
(画像=NET MONEY編集部)
【目次】
①️東和ハイシステムIPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント(12/9更新)
- 会社名
- 東和ハイシステム株式会社
- コード
- 4172
- 市場
- JASDAQスタンダード
- 業種
- 情報・通信業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役 石井滋久 /1945年生
- 会社住所
- 岡山市北区野田三丁目12番33号
- 設立年
- 1978年
- 社員数
- 125人(2020年10月31日現在)
- 事業内容
- 歯科医院向け統合システム(電子カルテ・レセプト・各種アプリケーション等)の開発・販売
- URL
- https://www.towa-hi-sys.co.jp/
- 資本金
- 68,000,000円 (2020年11月20日現在)
- 上場時発行済み株数
- 2,168,000株
- 公開株数
- 400,000株
- 連結会社
- なし
- スケジュール
- 仮条件決定:2020/12/07→2,180~2,300円に決定
- ブックビルディング期間:2020/12/09 - 12/15
- 公開価格決定:2020/12/16→2,300円に決定
- 申込期間:2020/12/17 - 12/22
- 上場日:2020/12/25→初値5,300円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:野村證券
- 引受証券:SBI証券
(SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:SMBC日興証券
(SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:
楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 大株主
- 石井滋久 53.11%
- (有)エス・イー 35.79%
- 石井恵美子 3.90%
- 猪子久美子 2.32%
- 石井滋雅 1.59%
- 河野圭哉 0.98%
- 東和ハイシステム社員持株会 0.79%
- 上山政己 0.49%
- 丹賢史 0.37%
- 髙橋睦治 山﨑武恆 0.18%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2017/09 単体実績
2,024,569 410,568 330,102 2,000,822 - 2018/09 単体実績
2,041,405 454,896 303,311 2,245,600 - 2019/09 単体実績
1,906,425 386,356 237,420 2,442,156 - 2020/06 第3四半期単体実績
1,461,946 375,035 239,945 2,639,722 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2021年3月24日まで
または、上場後180日目の2021年6月22日までは普通株式の売却ができず(例外あり) - 調達額(公開株数×公開価格)
- 9億2000万0000円(400,000株×2,300円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- なし
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 東和ハイシステム株式会社<4172>は本社を岡山市に置く、歯科電子カルテ総合システムに特化した、研究開発からシステムサポートまで自社で一貫提供する企業である。
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
■事業内容
同社では電子カルテ機能、レセプト機能に加え、来患分析等の各種アプリケーションとタブレット端末(iPad)を連携させて、これらを一元的に運営できる「歯科電子カルテ統合システム」を提供している。
同社の統合システムは下記特徴を有している。
・生体認証とデータベースソフトとを活用した「電子保存の3基準」の適合
・150万ステップ超のシステムボリュームによる手書きカルテと同様の利便性
・タブレット端末(iPad)を活用した様々なアプリケーションでの運用
また同社ではソフトウェア保守、システムサポート、バージョンアップの3つを無償で提供する「ソフトウェア三無主義」と定義付けるサービスを提供する。これにより顧客は同社の商品購入後、毎月定額の保守料等の費用負担なく、安心してサポートサービスを受けることができる。(ただし消費税率の値上げ等、制度自体の変更によりプログラム改修が必要となった場合は有償)
「ソフトウェア三無主義」に加え、同社社員による「顔の見える」きめ細かなサポート等で顧客満足度の向上に取り組んでおり、定期的なシステム買替の更新比率は95.6%(2020年9月30日時点)となり、殆どの顧客がシステム更新時に同社システムの買替えを行っている。
尚、同社の顧客が独自に結成している任意の互助会組織HMG(ハイデンタルハードメンテナンス互助会)があり、月当たり1,500円からの会費(システムの規模により変動)で同社のハードウェアの修理・保守等に係る費用負担や会員同士の情報交流がなされている。
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
■ビジネスモデル
同社は仕入先メーカーから機器等を仕入れ、同社が開発したシステムを搭載することで商品とし、これを歯科医院に納品・販売している。
また2020年10月31日現在、西日本を中心として23拠点に約100名の営業サポート社員を配置。全国3,135件の歯科医院に対し、専任の営業サポート担当社員が保守サービス等の「顔の見える」営業サポートを実践している。
■今後の事業展開
同社は西日本、特に中四国・九州を中心に事業を展開している。今後は更なる顧客基盤拡大のため関西ブロック、関東ブロックでのシェア拡大を課題に、人員の投入・新規営業拠点の展開・知名度の向上を行う考えである。
中国ブロックや四国ブロックでの同社市場シェアは3割前後を占めているが、関西ブロックは10%未満、関東ブロックでは1%にも満たないため、今後市場開拓の余地は残されている。
(画像=新株式発行並びに株式売出届出目論見書)
■業績推移
2017年9月期 売上高20億円、経常利益4.1億円、当期純利益3.3億円
2018年9月期 売上高20億円、経常利益4.5億円、当期純利益3.0億円
2019年9月期 売上高19億円、経常利益3.9億円、当期純利益2.4億円
2020年9月期 売上高19億円、経常利益4.0億円、当期純利益2.5億円
2021年9月期(予想) 売上高21億円、経常利益4.2億円、当期純利益2.7億円
業績は売上高20億円前後、経常利益4億円前後で安定している。2020年9月期は対前年同期比で売上高はほぼ横ばいながら、若干の増益である。
2021年9月期は増収増益を予想するが、2018年9月期が経常利益のピークとなっている。
尚、2019年9月期決算での上場申請であり、期超え決算でのIPOである。
■財務状況
2019年9月期末時点で資産合計28億円に対し、純資産合計24億円、自己資本比率87%である。借入金なく現預金17億円を有しており、財務内容に対し特段の懸念事項はない。尚、資産合計のうち最大科目は現預金である。
また2020年9月期末時点では、資産合計31億円、純資産合計26億円、自己資本比率86%となっている。
■資金使途
IPOにより5.3億円の資金調達を行い、下記使途を予定している。
・商品開発投資 2.2億円
・社内デジタル化推進 0.6億円
・既存商品・サービス機能向上 0.9億円
調達資金の約半数はクラウドを活用した新商品・サービス開発、AI機能及びこれに付随したデータ分析・顔認証を活用したシステム開発費などに充当される。
■株主構成
筆頭株主は石井社長であり株式シェアの53%を保有する。また第2位株主の有限会社エス・イー(株式シェア36%)は石井社長の資産管理会社。石井社長の関係先で株式シェアの8割以上が保有されており、安定的な株主構成である。
個人中心の株主構成であり、ファンドや金融機関の株主参入はない。
■まとめ
岡山に本社を置き歯科電子カルテ総合システムに特化し、研究開発からシステムサポートまで自社で一貫提供する企業のIPO案件である。
中四国・九州地区で一定の市場シェアを持ち、業績は売上高20億円前後、経常利益4億円前後で安定している。また自己資本比率も85%を超えており、財務内容も良好である。ただし関西及び関東の市場は殆ど手付かずの状態である。
競合は存在するものの、IPOを機会に関西及び関東の歯科医院を攻略することで更なる成長を果たすことができるのか、という点が今後の注目ポイントになると考えられる。 - IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント
- 当社は、歯科医院向けシステムの歯科電子カルテ統合システム「Hi Dental Spirit XR-10i」の開発販売を主たる事業として、メーカーから機器などを仕入れ、自社で開発したシステムを搭載し、歯科医院に納品・販売する事業を展開している。
上場市場は東証JASDAQ市場。株価のバリュエーションは、公開価格時価総額が50億円、予想利益ベースのPERが18.7倍となっている。上場当日の株価動向は、資金吸収額が約10億円程度であり需給面はタイトで、既存の株主にもロックアップがあり、市場で売買される株数は限定的となっているが、上場市場がJASDAQと言うこともあり、やや人気に課題もあり、初値は前場の遅い時間もしくは後場の早い時間につくと推測する。
セカンダリー市場においては、配当が1株55円の予想だが、決算期が9月ということもあって、配当買いが入るのはまだまだ先のことになる。12月はIPOが多く、銘柄としては地味であるため、人気薄となるかもしれないが、上場後のラリーの後、公開価格近辺まで株価が調整してきたら、投資妙味があるといえるだろう。逆に、上場後も公開価格近辺で推移するなら、1月以降のIPOがなくなる時期の循環物色の買いに賭けてみて良いかもしれない。