ネットマネー 2017年1月号より一部を特別公開!

中国企業の債務不履行件数は、前年の2倍を上回るペースで推移中

国慶節の長い連休から明けた10月10日、中国政府(国務院)は「市場化した銀行債権の株式化に関する指導意見」を発表しました。 この発表の狙いは、中国企業が抱える〝債務の株式化〞を推進していこうというものです。

中国企業の債務問題は中国リスクのひとつです。債務の株式化は、「DES(デット・エクイティ・スワップ)」(*)と呼ばれ、企業の債務(借金)を株式化して、債権者である銀行に譲渡することです。

企業側にとっては、債務返済の負担軽減や、株式化によって自己資本も増えます。また、銀行側にとっても不良債権が処理され、株主として経営を監視しやすくなるのです。さらに、企業が息を吹き返すことができれば、株価上昇や配当の恩恵にもあずかれます。

実は、債務の株式化は中国株市場において、たびたび話題に上ってきたテーマなのです。直近では今年の春先に見られた、上海総合指数の上昇を演出した材料のひとつでもありました。

先の発表では、債務の株式化の対象となる企業の分類が挙げられました。

その内容は、①景気減速によって一時的な経営難に陥っている企業、②成長性はあるのに債務負担が足かせになっている企業、③過剰生産能力を有する業界の上位企業という3つのタイプです。

外国株情報
(画像=ネットマネー編集部)

もちろん、〝ゾンビ企業〞は対象外です。せっかく債務を軽減しても、企業自体で稼ぐことができなければ、株式の価値は高まることはなく、企業の経営効率の改善も進まないと、再び債務が増えてしまう恐れがあります。

問題は、債務の株式化の対象企業を見極めるプロセスができるかです。特に③については、国有企業の統合が進んでいるさなかでもあり、ゾンビ企業が寄り集まって業界上位となって、債務の株式化の対象になってしまう可能性も考えられます。

国慶節の前後には、中国の国有鉄鋼大手企業の2社(宝鋼集団と武漢鋼鉄集団)が統合するという発表があった一方で、国有特殊鋼大手が経営破綻と報じられ、報道では「残す企業とつぶす企業」のバランスをとっているような印象でした。

なお、2016年の中国企業の社債デフォルト(債務不履行)は、前年の2倍を上回るペースで増えているといわれており、国有企業改革にかける時間はあまり残されていません。「どの企業を残し、どの企業を淘汰するのか」という選択は、これから本格化することになります

楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト
土信田雅之
新光証券などを経て、2011年10月より現職。ネット証券唯一の中国マニアでテクニカルアナリスト。歴史も大好きで、お城巡りと古地図収集が趣味。