ネットマネー 2017年1月号より一部を特別公開!

資産運用の分野で「ロボアドバイザー(ロボアド)」が急速に普及している。パソコンやスマートフォンの画面に表示される簡単な質問に答えるだけで、投資家の投資スタイルに合った資産配分を教えてくれるという手軽さが人気の秘密。そこでネット証券4社のロボアドの特徴を紹介する。

ロボットが投資家を診断し資産配分を決める

金融とテクノロジーの融合を表すフィンテック(Finteck)から生まれた「ロボアドバイザー」(以下、ロボアド)が資産運用の手助けをしてくれる―、そう聞くと人間と会話をする「ペッパー」などのように、AI(人工知能)を搭載した資産運用アドバイザー的な人型ロボットと対面し、各種データを見せながら金融商品の説明や資産運用に関する書類を作成してくれるサービスを想像したくなる。

しかし、残念ながらロボアドは人型ではなく、パソコンやタブレット端末、スマートフォンを通じて利用するサービスの名称だ。証券会社や銀行などが続々と導入を開始しており、無料で利用できるものから手数料を支払えば運用をすべてお任せできるものまで、多様なサービスが用意されている。

では、なぜロボアドが注目されているのだろう? 投資家の立場で言えば、長期的な資産運用では国内外の株式や債券にバランスよく分散投資するのがセオリーということはわかっているが、①初心者にとってどの資産をどれくらいの割合で保有すればいいかを決めるのが難しい、②中・上級者でもそんなことを考えるのは面倒、③しかも複数の商品を売買するのには時間と労力が必要。ロボアドは、そんな①と②、商品によっては③の手間を省いてくれる(資産運用に関わる煩わしさを軽減してくれる)ので注目されているというわけだ。

ただ、現段階ではロボアドが行なうアドバイスの範囲は、投資の入り口の部分に限られている。入り口とは投資家がパソコンなどの画面に表示される「投資理論に基づいた質問」に答えていくと、投資家のリスク許容度(どれくらいの損失に耐えられるか)の診断を行ない、その結果をもとにした最適な資産配分(ポートフォリオ)を提示されるところまで。投資一任契約を結ぶラップ口座では投資信託やETF(上場投信)を、投資環境の変化に合わせて自動で売買してくれるサービスを提供しているが、現状では投資診断をしてくれるロボアドとは別に人の手が加わるサービスであるということを頭に入れつつ、証券会社4社のロボアドのサービス内容を見ていこう。

ロボアドバイザーサービス入門
(画像=ネットマネー)

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一人一人の状況や目標に応じてアドバイス!マネックス証券 「マネラップ(MSV LIFE)」

「マネラップ」ではロボアドによる資産運用プランの作成とラップ口座のサービスの両方が受けられる。それでいて実質費用は1%未満と低い。

目標達成確率を重視した資産運用のプランが作れる

マネックス証券は、ロボアドを活用した個人向け投資一任運用サービス「マネラップ(MSV LIFE)」を提供している。

プランの作成は「イイね!ポイント❶」のように、①ためる、②たのしむ、③そなえるの3つの基本計画タイプを選ぶところから始まる。①はまとまった資産をつくりたいときで、「教育資金」「飲食店開業」「500万円」といった具体的な目標が示されているのでとてもわかりやすい。②はまとまった資金を有効活用するための計画、③は「ためる」と「たのしむ」を組み合わせて、「イイね!ポイント❷」のように、ある時点まで貯めていき、ある時点からは年金のように取り崩すようなプランを作ることができる。

マネックス証券 「マネラップ(MSV
(画像=ネットマネー)

プランを作成するうえで大切なのは「目標達成率」という考え方。「一般的なロボアドはポートフォリオを提示することが多いのですが、『マネラップ』では目標達成確率を重視していて、利用者はこれを変化させながら、いろいろな資産計画を作ることができます」とマネックス証券の岩井美樹さん。とはいえあまりに確率の低いプランは〝賭け〞になってしまうので、80%以上の達成確率でなければ契約締結プロセスには進むことができない仕組みだ。

最低運用金額は1万円と低く、利用者が負担する実質費用は年1%未満(税込み)に抑えている。ポートフォリオの運用ではバンガードのリソースを活用し、「高品質なサービスを提供する」という。

マネックス証券 「マネラップ(MSV
(画像=ネットマネー)

リスクを回避しながら低コストで運用可能楽天証券 「楽ラップ」

楽天証券のラップサービス「楽ラップ」は10万円から始められ、投資対象は小口投資にも対応。手数料は固定報酬と成功報酬から選べる。

ロボアドを使うと投資家の意向を100%反映できる

楽天証券では、ロボアドバイザーが資産配分をアドバイスするラップサービス「楽ラップ」を提供している。従来のラップサービスと異なるのは、①ネットですべての手続きが完結する、②最低投資金額10万円から始められる、③手数料を抑えているという点。

楽天証券 「楽ラップ」
(画像=ネットマネー)

資産運用プランを作成するのはもちろんロボアド。楽天証券の東眞之さんは、「人が相手では会社側の思惑など違う要素が入る恐れがありますが、ロボアドは投資家の答えに忠実に判断します。また投資家に迷いが生じれば途中でやめることもできるので、納得のいくポートフォリオが作成できます」と利点を説明する。

それにしてもロボアドが投資家に提示する質問がとてもユニーク。質問の目的は投資資金の性質やお金の貯め方・使い方に関する考え方、リスクに対する考え方などを知るためだが、質問自体はそれとは無関係のような「少し体の調子が悪いと感じました。どうしますか?」といったもの。答えとしては「すぐに病院へ行く」などの4答が用意されている。これは資産運用の知識がなくても迷わず答えられるように考えられた結果。最低投資金額10万円という小口から始められるが、汎用性が高く小口投資に適した国内投信を中心に採用しているので「十分な成果が期待できる」(東さん)という。

ポートフォリオの作成はロボアドが行なうが、アセットアロケーション(資産配分)やポートフォリオの見直しについての助言は、世界的なコンサルティング会社のマーサーから受ける。 手数料コースは①固定報酬型と②運用結果に応じて成功報酬がかかる成功報酬併用型から選べる。投資顧問料と運用管理手数料の合計で、①は最大で運用資産の年0・702%(税込み)。同じく②は最大で運用資産の年0・594%となり、成功報酬は実質運用益に5・40%(税込み)を乗じた額となる。

楽天証券 「楽ラップ」
(画像=ネットマネー)

約1万円から米国TETFに投資できるエイト証券 「8 Now!」

エイト証券は米国ETFを投資対象とした「8Now!」を提供中。さらに投資未経験のミレニアル世代に向けて「クロエ」を12 月中に提供予定。

12月中には新しいラップサービスが登場

エイト証券は外国株投資と国際分散投資を主に扱うオンライン証券会社。現時点ではロボ・アドバイザーのアドバイスを受けながら、米国ETFへの分散投資を88米ドル(約1万円)から始められるラップサービス「8 NOW!(エイトナウ)」を提供中だ。

エイト証券の飯盛信文さんは、「投資をしたいのにこれまでできなかったミレニアル世代(25〜35歳)にも利用していただきたい」という思いから、①シンプルなこと、②投資のハードルが低いこと、③コストが安いこと、④簡単な操作で取引ができることという条件を満たすラップ口座をつくった。ただ、米国ETFは国際分散投資には適しているものの米ドル投資になるし、情報も少ないため、投資のハードルが低いとは言いきれない。

そこでエイト証券では12月中に新しいラップサービス「クロエ」を始める。最低投資金額は「8NOW!」と同水準の1万円。こちらは日本円での投資となり、日本株インデックス、新興国インデックス、債券型ETF、J -REIT(不動産投信)など投資初心者にもわかりやすい東京証券取引所上場の6ETFに資産を配分することで国際分散投資を実現する。

「特徴的なのはアプローチの方法です」と飯盛さん。一般的なロボアドはリスクプロファイルを作るための質問をして答えを求めるが「それでは質問の意味がわからなかったり、リスクの捉え方に迷うことがあります。そこで『クロエ』はゴールベースアプローチという手法により、車を買いたいといったゴールと、その達成目標時期を設定するだけで、最適なポートフォリオを提案します」

簡単操作にもこだわり、スマートフォンをメインの取引ツールとした。諸費用もシンプルで、投資家はポートフォリオの評価額の年0・9504%(税込み)を投資顧問料として負担するだけだ。また、ペナルティーなしでいつでも追加購入や売却ができる。「『クロエ』は、当初はナビゲーターですが、AIにより投資家の質問に答えられるようなロボットに育てたい」そう。

エイト証券 「8 Now!」
(画像=ネットマネー)

もっと気軽にロボアドを体験したいなら…カブドットコム証券の 「FUND MEⓇ」

カブドットコム証券では無料のスマホアプリにロボアドを活用している。

まるで服を選ぶように投資診断と最適な投信選びができる

カブドットコム証券は、ロボアドによる投信のシミュレーションサービスアプリ「FUND MEⓇ」を提供している。「スマートフォンで利用できる無料アプリの『FUND MEⓇ』は、メインの利用者として女性を想定しています。洋服を選ぶような感覚で投信選びができるデザインを目指しました」とカブドットコム証券の松永亜弓さん。女性中心のチームが開発に携わり、初心者が違和感なく利用できるよう「証券会社のカラーを薄めることを心がけた」という。

診断は年齢・性別、投資経験などを選ぶだけで、わずか30秒で完了し、資産構成比、地域別構成比、過去・将来チャートの4つの視点からシミュレーションを行なう。

また、カブコムの顧客のデータをもとにした年代別のリスク度合いがヒートマップで表示され、自分のリスク許容度がどのくらいなのかが一目瞭然。さらに、リスクレベルに応じた投信のポートフォリオを提示し、アセットアロケーションを提案する。あとはカブコムに口座を開いてアドバイス通りの投信を買うだけだ。

カブドットコム証券の「FUND ME」
(画像=ネットマネー)
カブドットコム証券の「FUND ME」
(画像=ネットマネー)

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