ネットマネー 2017年1月号より一部を特別公開!

相変わらずさえない展開が続く米国株相場。しかし、ブラジル株が年初来高値を更新するなど、10月の外国株相場は国・地域によってまちまちに推移した。今月も外国株のホットな話題を盛りだくさんにお届けします。

プミポン国王逝去もタイ株相場は急回復。ブラジル株の高値続く

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(画像=ネットマネー編集部)

10月の外国株相場は、米国のNYダウ平均が軟調に推移したものの、中国株とブラジル株は上伸。特にブラジルの主要インデックスであるボベスパ指数は、前月末に比べて11・2%高と好調ぶりが目立った。

米国株は、2016年中に追加利上げが実施されるとの見通しがくすぶっていることに加え、大統領選挙が目前に迫っていたこともあって方向感の定まらない展開となった。NYダウ平均の10月の終値は前月末に比べて0・9%安の1万8142ドルに。10月13日には一時1万8000ドルを割り込んだが、この時期発表された経済指標や7〜9月期の企業業績がおおむね好調だったことから、翌日にはすぐに大台を回復した。

しかし、相場の勢いに力強さは感じられず、月末に至るまで混迷状態が続いた。中国本土株は、10月1日から7日までの国慶節(建国記念日)休暇が明けた10日の上海総合指数が、休暇前日より1・45%高と2カ月ぶりの大幅上昇を記録。その後も、中国政府による過剰生産能力削減策が効果を発揮しつつあるとの期待から、エネルギー株や原材料株などを中心に相場を押し上げた。10月の上海総合指数の終値は前月末に比べて3・2%高となった。

ブラジル株相場は、10月2日に行なわれた同国の地方選挙で、テメル新政権の地盤固めが進んだとの期待などから上昇気流に乗ったようだ。

同国のボベスパ指数は10月5日に節目の6万ポイントを超え、10月の終値は6万4924ポイントと前月に引き続き年初来高値を更新した。 東南アジアでは、タイのSET指数が10月10日に急落。プミポン国王の容体悪化の知らせが悪材料となった。しかし国王が逝去した翌日の14日に相場は急回復。国民による消費抑制などの動きはさほど懸念されていないようだ。

今月の注目国 本土から資金流入へ。香港H株に割安感

国家戦略よりも重要度が高い「健康中国」に注目

香港市場は戻りを試す展開が続きそうだ。米国の利上げを織り込む中、本土市場からの資金流入や中国の政策支援などへの期待が支援材料となるだろう。中国景気の先行きに不透明感は残るものの、足元の経済指標からは安定化の兆しも見られており、目先、波乱要因になる可能性は低い。

本土市場から香港市場への資金流入期待は根強い。8月以降、人民元の先安観を背景に資金の逃避先として香港株が注目されていることに加え、当局の規制緩和の動きが後押しし、「滬こ港こう通つう」(上海と香港間の相互株式投資制度)を通じた中国本土投資家による香港株投資が急増した。足元では沈静化しているが、相対的にH株が割安な状況に変化はなく、「深しん港こう通つう」(深センと香港間の相互株式投資制度)の運営開始を契機に、本土市場から香港市場への資金流入期待が再び盛り上がりそうだ。

また、中国政府が進めるPPP(官民連携)プロジェクトに期待が高まっている。10月に発表された第3弾リストはそれまでを大きく上回る規模で、総投資額は約1兆2000億元(約18兆円)に上る。年初から減速が目立った民間の固定資産投資は落ち着いているものの、依然として低い伸びにとどまっており、政府はPPPプロジェクトによって活性化させたい考えだ。

もっとも、不動産市場の動向には注意が必要だろう。バブル抑制に向けた住宅購入規制強化の流れが急激に広がる中、今後は販売の伸びが鈍化する可能性が高い。中国経済の下支えに一役買っていた不動産市場が落ち込めば、中国経済に対する不安が意識される局面も想定できる。

注目セクターとしては、医療やスポーツウエアなど「健康中国」関連を挙げたい。中国政府は「健康中国」を国家戦略より重要度の高い「優先発展戦略」に位置づけ、医療制度の改革やサービスの拡充、医療施設の整備・管理強化などを通じ国民の健康増進を目指している。中国政府系の医薬品卸売・小売業の最大手、シノファームは安定度の高いビジネスモデルが強み。医薬品メーカーのように臨床結果や特許、開発コストなどの影響を受けず、取扱量の増減が業績に直結する。政策の後押しを背景に市場拡大が見込まれる中、最大手であることで恩恵を享受できそうだ。

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また、中国人の消費スタイルの変化(モノから体験へ)によるレジャー・娯楽支出の拡大が追い風となる業種にも注目。国慶節の大型連休では、観光消費が堅調に伸び、旅行先もより遠方を選ぶ傾向が確認された。こうした中、旅行の目的地としての魅力を高め、最悪期を脱したと見込まれるマカオのカジノ銘柄の戻りに期待したい。なかでもサンズ・チャイナは、人気のコタイ地区で9月に新施設をオープンして存在感を高めている。

岡三証券投資戦略部グローバル株式戦略グループ
シニアストラテジスト
紀 香(きの かおり)さん
中国・上海の大学を卒業後、2006年に岡三証券入社。入社以来10年間、中国株をはじめとするアジア株のリサーチを担当。中国での留学生活や出張で得た経験や知識をもとに、レポートやセミナー、テレビなどで情報を

米国株を買わないのはなぜですか?

多くの日本人が加入している生命保険。がん保険を開発したパイオニアの米国アフラックと2010年に上場した第一生命を比較してみました。

第29回米国の保険会社VS.日本の保険会社

日本の保険市場は米国に続いて世界2位の規模を誇る

日本人の多くが加入している生命保険ですが、市場の成長性はどうでしょうか?生命保険料の合計を国別に見てみると、世界第1位が米国で、なんと第2位が日本です。日本市場に外資系の保険会社が多い理由がよくわかりますね。

今回は米国のアフラックと日本の第一生命ホールデイングスを比較してみましょう。

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まずアフラックは、日本にも支店のような形式でサービス展開している、世界で初めてガン保険を開発したパイオニアです。実は収益の7割程度が日本で、高齢化している長寿国日本においては今後の需要はこれからも高水準で続くでしょう。

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さて、保険料収入において、2015年3月期に日本生命を抜いてトップとなった第一生命は、1902年に日本初の相互会社形式による生命保険会社として設立されました。歴史のある会社です。直近は減益となっているもののファンダメンタルズ指標のPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)、配当利回りからすると投資妙味がありそうです。ただ、アフラックの過去5期平均による売上高成長率や営業利益率では、アフラックがいかに伸び盛りであるかがわかります。また、第一生命の上場日からの変化率チャートを比較して見ても、アフラックは右肩上がりの傾向にあり、トレンドに乗りやすそうだと考えられます。日本でもなじみのあるアフラックの成長性に期待ですね。

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マネックス証券
福島 理
国内外のマーケット事情をはじめ、個人投資家の売買動向、テクニカル分析などを幅広く研究。国際テクニカルアナリスト連盟・国際認定テクニカルアナリスト(CFTe)。

スパイシ〜・マ〜ケットの歩き方

第56味 中国 中国リスクの一つ中国企業の債務問題は改革の切り札 「DES」 が有効な手段となるか?

中国企業の債務不履行件数は、前年の2倍を上回るペースで推移中

国慶節の長い連休から明けた10月10日、中国政府(国務院)は「市場化した銀行債権の株式化に関する指導意見」を発表しました。 この発表の狙いは、中国企業が抱える〝債務の株式化〞を推進していこうというものです。

中国企業の債務問題は中国リスクのひとつです。債務の株式化は、「DES(デット・エクイティ・スワップ)」(*)と呼ばれ、企業の債務(借金)を株式化して、債権者である銀行に譲渡することです。

企業側にとっては、債務返済の負担軽減や、株式化によって自己資本も増えます。また、銀行側にとっても不良債権が処理され、株主として経営を監視しやすくなるのです。さらに、企業が息を吹き返すことができれば、株価上昇や配当の恩恵にもあずかれます。

実は、債務の株式化は中国株市場において、たびたび話題に上ってきたテーマなのです。直近では今年の春先に見られた、上海総合指数の上昇を演出した材料のひとつでもありました。

先の発表では、債務の株式化の対象となる企業の分類が挙げられました。

その内容は、①景気減速によって一時的な経営難に陥っている企業、②成長性はあるのに債務負担が足かせになっている企業、③過剰生産能力を有する業界の上位企業という3つのタイプです。

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もちろん、〝ゾンビ企業〞は対象外です。せっかく債務を軽減しても、企業自体で稼ぐことができなければ、株式の価値は高まることはなく、企業の経営効率の改善も進まないと、再び債務が増えてしまう恐れがあります。

問題は、債務の株式化の対象企業を見極めるプロセスができるかです。特に③については、国有企業の統合が進んでいるさなかでもあり、ゾンビ企業が寄り集まって業界上位となって、債務の株式化の対象になってしまう可能性も考えられます。

国慶節の前後には、中国の国有鉄鋼大手企業の2社(宝鋼集団と武漢鋼鉄集団)が統合するという発表があった一方で、国有特殊鋼大手が経営破綻と報じられ、報道では「残す企業とつぶす企業」のバランスをとっているような印象でした。

なお、2016年の中国企業の社債デフォルト(債務不履行)は、前年の2倍を上回るペースで増えているといわれており、国有企業改革にかける時間はあまり残されていません。「どの企業を残し、どの企業を淘汰するのか」という選択は、これから本格化することになります

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田雅之
新光証券などを経て、2011年10月より現職。ネット証券唯一の中国マニアでテクニカルアナリスト。歴史も大好きで、お城巡りと古地図収集が趣味。