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【ファンダ編】株――消費者の財布のヒモが締まり安値ミクス銘柄が再上昇

デフレマインドの復活を思わせる新しい造語「安値ミクス」が、2016年上半期のヒット商品番付の〝東の横綱〞に。

経済活動の先行きを考えるとよろしくない現象だが、関連銘柄の上昇ぶりを見ると投資ヒントとしてはアリ! 

主力大型株は大下落、食品とドラッグストアの株は絶好調が続く

株式市場は流行に敏感です。そのヒントになるのが「日経MJヒット商品番付」。その年のヒット商品や旬のキーワードをランク付けする形で発表されます。2015年の上半期は「インバウンド旋風」が東の横綱でした。そして前年に横綱になったキーワードの関連株は、翌年にものすごく売られるというジンクスもあります(知ったら仕舞いってやつですね)。

さて、今年はどうでしょうか? 6月に同番付の上半期分が公開されました。関脇には株式市場でも大いににぎわった「民泊」「AI(人工知能)」がランクイン。大関は「バスタ新宿」「伊勢志摩・広島」。そして、西の横綱は「マイナス金利特需」でした。住宅ローン金利が下がったことで、ローンの借り換え件数が急増しているためだそうです。そして、栄えある(?)中間発表時点の東の横綱は「安値ミクス」でした。

この言葉、ピンときませんよね。それもそのはずで、最近の消費者が安値志向になっていることを表現するために主催者側で命名した造語だそうです。安倍首相の「安倍」と「安値」は一文字違い、アベノミクスをもじったものでしょう。株式市場もすでに答えを出していますが、やはりアベノミクスは単なる流行だったようで……。

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「安値ミクス」という言葉がはやるかどうかは別として、非常に重要な物色テーマといえます。民泊とかAIなど将来伸びそうな〝妄想膨らませ型〞の短期テーマではなく、腰の据わった買いが入っているからです。事実、6月に入って主力大型株の一角が急落する中、年初来高値を更新しながら逆行高した株は「安値ミクス関連」と言うべき銘柄ばかりでした。たとえば亀田製菓、雪印メグミルク、キユーピー、フジッコ、伊藤園などの食品株。外食を控えて家で食事をするときはスーパーで食品を買うことが多いですよね。景気に関係なく一般消費者が買うものを作っている企業です。

そしてサンドラッグ、クスリのアオキ、カワチ薬品などのドラッグストア株。ディスカウント店は今や日本人にとってのライフラインです。

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一方、安値ミクスの裏側にある百貨店株は訪日外国人の購買意欲が急激に落ちたこともあって、安値を更新する銘柄が続出しています。この現象自体が、まさにデフレマインドそのもの。アベノミクス相場が始まる前に起きていた現象と同じです。

食品をはじめとする内需株の多くは業績も配当も安定している銘柄が多いので、そもそもの今年の相場テーマ「ニューソブリン」(債券の代わりになる株式)と合致。高値を更新している過程で買っているのは、機関投資家や外国人投資家なのかもしれません。

【マンガで押忍! 株編】
安い食べ物、ではあるが駄菓子屋はなんか違う

安値ミクスの影響が彼氏選びにも!? 確かに“安心できるところの人”は魅力的ですけどね……。風太の短絡的な結論、今月も絶好調。駄菓子屋さんでアルバイト=モテキ到来という勘違いっぷりがほほえましいというかなんというか。

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今月のファンダ先生

岡村友哉
金融ジャーナリスト。証券会社の営業、金融情報ベンダーでアナリストを務めた後、現職。日経CNBCで日々、キャスターをこなす。

【データ編】株――LINE上場でIPO銘柄のセカンダリー上昇狙い!

7月15日、LINEの日米同時上場の恩恵を受けてここ数カ月、元気がなかった新興市場もツレ高しながら息を吹き返すかも? 

安く生んで、高く育てる。初値上昇率よりもその後の成長が大事

株式市場は無料通話アプリ「LINE」の上場で沸いています。LINEは知名度が高いだけでなく、日米同時上場ということもあり、多くの投資家が株価の動向に熱視線を送っています。本誌の発売日には結果が出ていますね。

この恩恵を受けて、注目を集めそうなのがIPO(新規株式公開)市場です。ここ数年、IPO市場は非常に活況で、上場社数も年々増加しています。2016年は年間100社近い企業が上場する可能性もありそうです。

そんなIPO銘柄でまず市場がチェックするのは、初値(上場して初めてつく株価)が公募価格に対してどの程度上昇したか、です。これを初値上昇率といいます。1〜2年前は、上場するほとんどのIPO銘柄の初値が公募価格を上回り、公募価格の2倍や3倍という〝ぶっ飛び状態〞も珍しくありませんでした。

でも最近は、初値上昇率に陰りが出てきています。そう聞くと「IPO市場自体、陰り気味なのか……」と思う人がいるかもしれませんが、むしろよい変化であると考えていいでしょう。初値が過熱してしまって、その後に泣かず飛ばずとなる銘柄が増えるよりも、落ち着いたスタートを切った後にジワジワと上値を切り上げる銘柄が増えたほうが、公募株を買った人も初値で買った人もハッピーになれるのです。

IPO市場ではよく「安く生んで、高く育てたい」という言葉が聞かれます。この言葉通り、IPO銘柄は初値上昇率だけを見ていてはいけません。初値をつけた後の株価推移、いわゆるセカンダリーの動向に注目する必要があるのです。特にLINEのような超大型上場があると、ここ最近上場した直近IPO銘柄にも物色の手が広がるパターンがしばしば見られます。

そこで、今回は2015年以降に上場した直近IPO銘柄の中で、初値から順調に上昇した主な銘柄を東証マザーズ市場、ジャスダック市場を中心にそれぞれピックアップしてみました。下の表を見てもわかるように、最近ではセカンダリーで好パフォーマンスを発揮している銘柄が多くあります。

マザーズ市場は5月以降、ややさえない動きとなっていましたが、これら直近IPO銘柄の中から新たなスター銘柄がはばたくことを期待したいですね! LINEそのものの株価も、初値=最高値にならず上がり続けてくれるといいので すが……。

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今月のデータ先生

小川佳紀
岡三証券 投資戦略部 ストラテジスト。フィスコなどを経て現職。相場概況から注目株まで日本株全般をウオッチし、本誌読者にオススメの銘柄を拾ってくれる貴重な存在。

【ランキング編】株――2016年前半、NISA口座で買われた株

株価の下押し圧力が強烈だった今年前半だが、そんな中でNISA(少額投資非課税制度)ではどんな銘柄が積極的に買われたのか? その人気ランキングから、個人投資家のNISAにおける投資スタンスが浮き彫りに。

高配当株と優待株がNISAでも超人気!逆張り志向も顕著

ちょうど1年の折り返し地点を通過したところで、今月は上半期にNISA口座を通じて盛んに買われた銘柄を調べてみました。表は、松井証券でNISA口座を開設している投資家を対象に集計したランキングです。トップ10の実に4割を銀行株が占め、今年前半を象徴する結果だといえるでしょう。

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1月下旬、日本銀行によるマイナス金利政策の導入は、国内外に大きなサプライズを引き起こしました。収益悪化を懸念して銀行株は急落しましたが、ランキング結果からも推察できるように、個人投資家の多くは果敢に買い向かったもようです。マイナス金利が業績を下押しすれば減配リスクもあるものの、株価下落で多くの銘柄が配当利回り4%程度まで上昇しました。

また、3位に三井物産が入ったように、商社株をはじめとする資源関連にも個人投資家は積極的に逆張りを仕掛けたものと思われます。こちらは原油価格の下落に伴う業績悪化を悲観した株価低迷で、やはり配当利回りは上昇しました。その後、原油価格は2月にボトムをつけて上昇傾向に転じており、今までのところ個人投資家の逆張りは成功しているようです。

ほかにも5位にキヤノンが入っているように、配当利回りの高い銘柄がNISA口座を通じた投資で人気を博していることの裏づけでしょう。株主優待の特典が豊富なイオンが6位、内容を拡充したオリックスが9位に入った通り、魅力的な優待銘柄も依然として高い支持を集めています。配当や株主優待を切り口に銘柄を絞り込んだうえで、株価が大きく下がった局面で拾いに行くという投資行動が、個人投資家の間で流となっている様子。経営再建中の東芝も逆張り志向の投資家に買われたようです。

なお、今年前半は新興市場への資金流入が顕著でしたが、その際の人気銘柄は今回のランキングには入っていません。NISAでは短期的に動きそうな銘柄よりも、長期保有できるものが選ばれているようです。この先、世界経済の減速や円高などにより、さらに株価が下がる可能性はあるとはいえ、「5年後には戻しているだろう」と考えて投資しているのでしょう。

まとめ

  • ①銀行株や資源株など、今年前半に株価が下落して配当利回りが上昇した銘柄が人気に!

  • ②株主優待の内容が魅力的な銘柄も選ばれており、株価が下がったところで拾うスタンス。

  • ③やはり、NISAでは長期保有のスタンスで銘柄が選ばれている。だからこそ逆張り。

今月のランキング先生

窪田朋一郎
松井証券 シニアマーケットアナリスト。2001年、松井証券に入社。マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場を見続けている。個人投資家動向にも詳しい