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上場企業の不祥事が話題となっています。当然、不祥事が発覚した企業の株価は急落することになります。しかし、そんな急落をチャンスと考える投資家も少なくありません。確かに、以前より株価は安くなっていますが、本当に投資価値があるのでしょうか?

不祥事の株価下落は投資チャンか?

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今年に入って、東芝の会計処理問題に始まり、最近では三菱自動車やスズキなど、さまざまなタイプの不祥事が発覚しています。過去10年間、大手経済新聞で「不祥事」という単語が出てきた年間平均回数は約300件。今年は5月20日時点ですでに244件にも上っています。

一方で、こうした企業の不祥事は、逆にチャンスと考える投資家が少なくないのも事実です。上場企業に不祥事が起こった場合、その会社の株価がどうなったかを分析した論文は多数存在します。それらを見ていくと、投資チャンスと捉えるべきなのかが見えてきます。

2005〜2014年の間に不祥事が発覚した上場企業の株価パフォーマンスを見ると、150日間にわたって累積株価パフォーマンスがマイナスでした。もちろん、株価を動かす要因は業種やマクロ経済などさまざまです。しかし、それらの要因を統計的手法を用いて除いても、長期にわたって不祥事の影響がマイナスに出ていました。

もちろん、一口に不祥事と言っても、株主に評価してもらいたいがための粉飾決算、管理の滞りから起こる工場爆発や食中毒事件、自社製品をよく見せようとする虚偽記載までタイプはさまざまです。

不祥事をタイプ別に分けて累積株価パフォーマンスを見ると、さらに興味深い傾向が浮かび上がってきます。なんと、リコールや偽装表示といった製品に関するものは、特に株価下落が顕著という傾向が報告されているのです。会社の利益の源泉である「製品信用」を失うことは、長期にわたって株価にも業績にも非常に厳しいのでしょう。

「三菱自動車は想定以上にはシェアを奪われないし、株価の下落は絶好の買い場だ」、などという声も漏れ聞こえてきます。しかし、信用を失うことの大きさをもう一度精査して投資戦略を組んでもいいかもしれませんね。

崔 真淑
神戸大学経済学部卒業後、大和証券SMBC金融証券研究所(現・大和証券)に株式アナリストとして入社。入社1年未満で、当時最年少女性アナリストとしてNHKなど主要メディアで株式解説者に抜擢される。債券トレーダーを経験後、2012年に独立。現在は、日経CNBC経済解説部のコメンテーターとしても活躍している。