ネットマネー 2017年1月号より一部を特別公開!

国家戦略よりも重要度が高い「健康中国」に注目

香港市場は戻りを試す展開が続きそうだ。米国の利上げを織り込む中、本土市場からの資金流入や中国の政策支援などへの期待が支援材料となるだろう。中国景気の先行きに不透明感は残るものの、足元の経済指標からは安定化の兆しも見られており、目先、波乱要因になる可能性は低い。

本土市場から香港市場への資金流入期待は根強い。8月以降、人民元の先安観を背景に資金の逃避先として香港株が注目されていることに加え、当局の規制緩和の動きが後押しし、「滬こ港こう通つう」(上海と香港間の相互株式投資制度)を通じた中国本土投資家による香港株投資が急増した。足元では沈静化しているが、相対的にH株が割安な状況に変化はなく、「深しん港こう通つう」(深センと香港間の相互株式投資制度)の運営開始を契機に、本土市場から香港市場への資金流入期待が再び盛り上がりそうだ。

また、中国政府が進めるPPP(官民連携)プロジェクトに期待が高まっている。10月に発表された第3弾リストはそれまでを大きく上回る規模で、総投資額は約1兆2000億元(約18兆円)に上る。年初から減速が目立った民間の固定資産投資は落ち着いているものの、依然として低い伸びにとどまっており、政府はPPPプロジェクトによって活性化させたい考えだ。

もっとも、不動産市場の動向には注意が必要だろう。バブル抑制に向けた住宅購入規制強化の流れが急激に広がる中、今後は販売の伸びが鈍化する可能性が高い。中国経済の下支えに一役買っていた不動産市場が落ち込めば、中国経済に対する不安が意識される局面も想定できる。

注目セクターとしては、医療やスポーツウエアなど「健康中国」関連を挙げたい。中国政府は「健康中国」を国家戦略より重要度の高い「優先発展戦略」に位置づけ、医療制度の改革やサービスの拡充、医療施設の整備・管理強化などを通じ国民の健康増進を目指している。中国政府系の医薬品卸売・小売業の最大手、シノファームは安定度の高いビジネスモデルが強み。医薬品メーカーのように臨床結果や特許、開発コストなどの影響を受けず、取扱量の増減が業績に直結する。政策の後押しを背景に市場拡大が見込まれる中、最大手であることで恩恵を享受できそうだ。

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(画像=ネットマネー編集部)

また、中国人の消費スタイルの変化(モノから体験へ)によるレジャー・娯楽支出の拡大が追い風となる業種にも注目。国慶節の大型連休では、観光消費が堅調に伸び、旅行先もより遠方を選ぶ傾向が確認された。こうした中、旅行の目的地としての魅力を高め、最悪期を脱したと見込まれるマカオのカジノ銘柄の戻りに期待したい。なかでもサンズ・チャイナは、人気のコタイ地区で9月に新施設をオープンして存在感を高めている。

岡三証券投資戦略部グローバル株式戦略グループ
シニアストラテジスト
紀 香(きの かおり)さん
中国・上海の大学を卒業後、2006年に岡三証券入社。入社以来10年間、中国株をはじめとするアジア株のリサーチを担当。中国での留学生活や出張で得た経験や知識をもとに、レポートやセミナー、テレビなどで情報を