ネットマネー 2017年1月号より一部を特別公開!

12月はIPOラッシュ!2016年の勝率は約8割!

年間IPOの約2割が12月に集中。それに合わせて、直近に新規上場した銘柄にも買いが入りやすい傾向を狙おう。

IPO株の初値は公募価格を大きく上回る

外国人投資家が冬期休暇に入る12月は、個人投資家が主役の座を取り戻し、とりわけIPO(新規株式公開)株がにぎわう。つられて中小型株や新興市場株も値上がりしやすい。理由はIPO株の初値が公募価格を上回るケースが多いため、「既上場株にも振り替えの買いが入る傾向が強い」といちよし証券の宇田川克己さんは分析する。本当に初値が公募価格を上回るケースは多いのか。宇田川さんが計算した「対IPO公募価格の初値上昇率」によると、直近ではアベノミクス相場が始まった2013年の120%上昇(2・2倍)が目立つが、それに及ばないものの2015年は85%上昇、2016年でも70%も上昇した。

12月はIPOラッシュ!2016年の勝率は約8割!
(画像=ネットマネー)

なぜIPO株の初値は公募価格よりも高くなるのか。大きな理由は「プライマリーディスカウント」(初期の割引)にある。「一般の投資家にはなじみにくい銘柄もあるため、既上場の類似銘柄に比べてバリュエーションが割安に設定されている傾向がある」のだ。また、公開金額が小さい銘柄も多いので「そこに個人を中心とした人気が集中して初値が高くなる傾向がある」という。

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うれしいことに、年末という慌ただしい時期にもかかわらずIPOに踏み切る企業は多い。「12月のIPOの状況」を見ていただきたい。年間IPO数に対して12月の割合が高いことは折れ線グラフを見ればわかる。2016年もこの傾向は続くだろう。なぜ12月に集中するのか。「その年に上場を目指す会社の上場時期が後ろ倒しになり、ぎりぎりの12月に駆け込むということが挙げられます。同じ理由で年度末の3月も多いですね」(宇田川さん)

もうひとつは12月が株価の上昇が期待できる月でもあるからだ。小粒のIPO株は個人投資家の資金で十分に動かせるため、12月に新規上場すると個人投資家の〝餅代稼ぎ資金〞により株価の上昇が期待できるわけだ。

ではIPO株を買うと、どの程度の勝利が見込めるのか。「2016年のIPO状況」を見ていただきたい。10月中旬までに59銘柄が新規上場していて47勝、11敗、1引き分けで勝率8割という戦績。2015年は約9割だった。だからこそ12月はIPO株と、そのIPO株が属するセクターの類似銘柄を狙うべきなのだ。

12月はIPOラッシュ!2016年の勝率は約8割!
(画像=ネットマネー)

幸いIPO株の数は2009年を底に増え続けていて、ここ数年は100銘柄に迫る勢いを見せている。「企業の上場意欲は昔から変わっていません。しかし市場環境が整わなかった」(宇田川さん)。2006年にライブドア・ショックが起こり、市場全体への信認が薄れた。2008年にはリーマン・ショックにより、株価が全世界で暴落した。証券会社や監査法人の合従連衡が進み、大証のヘラクレス市場がジャスダックに統合され、さらに大証が東証の傘下に入るという変化が起こった。未曽有の災害も忘れられない。経営者が株式市場の先行きが見えてから上場したいと考えるのは当たり前だろう。

IPO株に連動し中小型株も上昇へ

このようにIPOを取り巻く環境が激変する中で、IPO株の主役は誰なのだろう。「かつて2本柱となっていたのはバイオ関連とゲーム関連株でした」(宇田川さん)

しかし、2000年ごろから始まったバイオ関連株の上場ラッシュは落ち着きを見せて踊り場に差しかかっている。その一方で、上場ラッシュ初期に上場したそーせいグループのような銘柄が収益を上げるようになっていて、売買代金ランキングの上位に入るケースも見られる。ゲーム業界は上位の寡占化が進み、ミクシィ、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、コロプラに集約されつつある。

では、今後有望なセクターはどこなのか。宇田川さんはIoT、AI(人工知能)関連に注目する。

「飲食を含めた流通・小売りの人気も普遍的です。なかなか相場の柱が出てこない状況ですが、投資家が既上場株との比較でIPO株に割安感を見いだせば、年末に向けて起爆剤になりそう」

IPO株はもちろん、抽選にはずれても既上場の中小型株(下の表参照)に活路を見いだすことができそうだ。

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(画像=ネットマネー)

順張りで勢いに乗る!右肩上がりの絶好チャート20

個人投資家の多くは、「そろそろ下げ止まるはずと期待して、逆張りを好む。だが、上昇中の銘柄がさらに勢いづくことを見込んで投資する順張りのほうが勝率は高いのだ。素直に相場の流れに乗れ!

中小型株で上昇中の銘柄に順張りが王道!

外国人投資家がアベノミクス相場を牽引したのは周知の事実で、2012年秋から日経平均2万円到達の2015年夏までに、彼らは累計20兆円も日本株を買い越したという。だが、今年の1〜9月には、約6兆円を売り越しており、「1〜9月としては統計開始の1982年以来となる過去最大の規模です」と岡山憲史さんは指摘する。

「海外勢が弱気になったのは、企業業績への不安があるためです。昨年末に1ドル=120円台だった為替相場が100円台になり、輸出関連企業に業績下方修正の懸念が生じています」(岡山さん)

外国人投資家の売りを吸収して買い支えているのは、日銀によるETFの買い入れだ。言葉を変えれば、外国人投資家と日銀の〝綱引き〞が続いている大型株は、なかなか方向感が定まらないともいえる。岡山さんはこう言う。「日経ジャスダック平均の上昇が顕著であるように、東証1部の主力株の動きに不透明感が強い中で、中小型で値動きのいい銘柄が物色される傾向が強まっています。円安が進んで日経平均の上昇が顕著になれば話は別ですが、そうでなければ中小型株における個別物色が続くでしょう」

つまり、中小型株の中ですでに人気化し始めている銘柄がさらに続伸する可能性が高いということだ。そういった方向感が明確になっている銘柄に照準を合わせて順張りを仕掛ければ、おのずと勝率も高まるだろう。

「出来高の増加を伴って上昇中のものを中心に、チャート的に狙える20銘柄を選んでみました。たとえば、FRONTEOは法的紛争・訴訟の際に証拠保全のための電子データ収集や分析を手がけるUBICが社名変更した会社。AIを活用してガン患者に適した治療法を選ぶ新規事業に取り組むなど、チャート的にも強いが、話題性もあります。また、ケイアイスター不動産は上場来高値の2999円を上抜けば、一段高が期待できそうです」(岡山さん)

もちろん、残る18銘柄も同様に勢いづくものばかりだ。

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(画像=ネットマネー)

“超高速取引"の事業者は登録制に

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金融庁は、アルゴリズムを用いた“超高速取引"を行なう事業者に登録制を導入する方針を示した。「超高速取引は市場の流動性を高めているとの声もあるが、現実には市場の不安定化を助長している」と岡山さんは指摘。登録制導入はむしろ朗報だという。

マーケットバンク 代表取締役 岡山憲史さん
日本初の資産運用コンテスト「S1グランプリ」で優勝した。トレードに関するシステムを開発し、投資家に助言を行なっている。