
【目次】 ①️ローランドIPOの基礎情報 ②ビジネスモデル解説(12/2更新) ③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(12/2更新)
ローランドIPOのスケジュール
ローランドのIPOスケジュールは以下の通りだ。
仮条件決定 | 2020/11/30 |
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ブックビルディング期間 | 2020/12/01 - 12/07 |
公開価格決定 | 2020/12/08 |
申込期間 | 2020/12/09 - 12/14 |
上場日 | 2020/12/16 |
ローランドのブックビルディング概要と初値予想
ローランドのブックビルディングの概要が次の通りだ。
仮条件 | 2,810円 ~ 3,710円 |
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公募価格 | 3,100円 |
当選株 | 6,147,800株 |
初値予想金額(※) | 2,800円 ~ 3,300円 |
ブックビルディング期間 | 2020/12/01 - 12/07 |
狙い目証券会社 | SMBC日興証券 |
ローランドIPOの幹事証券会社
ローランドのIPOの幹事証券が以下の通りだ。
IPOに申し込むなら主幹事である、SMBC日興証券で申し込んで抽選に参加するのがおすすめだ。
証券会社 | 割当率 | 前受金 | |
---|---|---|---|
主幹事 | SMBC日興証券 | 56.22% | 必要 |
幹事 | 野村證券 |
20.44% | 不要 |
UBS証券 | 13.55% | 必要 | |
松井証券 | 4.44% | 不要 | |
楽天証券 | 3.56% | 必要 | |
SBI証券 | 0.89% | 必要 | |
マネックス証券 | 0.89% | 必要 |
ローランド業績情報
業績推移
売上高 | 経常利益 | 当期利益 | |
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2018年12月期 | 612億円 | 52億円 | 30億円 |
2019年12月期 | 632億円 | 47億円 | 26億円 |
2020年12月期(予想) | 652億円 | 59億円 | 40億円 |
着実な増収を続けているが、2019年12月期は経常利益ベースで若干の減益となった。
2020年12月期は増収増益を予想している。尚、売上高の部門別では鍵盤楽器184億円(対前年同期比7.5%増)、管打楽器142億円(同0.0%増)、ギター関連機器174億円(同3.9%増)、クリエーション関連機器&サービス86億円(同3.4%増)、映像音響機器45億円(同5.4%増)であり、管打楽器以外はいずれも増収を見込んでいる。
尚、Q3時点で売上高463億円、経常利益48億円であり、通期予想達成に向けた進捗は順調である。
財務状況
2019年12月期末時点で資産合計435億円に対し、純資産合計182億円、自己資本比率42%である。借入金112億円に対し、現預金88億円を保有している。資産合計のうち、最大の科目は商品及び製品112億円である。
尚、ファンドによる非上場化の後の再上場案件であるが、無形固定資産は8.8億円に留まっている。
資金使途
IPO時に株主による売出(筆頭株主のTaiyo Jupiter Holdings,L.P. 11,710,000株)のみが行われ公募増資は行われない。よって同社自体の資金調達はなされない。
株主構成
筆頭株主(株式シェア91%)は投資ファンドのTaiyo Jupiter Holdings,L.P.。第2位株主(同2.0%、うち1.4%は潜在株式)は三木社長となっている。
ファンドが株式シェアの90%以上を保有する圧倒的な筆頭株主である。尚、Taiyo Jupiter Holdings,L.P.は保有25,949,430株のうち、最大11,710,000株を売出に拠出する予定となっている。
ローランドビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
ローランド株式会社<7944>は電子ピアノや電子ドラムなどの電子楽器の製造販売を手掛ける静岡県浜松市に本社を置く企業である。2014年に株式の非上場化を行っており、今回は再上場となる。
沿革
同社は1972年4月に大阪で設立され、電子楽器の製造販売事業を開始した。その後、1989年12月に大阪証券取引所市場第二部、1998年6月に東京証券取引所市場第二部に上場した。また1999年9月に東京証券取引所及び大阪証券取引所市場第一部銘柄に指定されている。
しかし2014年2月に米国系ファンドであるTaiyo Pacific Partners,L.P.の支援を受けてMBOによる非上場化を行った。今回は6年ぶりの再上場となる。

企業概要
同社は成長する電子楽器市場へ100%フォーカスしている。2019年12月期は鍵盤楽器(電子ピアノ)27%、管打楽器(電子ドラム)22%、ギター関連機器(エフェクター、楽器用アンプ)27%、クリエーション関連機器&サービス(シンセサイザー、ダンス&DJ関連機器等)13%という売上構成である。
また海外売上比率が高く2019年12月期は売上高の85%が海外売上である。内訳としては欧州31%、北米30%、中国11%、その他13%であり、日本は15%に留まっている。
尚、日本の楽器市場は少子高齢化の影響からマイナス成長であるが、海外市場は成長が続いており、特に中国は8.4%の高い成長率を誇っている。
また米国での市場シェアは電子ドラム1位、電子ピアノ2位、ギターエフェクター1位、ギターアンプ2位であり、高い市場シェアを有する製品を多数有している。

MBO後について
同社は2014年にMBOを行った。2014年3月期売上高433億円であったが、2019年12月期は632億円となり売上規模を拡大し再上場に至っている。
MBO後に、販社改革・オルガン事業の売却及び遊休資産売却・デジタルマーケティング強化・DJ分野への進出を行っている。

今後の事業計画
今後については、独自技術を結集した共通プラットフォームを積極的に活用し、既存コア分野での開発効率の向上を図り、収益力を強化する。
またソフトウェア音源のサブスクリプションサービスであるRoland Cloudの会員数増加に向け、継続的なコンテンツ供給体制やアプリ開発体制を構築する。共通プラットフォームを採用したハードウェアとソフトウェアの連携により、更なる付加価値向上に取り組む。Roland Cloudの展開により、ハードウェアメーカーからソリューションプロバイダーへ展開する計画である。
まとめ
電子楽器などの製造販売を手掛ける企業の再上場案件である。尚、本社は静岡県浜松市。売上高の85%が海外売上であり、海外売上が主力となっている。
2014年に米系ファンドの支援を受けてMBOを行い非上場化されており、6年をへての再上場である。海外売上中心に着実な増収を続けており、2020年12月期は対前年同期比で増収増益を予想している。尚、筆頭株主のファンドの売出のみのIPOであり同社自身の資金調達はなされない。
国内の楽器市場は縮小の一方で、海外の楽器市場は成長が続いている。世界的なコロナ禍の中でも、2020年12月期は増収増益の達成に向け進捗は順調である。
世界的なコロナ禍の影響下、来期2021年12月期及びそれ以降も継続的な成長を維持できるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。
POジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
当社は、電子楽器大手。電子ピアノや電子ドラム、シンセサイザー、ギター関連機器など電子楽器を開発、製造、販売を事業として展開している。海外売上比率が85%であり、世界最大の市場である北米で、電子ドラムで58%、電子ピアノで16%、ギターエフェクターで19%、ギターアンプで12%とかなり高いシェアを保有している。
上場市場は東証1部となる見込み。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が1014億円、予想利益ベースのPERは25.5倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が450億円と巨額なだけに、初値は取引開始直後に公開価格近辺で付くと予想する。初値が付いた後の動きとしては、東証1部銘柄であり、国内外の機関投資家も組み入れる銘柄になることから、相場全体の地合いが悪くなければ、下値は堅いと考えられる。
また、ファンドが売出し後も相当の株式を保有しているが、おそらく市場での売却はなく、機関投資家へのブロックトレードになるはずなので、需給に及ぼす影響はさほどないと推測する。セカンダリー市場においては、来期の業績予想が出る2月中旬頃から値動きが出て来ると予想するが、中国を中心として、この分野はまだまだ成長性があるため、上場直後に大きく買われてバリュエーションが高くならなければ、先回りして買って決算発表を待つという戦略もあり得るだろう。
ローランド
会社名 |
---|
ローランド株式会社 |
コード |
7944 |
市場 |
市場第一部 |
業種 |
その他製品 |
売買単位 |
100株 |
代表者名 |
代表取締役社長 三木純一 /1955年生 |
会社住所 |
静岡県浜松市北区細江町中川2036番地の1 |
設立年 |
1972年 |
社員数 |
862人(2020年9月30日現在) |
事業内容 |
電子楽器、電子機器およびそのソフトウェアの製造販売ならびに輸出入 |
URL |
https://www.roland.com/jp/ |
資本金 |
9,421,401,000円 (2020年11月11日現在) |
上場時発行済み株数 |
27,343,830株 |
公開株数 |
11,710,000株 |
連結会社 |
27社 |
大株主
Taiyo Jupiter Holdings, L.P. | 90.98% |
---|---|
三木純一 | 2.04% |
(株)日本カストディ銀行 | 1.72% |
ローランド社員持株会 | 1.21% |
柳瀬和也 | 0.89% |
池上嘉宏 | 0.88% |
ゴードン・レイゾン | 0.45% |
田村尚之 | 0.34% |
ジェイ・ワナメイカー | 0.27% |
湯川純郎 | 0.27% |
ロックアップ情報
指定された株主は上場後180日目または上場後360日目までは普通株式の売却ができず(例外あり)
調達額(公開株数×公開価格) |
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363億100万0000円(11,710,000株×3,100円) |
潜在株数(ストックオプション) |
ー |