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【ファンダ編】株――マザーズ指数先物の上場で生まれる新たな投資戦略

上場した東証マザーズ指数先物は、とりあえずおとなしめのスタートとなった。そもそもマザーズ銘柄を売りたいニーズが多かったせいで現物との価格差もあり…。でも、先物が上場したことで個別のマザーズ株に投資チャンスが生まれた! その投資手法は?

13年間、買い一辺倒だったマザーズ市場。売りニーズが多すぎて…

7月19日、ついにマザーズ指数先物が上場しました。ただ、「ポケモンGO」が社会現象化した〝任天堂祭り〞のタイミングと重なった不運もあり、上場直後の商いは盛り上がっていないようです。

マザーズ指数先物を買うと、マザーズに上場している銘柄の大半を買ったことになります。単純に最低単元株数ずつ全銘柄を買うのではなく、マザーズ市場を占めている割合に応じて買うことになるので、現状ではマザーズ先物を買うとそーせいグループ(構成比率約16%)の比率が一番高くなります。このような仕組みのため、理論上はマザーズ先物とマザーズ現物の指数が同じ値動きをするはずなのですが、現状は逆ザヤ状態(現物指数より先物が安い)に。常時1〜2%の逆ザヤがあるため、日経平均でいえば300円程度の価格差があるようなもの。この状態が起きたのは①そもそもマザーズ株に対して売りニーズが強かったため、②逆ザヤの時に裁定取引(割安なほうを買って割高なほうを売る)が機能しないため、が理由として挙げられます。

①の「売りニーズが強い」というのは、たとえば保有するそーせい株のヘッジ目的での売り注文といった一般的な先物取引をしたい人が多かったという意味です。そーせい株もそうですが、マザーズ指数は2003年の算出開始以来、売ることができませんでした。個別株も貸借銘柄が限られているので、満足にカラ売りはできなかった―つまり13年間にわたり買い一辺倒な市場だったわけです。

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また、表にあるようにマザーズの上場銘柄数は過去最高です。それなのに時価総額は3兆円台で足踏み。この理由は、マザーズは時価総額がふくらんだ主力株から抜けていくという特殊な市場だからです。過去にもエムスリーやサイバーエージェントなどの主力株が東証1部へ指定替えしましたよね。優良株(1株利益の水準が優秀な大型株)から抜けていくため、長期的には指数全体の1株利益が悪化します(超優良なIPO株が加わらない限り)。だからマザーズ指数そのものを売りたいというニーズが生まれても不思議ではありません。②の「逆ザヤ時に裁定取引が機能しない」のは、前述の通りマザーズは貸借銘柄が多く、裁定売りをしようにもカラ売りで対応出来ないためです。

以上、①と②の理由によりマザーズの現物と先物には大幅な価格の差が生まれてしまっているわけです。先物上場がマザーズ市場にもたらすメリットは「特に無い」としか言いようがありません……。

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でも、先物指数がスタートしたことでマザーズ指数に連動するETF(上場投信)の組成がこの先発表された場合はかなりの朗報になります。こういったETFの組成は、対象となる指数の先物を買うことで対応できます。現在のマザーズの主力株が東証1部に指定替えするときに行なわれるリバランス(投資配分の比率を調整する)のとき、ETFが組成されていれば個別株にも投資チャンスが生まれます。具体的には、ウエイト首位のそーせいが東証1部に指定替えを発表したタイミング。この時、そーせい株のウエイト分だけ他の銘柄のウエイトが上がります(買われる理由になります)。こういったトレード機会が永続的にマザーズ市場に生まれることになることを覚えておいてください!

【マンガで押忍! 株編】
ランクアップする前に青田買いするぜの巻

学生の中でマザーズ派と東証派がいるという意味不明さには目をつぶって……要は出世する前に目をつけておけば人間関係ではオイシイことがおこるかも、と悪知恵を働かせる風太たち。ちょっとズルいですが株式投資の際は正攻法です!

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今月のファンダ先生

岡村友哉
金融ジャーナリスト。証券会社の営業、金融情報ベンダーでアナリストを務めた後、現職。日経CNBCで日々、キャスターをこなす。

【データ編】株――参院選の与党圧倒的勝利で外国人投資家が戻ってくる!

政権が安定すると外国人投資家は買いに来る!この傾向をベースに考えると、「業績がしっかりした中小型株」に投資資金が向かうことが予想される。

アベノミクスが信任された? 経済優先の政府方針は変わらない

7月10日に投開票された第24回参議院選挙では、与党が改選過半数の議席を獲得し、まさに圧勝となりました。今回の参院選の争点はアベノミクスの是非であったことから、与党の大勝を受けてひとまず「アベノミクスが信任された」といえるでしょう。

安倍政権が安定した政権基盤を手にしたという点は、株式市場にとってポジティブではないでしょうか。一部では、改憲勢力が3分の2を超えたことで、安倍首相は経済よりも憲法改正を優先するのではないかとの声もあります。ただ、実際の憲法改正には国民投票が必須。そのため、まずはアベノミクスを加速させることで経済を立て直し、高い支持率を維持し続ける必要があるのです。つまり、これまでの経済優先の方針は変わらないと私は予想しています。

注目したい点は、外国人投資家が政権基盤の安定を前向きに評価する傾向があることです。過去の政権支持率と外国人投資家の売買動向を併せて見てみると、政権の支持率が高いとき=政権基盤が安定しているときに外国人勢の買越額は順調に増える傾向があります。ここ1年ほど、円高進行などを背景に外国人投資家は日本株を売り続けてきましたが、安倍政権の長期安定期待によって外国人投資家の資金が日本株に回帰する可能性は大いにあるでしょう。

外国人投資家は今後、どのような日本株を買うのでしょうか?外国人投資家が買う銘柄というと、いわゆる大型株や優良株を連想するかもしれません。ただ、円高に対する懸念が依然として拭えない中で、自動車や電気機器などの大型株を買うことは考えづらいです。

いくら外国人投資家とはいえ、やみくもに有名な銘柄ばかり買うことはしません。為替の問題もあり、業績不安の根強い大型株よりも、業績面がしっかりとしている中小型株などに資金を振り向けるのではないでしょうか。実際に、直近3年間で毎年、外国人投資家の保有比率が上昇している銘柄の顔ぶれを見てみましょう(下の表参照)。

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表を見ると、会社の「ネームバリュー」にとらわれることなく、業績がしっかりと伸びている中小型株に外国人投資家の買いが向かっていることがわかります。今後、外国人投資家があらためて本腰を入れて日本株を買う場合、これらの銘柄をさらに買い増す可能性もあり、注目といえるでしょう。

今月のデータ先生

小川佳紀
岡三証券 投資戦略部 ストラテジスト。フィスコなどを経て現職。相場概況から注目株まで日本株全般をウオッチし、本誌読者にオススメの銘柄を拾ってくれる貴重な存在。

【ランキング編】株――今後の値上がりに期待!低PBR銘柄ランキング

英国EU(欧州連合)離脱ショックは沈静化したとはいえ、反発しても1万7000円付近が強力な上値抵抗線となっている今年の日経平均株価。だが、その中には超割安な水準まで売られた銘柄も確実に存在しているはず!

金融セクターや資源、新興国関連の低PBR放置が顕著!

昨年末には2万円台に乗せたこともあっただけに、日経平均株価は今年に入ってかなりの下落幅を記録しています。相場全体が大きく下げた過程では、過剰に売られた銘柄も存在しているはず。そこで今回はPBR(株価純資産倍率)の低い銘柄をランキングしてみました。今回はあえて銀行株を対象外としています。PBRとは、その企業の保有資産の価値と比較して株価が割安か否かを判断する指標。銀行はビジネスの特性上、どうしても総資産が膨らみやすく、もともとほかの業種と比べてPBRが低めになりがちだからです。

銀行を除いてランキングしてみたところ、金融関連が数多く上位に入ってきました。1位の日本郵政は傘下にゆうちょ銀行とかんぽ生命保険を有しており、それらの影響を受けてPBRが低下した可能性がうかがえます。また、5位の第一生命保険や7位のT&D HD、12位のMS&ADインシュアランスグループHDなど生損保も目立っています。

8位の野村HDや9位の三菱UFJリースまで含めれば、金融関連がかなりの数に上ります。マイナス金利が業績に及ぼす悪影響や運用難などが懸念され、大きく売られてきたのでしょう。

一方、2位の国際石油開発帝石や12位の住友商事、15位の双日は、春ごろまで続いた原油価格の下落が悲観視されたようです。3位の日本郵船、4位のジェイ エフ イーHD、6位の神戸製鋼所は、中国をはじめとする新興国経済の減速が嫌気されている様子。10位の旭硝子は建築費の高騰に加えて、液晶から有機ELへのシフトがディスプレー部門に影響を及ぼしていることが要因となっているのかもしれません。14位のリコーは業績は堅調であるものの、コピー機自体の成長力には限りがあると思われることから、低PBRに甘んじているもよう。

いずれも弱材料があって売り込まれたわけですが、株価は割安な水準に位置しており、下値は限定的といえます。中長期的な観点に立てば比較的安心して投資できる対象であり、株価に織り込まれている弱材料を目安に考えれば、割安な水準の訂正を期待できそうです。ただ、相場全体の動きについては、年内に日経平均株価が1万4800〜1万7000円のボックス圏から抜け出すのは困難でしょう。

まとめ

  • ①総じて金融セクターは、マイナス金利の悪影響が心配視されて割安に放置されている。

  • ②資源関連や新興国関連も弱気のムードが大勢を占め、今年に入ってから売り優勢だった。

  • ③中長期的なスパンで臨めば、超低PBR銘柄の株価は水準訂正の可能性が高い

今月のランキング先生

窪田朋一郎
松井証券 シニアマーケットアナリスト。2001年、松井証券に入社。マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場を見続けている。個人投資家動向にも詳しい。