ネットマネー 2017年1月号より一部を特別公開!

今月の投資戦略日本株機関投資家などのプロがお休みモードに入り、節税目的の個人が処分売りをしがちな12月。年末高の波に乗るためには、その特性を理解した銘柄選びが重要だ!

個人投資家が前向きな理由でロスカットをする12月

「終わりよければすべてよし」と言います。株式市場でも、そんな気分が生まれがち。年末に株が上がれば、来年に向けて投資の機運も上がるといった雰囲気があります。

早いもので、もうすぐ12月。2016年も年末です。12月には、ほかの月にはあまりない投資行動が見られます。これを意識しておくだけで、年末高が現実となったときに取り残されるといったことも避けられるはず。今月のテーマは、「今年の勝ち株、負け株を見極めるべし!」です。

12月は、普段は活発に売買しないような個人投資家が重い腰を上げる唯一の時期になります。その理由は……「節税」です。値上がりを期待しながら我慢して持ち続けた塩漬け株も、この時期に限っては節税という前向きな理由が生まれるため、損切り(売却)する投資家が出てきます。

たとえば、値上がりしている保有株の含み益が100万円の投資家がいたとします。一方で塩漬け株の含み損も100万円あった場合、年内に売却して損失を確定すれば損益が相殺できますよね。今年、全体相場が年末高に向かった場合も、個人投資家の多くが塩漬けにしていると想像される銘柄については、節税目的の売りに見舞われ、地合いの波に乗れない可能性が考えられるわけです。

昨年の負け株はソフトバンクグループ。今年の負け株は…

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(画像=ネットマネー編集部)

昨年でいえば、ソフトバンクグループが年末の損切り株の代表格でした。12月初旬にかけて上昇した日経平均株価とは逆に動き、11月末時点で年初来1割ほども下落していたのです。信用買い残の多い人気銘柄ですが、それが逆に需給を悪くしたのでしょう。

昨年の後半には「アップルの成長神話崩壊」という大きな転換期を意識させられる話題もありました。それが村田製作所など、年前半に上昇していた電子部品株の崩壊につながります。結果、年末にかけてアルプス電気をはじめとする〝含み損の優良銘柄〞を持っていた投資家は損切りの売却に走りました。この現象と同じことが、今年の負け株の中から起こる可能性が高いでしょう。

では、今年の負け株は? まず、最も想定外だった失速テーマは「インバウンド(訪日外国人)」関連で間違いないはずです。昨年の流行語大賞にもなった「爆買い」のバブルは今年に入ってあっさり崩壊してしまいました。

象徴的な存在だったラオックスのチャートを見れば、塩漬け株の多さも想像できます。百貨店のJ・フロントリテイリングや松屋、時計のセイコーHDも軒並み下方修正されました。インバウンド関連株の悲観材料は、すでに存分に織り込んでしまったともいえます。ただ、「そろそろ戻るだろう」と、チャートを見た感覚で買うのは避けたいところ。こうしたリバウンド狙いの買いに、節税目的での処分売りをぶつけたい投資家がかなり多いと思われるからです。 主力銘柄の塩漬け株としては、今年は小野薬品工業でしょうか。夢のガン免疫治療薬「オプジーボ」による収益急拡大から、今年の4月に上場来高値の5880円をつけました。

ただ、超高額な薬であることが社会問題にもなり、「厚生労働省が薬価改定を待たずに臨時で薬価を引き下げる方針」との報道が……。小野薬品工業の来期の利益拡大シナリオが崩れたことから、株価も高値から半分以下に。信用買い残は1000万株強と、2日分に相当する規模で積み上がったままです。薬価のリスクを織り込んだとみてもいいのですが、それにしても需給整理には相当な時間がかかりそう。

年末にかけて日本株全体の地合いがよくなったとしても、こういった負け株は避けたいところ。需給が良好な勝ち株で真っ向勝負するべきです。VR(仮想現実)元年となった今年、高値圏を維持した強いソニーの存在が光りました。デフレに強い株が見直される流れから、上場来高値を再チャレンジする鳥貴族も勢いがあります。

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(画像=ネットマネー編集部)

金融ジャーナリスト 岡村友哉さん
証券会社の営業、金融情報ベンダーでアナリストを務めた後、現職。日経CNBCで日々、キャスターをこなす