ネットマネー 2017年1月号より一部を特別公開!

これまでとは異なる意味合いで市場の意表を突いた日銀の金融政策見直し。〝量〞から〝金利〞へのターゲットの切り替えの陰で、実はETF買いの対象もひそかに見直されている。今回は、その点に着目!

日銀ETF買いの対象が日経平均からTOPIXへとシフト

ひと言で表現すれば、足元の相場は〝買い手不在〞の様相を呈してきました。8月に外国人投資家は1・3兆円超もの売り越しに転じ、個人投資家もその動きに追随したのです。唯一の買い手は、従来3・3兆円だったETF(上場投信)の年間購入枠を6兆円に拡大する追加緩和策を7月下旬に発表した日本銀行のみでした。

金融緩和策の一環である日銀によるETF買いは、単に枠を大きく広げただけにとどまりません。これまで日経平均株価に連動するETFを中心に買い付けていたことから、識者の間でその弊害が指摘されてきました。そこで、8月以降は日経平均に代わって、TOPIX(東証株価指数)に連動するETFを買い付けの中心に位置づけています。

日経平均は東証1部上場の225銘柄の株価から算出されますが、その計算方法の特性から、株価の高い銘柄ほど構成比率が高くなっています。言い換えれば、株価の高い一部の銘柄が日経平均に大きな影響を及ぼすようになっているのです。日銀が日経平均連動型のETFをどんどん買えば、そういった銘柄の株価がいっそう上昇しやすくなるうえ、日銀がそれらの筆頭株主に躍り出てしまう可能性も出てきます。

こうしたことから、矛先がTOPIX運動型へと向けられたわけです。同指数は時価総額に比例した算出のため、日経平均のようなゆがみは生じません。今回のランキングは、この日銀の政策見直しに着目したもの。まず、左ページ上段の表は「TOPIX構成比率-日経平均構成比率」のマイナス数値が高かった10銘柄。すなわち、日経平均への寄与(影響)度が高い銘柄とみなせます。

TOPIXにおける構成比率が高い銘柄の株価上昇が顕著に!?

【日銀のETF買いの方針転換で上がりやすい株・上がりにくい株トップ10】

株KABUサテライト
(画像=ネットマネー編集部)
株KABUサテライト
(画像=ネットマネー編集部)

特に日経平均に大きなインパクトを与える〝ご三家〞と位置づけられ、投機的な動きも観測されてきたのがファーストリテイリング、ファナック、ソフトバンクの3銘柄。そして、KDDIもそれらに次ぐ存在とされてきましたが、みごとに4位までの顔ぶれが一致しています。

5位以下は、上位4銘柄と比べれば寄与度は低くなっています。日銀による買い支えがTOPIX連動型へとシフトした以上、日経平均は今までと比べれば値動きが限定的になってくる可能性があるでしょう。そうなると、日経平均の寄与度が高い銘柄の値動きもさえなくなりそうです。

これに対し、左ページ下段の表は逆に「TOPIX構成比率-日経平均構成比率」の数値が高かった銘柄です。つまり、TOPIX連動型のETFが買われると、連動しやすい銘柄ということになります。国内最大の時価総額を誇りながらも、日経平均への寄与度はさほど高くなかったトヨタ自動車が1位となったのは当然でしょう。

2位以下の特徴としては、メガバンク3銘柄が顔をそろえていること。銀行株はマイナス金利導入に伴う収益性の悪化が悲観され、かなり売り込まれてきました。その結果、日経平均における構成比率は低いのですが、TOPIXの構成比率では3銘柄ともファーストリテイリングをしのぐ存在感を示しています。

10位以内に入った他の銘柄は、BtoB(企業間取引)のビジネスを営むキーエンスを除けば、いずれも個人投資家になじみの深い銘柄ばかりです。これまで日銀は、相場の下落局面でETF買いを実施してきました。この先、米国の利上げ決定で米国株にツレ安することがあれば、〝TOPIX敏感銘柄〞を仕込む好機となるでしょう。

松井証券 シニアマーケットアナリスト
窪田朋一郎さん
2001年、松井証券に入社。マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場を見続けている。個人投資家動向にも詳しい。