました。後から考えれば、日銀の政策決定会合の1週間前から始まるブラックアウト(情報統制)中にそんな核になる情報が伝わることもないわけで、ただ、そんなことを考えるよりも先に、たまりにたまったショートポジションを閉めるのが先決だったというのが、実情だったといえます。

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そういった経緯で高まった日銀に対する市場の異常なまでの追加緩和期待の中、4月28日、日銀はなんと政策の現状維持を決定しました。黒田日銀総裁による定例記者会見では、高笑いとともに「市場との対話はうまくいっている。金融機関のために政策を決定しているわけではない」とのかなり挑発的な発言を受けて、市場は完全に〝日銀になめきられる〞状況となってしまったわけです。米ドル/円は5円以上、日経平均株価は1000円超も暴落。追加緩和に対して「勝手に期待して、勝手に買って、勝手に投げる」ことを余儀なくされたことで、GW中の5月3日には〝RBA(豪州準備銀行)の予想外の利下げを受けた豪ドル/円の急落〞をきっかけに106円を割り込み、一時105.547円まで下落しました。

ただ、その後はフランクフルトを訪問中の麻生財務相から再三にわたり円高牽制発言がなされたほか、ワシントンG20(20カ国・地域)財務相・中央銀行総栽会議以降、〝少々意地悪な発言〞を続けていたルー米国財務長官からも「日本はあらゆる政策手段を動員する必要がある。為替政策についての国際的公約を守っている」との〝かなり配慮した発言〞が飛び出しました。また、安倍首相も「急激な為替変動については対応する」と明言。短期投機筋を中心とする「介入催促相場」のさらなる売り仕掛けを躊躇(ちゅうちょ)させることに成功したといえます。

実際、GW中にもかかわらず、本邦勢のディーリングルームが「いつでも介入に対応可能なシフトを敷いていた」ことからも明らかなように、「無秩序な動き」への対応を、「無秩序な動きを引き起こした張本人である日銀に指令を出して、その日銀が秩序ある動きに戻すために自らがなめきった市場を通して介入する」といった〝当てつけ介入〞の準備が整っていたことだけは事実です。売り込んだ向きも、そういった動きを敏感に感じ取ったのか、5月3日以降は落ち着きを取り戻しています。

【マンガで押忍! 為替編】情報に踊らされ、独り相撲で大失敗…の巻

勝手に期待して、勝手に騒いで、勝手に裏切られた気分になっちゃうことって、ありますよね。出所不明な情報ほど、人の心を惑わす力があるようで……。飛びつく前に、情報の真偽を精査する冷静さが大切です。

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今月のマーケット先生

和田仁志
グローバルインフォ 代表取締役社長。シティバンク、スタンダードチャータード銀行でディーラーとして活躍後、証券会社でFXを立ち上げるなど、業界に精通。

【投資戦略編】FX――今、市場の一番の注目は米国金融政策と原油相場

不況型の円高から抜け出したい日本と、景気回復軌道に乗り始めた米国。今後の相場展開はFOMC(連邦準備制度理事会)の動向次第か!?

年末に向けて、いかに安値で買い仕込むかが後半戦のポイントに!

今年も間もなく後半戦に突入します。前回、「1ドル=105円にタッチするかがポイント」と解説しましたが、実際、GW中の5月3日に米ドル/円は105.53円まで売り込まれる展開となりました。この辺りが今年の底値となりそうな気配はありますが、現状では材料不足で、上値に関しても目先は大きく戻る気配はないようです。

もっとも、マーケットの方向性は米国の金融政策次第。直近の米国金融当局からの発言では、「年内に複数回の利上げが妥当」との見方が出ており、順当に行けば年末までに緩やかなドル高/円安トレンドが形成される場面にきていると思われます。これに、日本の景気対策(プラス消費税増税の延期)が重なれば、105円台は米ドル/円の今年の底値となる可能性大です。

一方で、原油価格がまだ不安定なこと、人民元が再び下落基調となっていることなど、円高要因がすべて解決したわけではありません。仮に円高が進んだ場合の目安としては、1ドル=100.7円が重要なサポートラインとなります。ここは、2011年から3年半かけて円安になった分の半値戻しライン。連休前に盛り上がっていた「円売り介入」についても、このレベルまで円高が進むと「市場は秩序立っている」とは言い難いと思われるからです。

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ということは、米ドル/円の下限は100円付近、また2015年末からすでに年間平均値幅を超えて円高方向に動いていますので、そろそろ円安に戻すと考えることができるでしょう。9〜10月くらいまでは1ドル=100円に近いほどうまみが大きいと考えてナンピン買いし、年末にかけて120円前後を狙うのがおもしろいと思います。

その場合、下落局面でロスカットされてしまっては意味がないので、4〜5円の下落にも対応できるよう、資金に余裕を持って臨むことが大切。こうした局面では、安値を拾ってコツコツと利益を積み上げる外為オンラインの「iサイクル注文」もおすすめです。

今月の戦略先生

松本公明
外為オンライン 外国為替本部長。1989年から金融市場に携わる。ライブスター証券の証券営業部長、為替営業部長を経て、2012年より外為オンラインの取締役外国為替本部長に。

【売買診断編】FX――米ドル/円急変動の判断はボリンジャーバンドで

105円台まで円高が進んだ米ドル/円には、急変動↓ボックスを交互に繰り返す習性がある。大きな値動きを事前に察知できれば大儲け確実。見極めに使えるテクニカルとは?

ボリンジャーバンド拡大に乗って、米ドル/円の上下6円超の急変動を狙う

米ドル/円は、昨年の最高値125円台から直近安値105円台まで、最大20円以上も円高が進みました。

過去の経験則に当てはめると、その値動きは、円高か円安のどちらか一方向に大きく振れる動きと、狭い値幅で膠着状態が続くボックス相場を交互に繰り返す展開が続いています。

米ドル/円の場合、〝大きく動く〞とは5%以上の円高や円安を指し、逆に〝ボックス相場〞は上下3%前後の値動きと考えればいいでしょう。

1ドル=110円の水準なら、ざっと上下に6円以上なら大きく動いたことになり、上下3円程度の値動きならボックス相場と判断します。なぜボックス相場が重要かというと、FXトレードでは、「エントリー(新規売買)」と「エグジット(決済)」だけでなく、取引コストを考えると「ノーエントリー(様子見)」という選択肢も必要だからです。

当然、新規にエントリーすべきなのは、米ドル/円レートが大きく動き始めたとき。そんな相場急変動を予測できる貴重なテクニカル指標が「ボリンジャーバンド」なのです。

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ボリンジャーバンドは受験勉強の偏差値と同様、統計学の標準偏差の考え方で計算されており、中央に位置する移動平均線から為替レートが平均的にどれくらい散らばっているかの度合いを「標準偏差=σ(シグマ)」のバンドで示しています。平均的な散らばり度合い±1σの2倍に相当するのが±2σのバンドですが、相場が急変動しているかボックス圏にあるかを、そのバンド幅の拡大・縮小で事前に察知できる点が大きな強みです。

図は今年の米ドル/円の日足チャートですが、±2σのバンドが拡大局面に入り、為替レートがマイナス1σとマイナス2σの間で下方向へ大きく動く「バンドウォーク」(バンドに沿った値動き)が発生すると、為替レートは急速に円高方向へ進んでいます。逆にバンド幅が縮小すると、ボックスの値動きに終始することに。

3月下旬にボリンジャーバンドが拡大して一気に円高が進んだ後、現在はバンド幅が縮小局面に転じており、ボックス相場入りは明らか。従来のパターンからすると、再び次なる〝大きな動き〞が生まれる気配が濃厚です。バンド幅が急拡大に転じた瞬間は絶好のエントリータイミングになるので、大きな値動きの発生を虎視眈眈と狙いましょう。

今月のジャッジ先生

藤井明代
カブドットコム証券 投資情報室 投資アナリスト。株主優待からテクニカルまで幅広い分野の情報発信で人気。ラジオやテレビなどレギュラー出演多数。著書『勝てる「! 優待株」投資』(幻冬舎)。