病気やけが、メンタルの問題、育児や介護など家庭の事情といったさまざまな理由で、一時的に休職して職場を離れてしまう人もいます。

いったん休職すると復職が難しく、一時的に収入が途絶えてしまったら貯蓄や家族の支援だけでは生活費を賄えなくなる場合があります。

ただし、ここで安易にお金を借りることは非常に危険です。お金を借りる前に、利用できる可能性がある公的な給付金や貸付制度について知っておきましょう。

そもそも休職中の給料はどうなるのか?

休職中,お金がない
(画像=PIXTA)

休職に関する法律はなく、休暇中の給与が支給されるかどうかは、会社が定めたルールで決まります。つまり会社に休業中の給与を補償する義務はありません。詳しく見ていきましょう。

・休職中の給与は会社に支払い義務はない

会社は休職中に労働者に給与や休業補償を支払う必要はありません。休職制度のある一部の企業を除き、休職中は無給となってしまいます。短期間の休職であれば、節約したり両親の助けを借りたりして、無給でも生活することができるでしょう。

しかし、長期休職をする必要がある場合、または就職したばかりで貯蓄が少ないのに休職することになった場合は収入不足が大きな懸念材料になるおそれがあります。

また、貯蓄がいくらあったとしても、いつ復帰できるか分からないと、お金がなくなるのではないかと不安になってしまうでしょう。

・就業規定で記載があれば支払われる

一般的に休職期間中は給与が出ませんが、就業規定(就業規則)などの社内のルールや、休職の理由そのものによっては支給されます。満額かどうかは規定によるものの、給与の支払いあるいは手当、給付金などを支払ってもらえる可能性があります。

休職に関するルールはあくまでも会社が任意に定めるものです。そのような事態になった場合には、まず勤め先の就業規定ではどうなっているのかを確認しましょう。

休職中に契約できるカードローンはほぼ皆無

一時しのぎででもお金を借りたいとき、すぐに思い浮かぶのは消費者金融のカードローンでしょう。ところが、これはほとんど望みがありません。

消費者金融は銀行と異なり貸金業者のため、貸金業法の総量規制の対象になります。総量規制とは貸付額を年収の3分の1以内に制限する規制ですが、そもそも収入のない休職者では融資自体が不可能になります。

では銀行系カードローンはどうなのかというと、こちらも借り入れは難しいでしょう。

銀行のカードローンは消費者金融などに比べて、金利が低いローンサービスです。だからこそ、貸し倒れリスクを避けるために審査が厳しくなっています。そのため、総量規制とは関係なくても、銀行の自主規制により無理な融資を極力避ける傾向があります。ましてや休職者となると、そもそも融資審査の対象から外す銀行がほとんどでしょう。

クレジットのキャッシングは使えるけれど要注意

休職中でも、すでにクレジットカードを持っていれば、多くの場合キャッシングサービスで借り入れができます。

しかし、借り入れはできるだけ避けるべきです。借りるにしても注意深く行いましょう。クレジットカードのキャッシングで借り入れすると、1ヵ月後に返済が始まります。返済できない金額を借りると、返済のために再びお金を借りなければなりません。その場合、借入額が雪だるま式に増えるおそれがあります。キャッシングの金利は消費者金融並みに高いので注意が必要です。

また、すぐに仕事を得たとしても、最初の給料日前に返済日が来て、支払わなければならない場合も考えられます。

キャッシングで借り入れをする前に、これから紹介する方法を実践したり、家族や親しい人に正直に相談したりしてキャッシングを避ける方法を検討しましょう。

健康保険の傷病手当金

休職の理由が病気の場合、会社以外からの手当として傷病手当金を受け取れます。これは健康保険によって提供されるので、健康保険組合に申請します。

給付額は、支給開始日直前の12ヵ月の平均月給の3分の2が目安です。傷病手当金を受けるには、3つの条件があります。

1つ目は、その病気が労働者災害保険の対象ではないということです。もちろん美容整形など、病気とみなされない項目は対象外です。

2つ目は、就業不能な状態であることです。就職の可否は、医療従事者の意見と被保険者の業務内容の両方を参考にして判断します。

3つ目は、連続する3日間を含む、4日間以上就業できなかった事実があることです。単に4日以上休むだけでは、傷病手当は受けられません。まず3日連続で休んでいる必要があります。有給や土日祝日の休みでも連続の3日間に含まれ、3連休の4日目から就業できない日数分の給付を傷病手当金として受けられます。4日目以降は断続的でよく、同一疾病による支給期間は最長1年6ヵ月です。

例えば、うつ病のために1年間休職し、傷病手当金を受け取ったとします。その後、症状が改善して仕事に戻り、5ヵ月後またうつ病のため休職した場合、すでに支給開始から1年5ヵ月を過ぎているので、傷病手当金はそこから1ヵ月分のみ支給されます。

これは同じ病気で休職と復帰を繰り返した場合、いずれは傷病手当を受け取ることができなくなることを意味します。病気で休職をする場合は、病気を治して再発を防ぐように努めましょう。違う疾病やけがによる休職は、また別に計算されます。

労災保険の休業補償

労災保険の休業補償の給付は、通勤途中や就業中で発生したけが、あるいは原因が業務にある病気の療養のために会社を休むときに適用されます。

通勤中の事故(通勤災害)は休業給付、就業中の事故(業務災害)が原因のものは休業補償給付と呼ばれます。

診療開始から1年半、休業前の給与の80%を受給できます。これには休業(補償)給付や休業特別支給金が含まれます。1年半たっても治療が必要な場合や後遺障害がある場合は、傷害(補償)年金を受け取ることができます。

傷病手当と同様に、休業(補償)給付は3日間の待機期間があります。会社は労働基準法の規定に基づいて、この3日間について労働災害の場合にのみ休業補償を支払います。法律では、休業補償額は平均日給の60%以上ですが、実際には100%が支給されているようです。

生活福祉資金貸付

生活福祉資金貸付は、低所得で金融機関から借り入れできない人に融資を行う行政サービスです。低所得の一般的な基準は、住民税が免除されていることです。

低所得世帯に加え、障害者世帯や高齢者世帯にも融資を行っています。原則として保証人を設ける必要があり、保証人を設ければ利子は免除されます。保証人がいなくても、年利1.5%の低金利で貸し付けが受けられます。

生活支援費として単身者で月額15万円、2人以上の世帯で月額20万円、貸付期間は原則3ヵ月、最長12ヵ月までの利用が可能です。

また、一時生活再建費として、就職職活動や資格取得に最大60万円を貸し付けてくれます。融資内容や各都道府県の連絡先は、厚生労働省のホームページで確認できます。

保証人を探す必要がありますが、無利子で借りることができるので、生活福祉資金貸付の利用を検討することをおすすめします。

母子福祉資金貸付(父子・寡婦)

母子福祉資金貸付は、20歳未満の子どもを支えるひとり親家庭や寡婦の経済的自立を支援するための融資です。就業しているかどうかは申請資格と関係がなく、申請時点の生活状況が審査の基準となります。

相談・申込先は居住地の自治体の福祉相談窓口です。申し込みから貸し付けまで2〜3ヵ月かかるため、急ぎの借り入れを希望する人には適さない場合があります。

求職者支援制度

休職中のため雇用保険が受けられない人は、求職者支援制度を利用できます。求職者支援制度は、早期再就職を目的とした職業訓練を実施することにより、資格取得などのスキルアップを図る制度です。

この制度により、無料で職業訓練を受けることができ、条件を満たしていれば職業訓練受講給付金も受給できます。雇用保険に加入していない人だけでなく、雇用保険の受給期間がすでに終わっている場合も利用が可能です。

・特定休職者とは何か?

求職者支援制度の対象は、一定の条件を満たす人に限られます。まず、ハローワークでの求職活動を考えており、雇用保険の対象外または雇用保険の受給期間が満了し、意欲と能力がある人です。

さらに、ハローワークから職業訓練が必要だと判断された人です。これらの条件を満たす人は、特定求職者として指定されます。

特定求職者には、何らかの理由で失業した人だけでなく、就職活動に失敗した大学生も含まれます。また、雇用保険に加入しておらず、廃業した自営業者にも適用されます。

・職業訓練受講給付金を受け取る方法

職業訓練手当の条件は、申請者の月収が8万円以下、世帯の月収が25万円以下であることです。また、家計が保有する預貯金などの金融資産は300万円以下でなければなりません。

その他の条件には、不動産を所有しているかどうか、職業訓練の出席率などがあります。職業訓練の手当を受け取るには、すべての職業訓練に参加する必要があります。

ただし、病気や悪天候による遅刻や欠席を考慮し、80%以上の出席率があれば給付対象となります。

緊急小口資金貸付

緊急小口資金貸付は、生活福祉資金貸付の1つであり、生活が困難になったときに緊急または一時的に融資されるものを主に指します。

あくまでも緊急の貸し付けで、金額は10万円に制限されているため、もっと借りたい人には適していません。補償申し込みから貸し付けまで5日〜1週間程度かかるので、日数も考慮に入れておきましょう。

長期的に就業できない場合は生活保護を

病気が原因の場合は、症状が改善しないと仕事に戻れません。長期休業の間に借り入れをした場合、返済できる可能性は低くなります。

傷病手当金は支給期間が決まっており、親族からの援助も限界があります。そのような場合は、福祉手当の受給を検討しましょう。

生活保護を受けるためには、いくつかの条件があります。生活保護の支給に関する審査は世帯ベースで行われるため、ほかの世帯員に貯蓄や資産があれば対象になりません。車や家を所有している場合は資産があるため生活保護を受けられませんが、賃貸住宅に住んでいる場合は対象となります。また、休業補償や傷病手当金を受け取ることができない場合のみになります。

休職中に利用できる可能性のある、公的な給付金や貸付制度について紹介してきました。休職中のお金の悩みを解決できるよう条件をよく調べ、自分に合ったサービスや制度を活用しましょう。