ENECHANGE
(画像=NET MONEY編集部)

【目次】
①️ENECHANGE IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(12/4更新)

会社名
ENECHANGE株式会社
コード
4169
市場
マザーズ
業種
情報・通信業
売買単位
100株
代表者名
代表取締役CEO 城口 洋平/1987年生
会社住所
東京都千代田区大手町2-6-2
設立年
2015年
社員数
77人(2020年10月31日現在)
事業内容
消費者向けの電力・ガス切り替えプラットフォーム「エネチェンジ」等の運営を行うエネルギープラットフォーム事業、エネルギー会社等向けのクラウド型DXサービス「EMAP(デジタルマーケティング支援SaaS)」及び「SMAP(スマートメーター活用SaaS)」等の提供を行うエネルギーデータ事業
URL
https://enechange.co.jp/
資本金
890,255,000円 (2020年11月18日現在)
上場時発行済み株数
5,750,000株
公開株数
380,000株
連結会社
1社
スケジュール
仮条件決定:2020/12/03→520~600円に決定
ブックビルディング期間:2020/12/07 - 12/11
公開価格決定:2020/12/14→600円に決定
申込期間:2020/12/15 - 12/18
上場日:2020/12/23→初値2,400円
シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
主幹事証券:みずほ証券
引受証券:大和証券
引受証券:野村證券
引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
引受証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
引受証券:いちよし証券
引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
引受証券:松井証券 (松井証券の詳細記事はこちら)
大株主
城口洋平 23.86%
有田一平 10.08%
植野泰幸 8.00%
B Dash Fund2号投資事業有限責任組合 7.62%
Energy Station Company Limited 7.61%
(株)大和証券グループ本社 5.71%
BIG1号投資事業有限責任組合 4.57%
(株)エプコ 3.81%
大和エナジー・インフラ(株) 3.43%
Spiral Capital Japan Fund 1号投資事業有限責任組合 3.05%
業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産
2017/12 単体実績 
524,758 -326,630 -327,500 462,423
2018/12 連結実績 
1,140,739 104,924 91,102 586,261
2019/12 連結実績 
1,268,110 -304,907 -238,375 342,611
2020/09 第3四半期連結実績 
1,252,179 59,772 37,936 878,519
ロックアップ情報
指定された株主は上場後90日目の2021年3月22日まで
または、上場後180日目の2021年6月20日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格)
2億2800万0000円(380,000株×600円)
潜在株数(ストックオプション)
2,177,301株
ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
ENECHANGE株式会社<4169>は消費者向けの電力・ガス切り替えプラットフォームサイト「エネチェンジ」運営及び、電力・ガス会社向けのクラウド型DXサービスを手掛ける企業である。

事業内容

同社は下記の2事業を展開している。

・エネルギープラットフォーム事業
・エネルギーデータ事業

ENECHANGE,IPOレポート1
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●エネルギープラットフォーム事業について
エネルギープラットフォーム事業では、月間ユニークユーザー数220万人、提携電力・ガス会社数52社によるサイト「エネチェンジ」運営を通じて、電気やガスの比較から切り替え処理まで一気通貫で対応するサービスを提供している。

「エネチェンジ」(家庭向け)、「エネチェンジBiz」(法人向け)ともに、ユーザーは提携先の多彩な料金プランの中から最適な電力・ガス会社を選択することができ、申し込み手続きまで無料サポートされている。

本事業の収益は、サイト上で切り替えを実施したユーザーが電力会社・ガス会社に対して支払う毎月の電力・ガス代に、あらかじめ定められた料率を乗じた金額を切替え以降は原則的に毎月継続的に同社が受領する報酬である。よって累計申込数が増大すると、契約数に比例して報酬が増大するストック型報酬となっている。

ENECHANGE,IPOレポート2
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

●エネルギーデータ事業
エネルギーデータ事業では、電力・ガス自由化、スマートメーターのデータ解析、再生可能エネルギー発電所の運営管理などに必要となるITシステムを、エネルギー事業者向けにクラウド型で提供している。

現在はエネルギーマーケティングの「EMAP」、データ解析の「SMAP」、再生可能エネルギーデータ解析の「JEF」をいずれもSaaS形式で提供中。

また自社サ-ビス及び電力・ガス会社への提供サービスにより蓄積された、マーケティングデータ、スマートメーターデータ、再生可能エネルギー発電設備のデータ等を、ビッグデータ化してAI技術等を活用した分析を行うサービスも提供している。

本事業では、同社の独自プロダクトを電力・ガス会社に対してSaaS型のライセンス料課金形式で提供するストック型の収益と、エンドユーザー(需要家、スマートメーター数等)数に連動する従量報酬を基本としている。

ENECHANGE,IPOレポート3
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)

部門別及び取引先別売上高

2019年12月期 売上高13億円(対前年同期比11%増)、営業利益▲3.2億円(前年同期0.9億円)
・エネルギープラットフォーム事業 6.8億円(対前年同期比3.2%増)、セグメント利益0.3億円(同▲82%減)
・エネルギーデータ事業 5.9億円(同22%増)、セグメント利益0.2億円(同90%減)

2019年12月期はエネルギープラットフォーム事業の売上がエネルギーデータ事業に比べ約1億円多い状態であるが、対前年同期比でエネルギープラットフォーム事業は横ばい対し、エネルギーデータ事業は2割以上の増収となった。またエネルギープラットフォーム事業のセグメント利益は大幅な減益。

2019年12月期の取引先別の売上高は下記である。

・株式会社Looop 2.7億円(割合21%)
・東京瓦斯株式会社 2.0億円(同16%)
・サミットエナジー株式会社 1.4億円(同11%)

ソーラー発電事業などを手掛ける株式会社Looop向け売上が全体売上の約2割を占めている。2018年12月期~2020年12月期Q3まで、株式会社Loopが約20%、東京瓦斯株式会社<東京ガス:9531>が約15%という売上比率で推移している。

また2020年12月期の各部門別売上高は下記と予想されている。

2020年12月期 売上高17億円
・エネルギープラットフォーム事業 9.3億円(対前年同期比48%増)
・エネルギーデータ事業 7.4億円(同26%増)

両事業ともに増収を予想している。

業績推移

2017年12月期 売上高5.2億円、経常利益▲3.3億円、当期純利益▲3.3億円
2018年12月期 売上高11億円、経常利益1.0億円、当期純利益0.9億円
2019年12月期 売上高13億円、経常利益▲3.0億円、当期純利益▲2.4億円
2020年12月期 売上高17億円、経常利益▲0億円、当期純利益▲0.3億円
※2018年12月期より連結決算

連結決算が開始された2018年12月期に売上高10億円の大台に到達し、経常利益1億円も達成した。しかし2019年12月期は増収の一方で経常利益は▲3億円と赤字に転落している。

2020年12月期も増収は続くものの、経常利益は概ね収支均衡の予想(▲9百万円)であり、当期純利益は若干の赤字の予想である。2020年12月期Q3(累計)で売上高13億円、経常利益0.6億円となっており経常利益は若干ながら黒字化、また通期予想達成に向けた進捗は順調である。


財務状況

2019年12月期末時点で資産合計11億円に対し、純資産合計3.4億円、自己資本比率32%である。借入金(全額が転換社債型新株予約権付社債)5.0億円に対し現預金7.0億円を有している。資産合計のうちの最大科目は現預金であり、財務内容に対し特段の懸念事項はない。

キャッシュ・フロー計算書において、営業活動によるキャッシュ・フローは2018年12月期2.2億円、2019年12月期▲3.1億円で推移している。2019年12月期は事業譲渡益(▲1.5億円、投資活動によるキャッシュ・フローのプラス)の発生により営業活動によるキャッシュ・フローのマイナス幅が拡大している。尚、減価償却費が2018年12月期0.8億円、2019年12月期1.2億円計上されている。


資金使途

IPOにより0.5億円の資金調達を予定している。調達資金はエンジニア人員や営業人員等の人材採用費、人件費及び人材育成費に充当される。

また公募50,000株に対し、売出330,000株であり売出株数の多いIPOである。売出は日立製作所210,000株及びEEIスマートエナジー投資事業有限責任組合120,000株により行われる。


株主構成

筆頭株主は城口社長であり株式シェアの24%(うち9.4%は潜在株式)を保有している。第2位株主(株式シェア10%、うち4.0%は潜在株式)は有田代表取締役COOであり、代表役員2名で30%以上の株式が保有されている(潜在株式を除くと両者で株式シェア21%の保有)。

第4位株主(同7.6%)のB Dash Fund2号投資事業有限責任組合以下、多数のVCが株主参入しており、VC比率は19%である。VCはIPO後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結済み。

事業会社として住友商事株式会社(同1.2%)、出光興産株式会社(同1.2%)などが出資を行っている。(株式シェア2.7%を出資する日立製作所は売出で保有全株式を売却する)


まとめ

消費者向けの電力・ガス切り替えプラットフォームサイト「エネチェンジ」運営(エネルギープラットフォーム事業)及び、電力・ガス会社向けのクラウド型DXサービス(エネルギーデータ事業)を手掛ける企業のIPO案件である。

エネルギープラットフォーム事業とエネルギーデータ事業の両事業ともに2020年12月期は成長を予想しているが、全体では2019年12月期は赤字、2020年12月期は収支均衡の予想である。

電力自由化及び再生可能エネルギー活用の流れを受け今後も成長が期待できる。IPOによる資金調達は1億円に満たないが、IPO後も成長を継続し本格的な黒字計上に至ることができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、消費者向けの電力・ガス切り替えプラットフォーム「エネチェンジ」等の運営を行うエネルギープラットフォーム事業、エネルギー会社等向けのクラウド型DX サービス「EMAP(デジタルマーケティング支援SaaS)」及び「SMAP(スマートメーター活用SaaS)」等の提供を行うエネルギーデータ事業を展開している。二つの事業ともに、顧客数に合わせて収入がストック化されるのが特徴で、今期は赤字予想だが、いったん黒字化するとあとは顧客数の伸びに合わせて利益が出る仕組みとなっている。

株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が35億円、予想利益ベースのPERは赤字なので計算できない。上場当日の株価動向は、資金吸収額が3億円弱と極端に少ないことから需給で初値は高くなることが予想できる。上場日当日に初値が付くかどうか微妙なところだ。

セカンダリー市場においては、VCの保有比率が売出し後も50%近くあるため、ロックアップ解除後は需給の悪化も想定されるが、ビジネスモデルがストック型であることから、大きく売り込まれることがあったら、底値で拾っておいて長期保有に持ち込めば、大化けするかもしれない。短期勝負の投資家には向かない銘柄といえるかもしれない。