ネットマネー 2017年2月号より一部を特別公開!

【2月号】
2017年のマーケット動向を占う最大材料は、トランプノミクスで株高・ドル高が持続するかどうか。先行き次第で銘柄選びは劇的に変化しそうだが、どちらに転んだとしても株価を上向かせる材料のある狙い目銘柄はワンサカ。今月もピタッ!!と当たる株ニュースに注目だ。

イラスト●ナンシー小関
チャート協力●楽天証券

ピタッ1 今月の「貯め込みすぎに注意!」

3月に向けて増配を選択する企業が増えそうな深〜い事情とは…

2016年は株主への利益還元強化が株式市場の一大テーマだった。株主に目的を知らせずにキャッシュを貯め込むと批判の対象になるため、業績が好調で内部留保の厚い企業は株主にどう利益を還元するか悩む。株価が底値圏を離脱した企業ほど自社株買いより増配を選択する傾向が強く、3月期末にかけて増配期待が株価を押し上げていきそうだ。

増配か自社株買いの二者択一となると、増配は現金を配って終わりだが、自社株買いは株数が減って1株当たりの利益や資産が増えたままなので効果は永続的といえる。

こう書くと万能に見える自社株買いだが、実際には自社株買いが難しい企業は少なくない。

たとえばPBR(株価純資産倍率)が高い企業。東証1部全体では、PBRは平均で1・3倍程度。これが1・5倍ともなると、100円の資産に150円の株価がついている計算になる。この状態で自社株買いをすると保有資産を割高に買うことになり、株主の利益になるかどうかも怪しくなってくる。

増資を予定する企業も自社株買いより増配を好む。自社株買いの後に増資すれば、株数を減らしたいのか増やしたいのか、投資家は混乱する。それに、前もって増配で株価を上げておいたほうが、その後の増資による資金調達が容易になるためだ。

株式の大半を創業家や親会社が保有し、市場に出回る浮動株が少ない企業も、自社株を減らすのは難しい。日々の取引が細り、値動きが荒くなってしまうからだ。

こうした企業は自社株買いが難しく、株主に利益還元しようとすると、事実上、手段は増配に絞られる。政府・自民党の中でも麻生太郎財務相ら安倍政権の要人は、企業の内部留保への課税をちらつかせながら、使う当てのない巨額の利益剰余金を投資や消費に誘導すべきだと主張している。「貯め込みすぎ」の批判をかわすためにも、企業は利益還元を強化する必要があるのだ。

右の表に掲げた5銘柄は、9月中間期の業績が会社計画を上回った企業。増配が予想され、1〜3月期の躍進が期待される。 (植草まさし)

はみだしピタピタ その1
トランプ次期大統領の掲げる経済政策の中でも実現の可能性が高いのは大規模公共事業。道路や橋、上下水道などインフラ投資の必要性に関しては、選挙前に対立した共和党主流派とも意見が一致している。日本のゼ ネコン大手の中で北米の売上高比率が最も高い大林組(1802)と、セメント大手で北米の売上高比率が最も高い太平洋セメント(5233)が投資のベストな組み合わせになりそうだ。

ピタッ2 今月の「お膝元企業を組み入れ」

全国3位の地銀グループの誕生を記念した投信設定で茨城・栃木銘柄に妙味が!

樹木の新芽が出始めることを意味する「芽吹き(めぶき)」。その言葉を社名に採用したのが2016年10月に足利ホールディングスと常陽銀行の経営統合によって発足した、めぶきFG(フィナンシャルグループ)だ。総資産や資金量などでコンコルディアFG、ふくおかFGに次ぐ全国3位の地銀グループの誕生だ。 その発足を記念して10月22日に新規設定されたのが、投資信託の「先進国債券・茨城栃木関連株式バランスファンド」。同ファンドは茨城・栃木両県に関連する240社強の上場企業の中から総額の3割程度を組み入れるもので、そうなれば両県に本社を置く「お膝元・地元企業」の組み入れ期待が高まるところ。

通常、組み入れにあたっては流動性や財務リスク分析、時価総額などで銘柄を選別し、投資比率が決まることから、東証1部銘柄が対象となりやすい。銀行を除く茨城本社の1部上場企業では、ジョイフル本田、シンニッタン、ライトオン、ケーズホールディングス。一方、栃木本社の1部上場企業では、カワチ薬品、レオン自動機、コジマ、マニー、グランディハウス、元気寿司など。家電量販店ライバルのケーズホールディングスとコジマが対峙するのはおもしろい。また、1部上場ではないが、高い市場知名度があるマザーズ銘柄の介護ロボットベンチャー・CYBERDYNEも茨城県企業。こうした企業の中でも特に注目できるのは、食品機械製造のレオン自動機だ。今3月期予想の増益率は5%台と小幅ながら、コンビニ向けをはじめとする洋菓子、中華まん、クッキー、パンの加工機械が絶好調を持続。

将来的には成田国際空港の上場案件が再浮上してくる期待もあり、茨城・栃木関連は中長期的に関心を集めるだろう。流動性だけ注意しながら銘柄を選びたい。(竹中博文)

ピタッ3 今月の「出世候補」

アナリストが激賞する情報開示姿勢。プロトコーポレーションに注目せよ

ジャスダックのプロトコーポレーションは、東証1部昇格の有力候補銘柄。情報開示やコーポレートガバナンス(企業統治)の充実ぶりでは新興市場銘柄の中でも群を抜いて高く、日本証券アナリスト協会のディスクロージャー優良企業認定で1位(新興企業の部)を獲得した。2年連続、通算7回目のトップだった。

子会社の業績悪化などのマイナス情報も迅速に発表することで知られ、決算説明会のネット開示も実行済み。株主還元や現金の使途、目標とする経営指標の説明などについても理解を求める努力を欠かさない点で、他の新興企業との違いが際立っている。

本業は中古車情報の雑誌とネットでの提供。医療や介護情報にも手を広げ、規模拡大を急いでいる。1部昇格を果たした後は、機関投資家が買わない理由を探すほうが難しい銘柄になる。(伊地知慶介)


株業界の番猫・みけこさんの兜町キャッツアイ

第104回 東証地下に秘密トンネル? トレーニング室に理容室、スーツやワイシャツを売っている紳士用品店、本屋さん、営業マンに便利なクリーニング屋さん……。証券業界限定のお話だけど、共通点は何だかわかるかにゃ?

正解は、東京証券取引所ビル(以下、東証ビル)の地下に入っていたテナントさんたち。証券会社の人が手サインで株を売買していたころは、東証ビルの地下は小さな商店街だったんだにゃあ(遠い目)……。

でも、1999年4月に立会場は廃止。テナントは全部撤退して、「地下商店街」の痕跡は今ではまったくなし。本屋さんだけ地下鉄茅場町(かやばちょう)駅の上に移転して、その名も「トウショウ売店」のままで営業中だにゃ。この書店には投資関係の専門書がいっぱい並んでて、そこだけは昔の兜町のまま。

今の東証ビルの地下には、旧CB(転換社債)売買場の跡地に記者クラブやシステム業者さんの作業室があるくらいで、廊下を歩く人もまばら。でも、猫耳をピンと立てて澄ませると、人の声が聞こえてきそうだにゃあ。

ちなみに、東証ビルの一番下は地下3階まであるの。そこは変電設備のごう音が響くだけで何だか怖い感じ。ビル内を隅々まで歩いたことのある東証職員さんに聞いたけど、ネットの都市伝説にある「東証と野村證券本店の秘密トンネル」はないんだって。ちょっとガッカリしたにゃあ。


はみだしピタピタ その2
味の素(2802)は年が明けた2月に中期経営計画を公表しそうだ。現行計画は、海外売上高比率の拡大や時価総額の目標に加え、女性管理職の比率を20%に引き上げるなど独自色の強い内容を盛り込み、公表直後はアナリストに絶賛された。次期計画も他の上場企業に刺激を与える内容が予想される。2020年に世界の食品上位10社入りの長期目標もあるため、成長色の強い内容になりそうだ。

ピタッ4 今月の「安値買いチャンス!」

人気が薄れつつある百貨店株の中に土地の含み益で大幅高狙いの銘柄が

中国人観光客による〝爆買い〞が一段落して百貨店株は人気が薄れているが、「大丸」「松坂屋」を経営するJ.フロントリテイリングに限っては、このタイミングが安値買いの好機となるかもしれない。

最大の強みは好立地物件が多く、都市再開発のネタが豊富にあること。銀座最大の商業施設「ギンザシックス」の2017年4月開業もプラス材料だ。土地の含み益を勘案するとPBRは0・7倍にとどまり、株価はその割安さを訂正するだけでも大幅高の余地がある。また、野村證券が選定した注目銘柄「十本の矢」の1銘柄でもある。 (森田陽二郎)

ピタッ5 今月の「焙煎ごぼう茶ヒットで…」

食品関連株の好調さは地味だけど、実は強烈。優待狙いが上げを加速

3月決算企業の第2四半期決算発表(10月下旬〜11 月上旬)で増額修正が相次いだのが、化学、住宅資材、そして食品だ。特に食品関連銘柄では、プリマハム、日清食品、日本ハム、森永乳業などが続々と業績の増額修正に踏み切った。こうした食品企業には中期的な株価上昇波動を描く銘柄も多い。ここから数カ月間の期間で考えると、3月の株主優待権利が確保できる食品株への投資妙味は膨らむ。

ただ、円安は輸入原材料コストの上昇を招いてデメリットに働き、TPP(環太平洋経済連携協定)の迷走もマイナスに働く。しかし、そうした中でも、ヒット商品に恵まれる企業は業績を大きく伸長させている。

たとえば、あじかんは、主力製品である卵焼き類や焙煎(ばいせん)ごぼう茶を中心に需要が拡大中で、第2四半期の営業利益は前年同期の7倍。株価は1000円前後に急伸してもPBRは1倍割れでPERも1ケタ台という割安ぶり。

世界で唯一、粉末酒を製造している企業で、主要17カ国で製法特許を取得している佐藤食品工業は、増額した通期予想営業利益に対する第2四半期の進捗率がほぼ90%にまで達しており、再増額修正は必至だ。これらの3月決算企業には、株主優待の権利取り妙味がさらにここから働いてくる。 (大庭貴明)


河合ウオッチャー達憲のそのとき株は動いた!

かわい・たつのり カブドットコム証券投資ストラテジスト。毎週火曜のネットセミナーが大人気。テレビやラジオにレギュラー多数。大阪国際大学で講師も務める。著書に『株の五輪書』(マガジンハウス)。

主力のプリント配線板の設計・製造で国内上位に位置するメイコー。同社は自動車向けやスマホ向けの売り上げがともに拡大基調を続け、収益環境回復の追い風となっている。

今中間決算で通期の業績見通しを修正。本業の儲けを示す営業利益では、従来予想の38億円を44億円に上方修正した半面、経常利益と純利益ではそれぞれ下方修正した。

営業利益を上ブレさせた要因は、自動車向けの基盤市場が販売台数の増加に伴って大幅に伸長したことが挙げられる。これに加えて、自動運転システムや先進運転支援システムなど新規分野での受注が急拡大したことにより、利益率は低下したものの営業利益段階では上ブレとなったもようだ。

また、スマホ向けのプリント配線基板も伸長が持続する見通しであり、来期の業績では自動車向けと相まって経常利益の大幅拡大を期待していいだろう。

株価は米国大統領選挙でのトランプ・ショックと決算発表を嫌気して一時大きく下に振れたが即座に織り込み、下値292円から2倍を超える急上昇を演じた。

12月8日現在の株価600円台後半の水準でも、依然としてPERは24倍前後とまだまだ割安圏にある。

今後の目標株価は、電気機器セクターの平均PER22倍に応答する水準で試算すると660円が想定される。そして最終的には、2014年3月期の利益水準に応答する適正株価として815円を試す展開が期待できるだろう。


今月の爆上げ株3連発!

1.大京(東証1部・8840)
9年ぶりに自社株買いを実施したが、株主ファーストの姿勢は今後さらに強くなる。財務再建にメドが立ったのを背景に、今後5年にわたって純利益の5割を還元する方針だという。この大きな変化は、バリュー株選好の流れの中、機関投資家の新規買いを呼び込む大きな動機に。

2.ユナイテッド(東証マザーズ・2497)
LINEなどのアプリ株が2016年に相次いで上場。マーケットでは、「次の大物上場はフリマアプリのメルカリではないか」といった噂が流れ始めている。というのも、11月中旬に出た決算公告で、メルカリが前期に大幅黒字転換していたことが判明したためだ。早くから出資する同社に含み益期待は大!

3.MCJ(東証2部・6670)
中小型株ピッカーから地味に注目される存在。今期予想の上方修正にサプライズがあり、株価も大台1000円超え。HTCと結んだVR(仮想現実)ヘッドマウントディスプレーの国内販売代理店契約が期待材料。東証1部昇格も視野に。


はみだしピタピタ その3
個人情報流出を機に急激な業績悪化に見舞われたベネッセホールディングス(9783)だが、主力の通信添削「進研ゼミ」の2017年スタートの予約状況が高校1年生で5倍、中学1年生で2倍と絶好調だ。勝負 どころの3月までこの勢いを維持できれば、V字回復の可能性大。決算説明会で安達保社長がM&A(企業の合併・買収)について「大規模なものについても積極的に考えていきたい」と意味ありげな発言を……。

ピタッ6 今月の「次々、後に続く?」

トヨタグループ最大の部品メーカー、デンソーが巨額の株主還元策を表明

トヨタグループ最大の部品メーカーであるデンソーは9月中間決算後の業績説明会で、豊富な現金の使い道を初めて明らかにした。有馬浩二社長の説明では、M&Aや株主還元に3000億円を充て、設備投資にも同額を使う計画である。

デンソーは2兆3000億円もの利益剰余金を抱え、営業キャッシュフロー(現金収支)は1兆円の黒字と、ケタ違いの規模を誇る。これまでアナリスト説明会や記者会見などで、現金の使い道について何度も質問が出たが、明確な回答はなかった。

しかし、今回の説明会では1兆円のうち、M&Aや株主還元、設備投資で6000億円を予定していると発表。配当性向は2014年3月期に30%だったが、段階的に引き上げ、今期は46%になる。今後も株主還元の充実を続けていくという。

注目すべきは研究開発費。投下額は4000億円、売上高の9%に相当する。今後もこの対売上高比率を維持し、EV(電気自動車)や自動運転車の量産化時代に向けて、競争力強化を図っていく。デンソーがキャッシュの使い道を明示したことで、豊田自動織機や豊田合成、アイシン精機などほかのトヨタ系優良企業も投資や株主還元の具体的な計画を公表してくる可能性がある。(木島 隆)

ピタッ7 今月の「意図的慎重の見方も?」

長期投資で注目だった伊藤ハム米久HDが早くも2回目の上方修正

伊藤ハム米久ホールディングスが11月、今期2回目の業績上方修正を発表した。下半期の計画はまだまだ保守的で、3回目の上方修正も視野に入れてよさそう。6月発売の本誌8月号の当欄では、2017年以降の株価上昇を見込んだ長期投資向けの銘柄として紹介した。しかし業績は好調そのもので推移し、連続上方修正の快挙を早くも達成したのだ。

伊藤ハムと米久の経営統合による合理化はまだ途上にある。今後も生産体制の見直しなどで業績改善が続く公算が大きい。輸出拡大を目指しているところに、この11月以降、円安が急速に進んだことは、業績や株価のプラス材料だろう。

3月には今期3度目の上方修正の可能性がある。アナリストは「経営統合から間もないため、下方修正を嫌って意図的に慎重な予想を示している」との見方もある。 (東 亮)

ピタッ8 今月の「サケもびっくり?」

日本人にとって欠かせない食材の値上がりで、恩恵を受けるのは?

サケは、世界シェア2位のチリ産の漁獲高が気温上昇で急減したため、しばらく供給不足が続くとみられている。このサケの値上がりは、日本水産やマルハニチロ、極洋といった水産大手の上半期業績にプラスに働いた。さらに下半期は、為替が円安方向に反転している。上半期の減収要因まで消えており、「水産」は業績展望の明るい業種といえるだろう。

この恩恵が業績の数字としては1期遅れで表れるのがヨコレイだ。今期にノルウェー企業を買収し、アトランティックサーモンの需要が欧米向けで伸長。また、来9月期の養殖事業の営業利益が4倍に膨らむとも一部で報じられ、通期の営業利益を3割程度も押し上げるインパクトになりそうなのだ。一方、アナリストの来期予想は1割弱の増益。このズレが株価に反映されると、サケもびっくりの値上がりか?(真行寺知也)


トップの生セリフ BUY or SELL

今期、3年ぶりの黒字化へ有言実行で頑張っていく。2018年には1部に…。経営再建急ぐ方針を強調 2016年11月1日
シャープ代表取締役社長
戴正呉(たい・せいご)氏

2016年8月に東証1部から2部に転落したシャープ。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下での経営再建が順調に進み、2017年3月期は3年ぶりに営業利益が黒字に転換する見通しとなった。戴正呉社長は、黒字化について「有言実行で頑張っていきたい」と決意を示すとともに、「2018年には東証1部に戻りたい」と、さらなる経営再建と1部への復帰を急ぐ方針を強調した。2017年4月には中期経営計画の公表も予定されており、シャープの再建が加速しそうだ。

9月中間期は最高益、計画は前倒し達成へ。計画終了を待たずに次の成長計画か 2016年11月11日
NTT代表取締役社長
鵜浦博夫(うのうら・ひろお)氏

NTTの9月中間業績は営業利益も税引き後の最終利益も過去最高を更新した。鵜浦博夫社長は、2018年3月期までの中期経営計画の目標を「1年前倒しして達成できる」と胸を張った。同社長は記者会見で、現行計画の終了を待たずに新たな経営計画を策定する考えも披露。次に策定される経営計画は成長色の強い計画が予想される。


はみだしピタピタ その4
三井化学(4183)がこのほど、2026年3月期までの長期経営計画を発表した。化学品の市況変動で業績が左右される体質を脱却し、営業利益を2000億円(2017年3月期予想は880億円)に伸ばすな ど、積極経営色の濃いものだ。研究開発費を倍増させるほか、成長投資枠として1兆円を投下し、このうち4000億円をM&Aに充てる。成熟企業から成長企業への転換点となるか。

株ピタッBLACK

「一運、二金、三度胸」を持つ大人向けR指定ページ。
思惑株、裏ネタなどハイリスクな情報を凝縮した。
兜町をさまよう黒い噂、その真意は…。
株ビギナーと心臓の悪い人は読まないでね!

米国の助言会社が相談役制度に反対

社長経験者や天下り官僚を相談役や顧問などの肩書で厚遇する企業は少なくない。役員並みの高額な相談役報酬に加え、個室や専用車による送迎まで用意する企業もある。日本独特のこんな制度が強く揺さぶられている。

米国の議決権行使助言会社ISS(Institutional ShareholderServices)は、2017年から「ポリシー」を改定。アドバイザリー、つまり相談役のポスト新設の定款変更には株主総会で反対を勧めることにした。

ISSは東芝の粉飾決算事件を例に挙げて、相談役や顧問は会社に隠然とした影響力を行使する一方、取締役でなければ活動内容や役員報酬が開示されないと批判している。相談役報酬などのコスト負担に加え、相談役らOBがいる限り、後任社長が経営方針を変えるのが難しくなり、結果として株主の利益が損なわれることをISSは懸念している。社長退任後にライバル社の経営陣に加わることが珍しくない欧米では、社長や会長を退いた後に相談役として会社に残る日本独自のシステムはデメリットの固まりに見えるようだ。

これに対して、財界は表面上、静観の構え。しかし、内部ではISSをはじめとする議決権行使助言会社への反感が強まっている。

この種の企業は株主総会で諮る議案を機関投資家に代わって検証し、株主総会で賛否どちらに投票すべきかをアドバイスするのが仕事。東証1部だけで上場企業数が2000社ほどある中で、株主総会が特定時期に集中する現状を考えると、機関投資家による株主議決権行使には欠かせない業態だ。

一方で意見される立場の財界関係者からは議決権行使助言会社について、「株主総会議案の検証プロセスが明らかでない」「企業経営や株式市場への影響力が大きいので、金融庁の登録制にすべきだ」などの声が聞かれる。社長経験者らの知恵や人脈を無価値とみなすかのような議論には、反発が出て当然といえる。

一見すると真っ当な議決権行使助言会社の規制論ではあるが、規制で活動を抑制しようという不純な動機が隠れてはいまいか。財界の意見は金融庁も尊重せざるをえないため、財界団体がその気になれば、規制が実現するまでの道のりはそう遠くないだろう。

ISSの調査では、2016年6月に株主総会を開いた企業の28%が相談役などのポストを設けている。ISSが株主総会で反対投票を勧めるのはポストの新設だけで、既存の相談役ポスト廃止までは主張していない。日本企業の現状に配慮した〝現実路線〞の形である。

だが、「相談役=廃止が当然」という図式が定着すれば、相談役ポストを持つ企業は、遅れた統治体制を温存する企業というレッテルを貼られ、機関投資家からの評価も低くなる。相談役新設への反対が浸透した後は、相談役再任への反対投票推奨にコマが進むことは想像に難くない。株主本位を徹底するならば、企業は相談役や顧問が企業価値向上に役立っているとの理解を株主から得て、それができない場合に廃止も検討するのが筋だろう。

投資家の小さな不正も見逃さない…

金融庁が11月、インサイダー取引の疑いで金融庁に課徴金納付命令を出すよう勧告した。1件はALBERT、もう1件は高千穂交易の株が舞台で、メディアの扱いは小さかった。

兜町で話題になっているのが課徴金の額。1人当たり33万〜302万円と、少ないのだ。「大型事件がないため小口案件の摘発に走っているわけではなく、個人投資家の小さな不正も見逃さないという証券取引等監視委員会からのメッセージ」というのが某ネット証券幹部の見立てだ。


若林史江の10万円株爆上げカウントダウン♪

最近、個人投資家の間で話題になったことといえば、40年に1度の確率とされる「数字の4つ並び」。11月14日のTOPIX(東証株価指数)の終値が「1400.00」だったのです。これが何を意味するのかは定かでないのですが、実にピタリと気持ちのいい値段で終わったものです。ちなみに、40年に1度と言いながら、2005年3月11日と2016年2月22日にも似たことが起こっているので、本当に珍しいのかは疑問ですね(笑)。さて、個別株ですが……。

●シンバイオ製薬(4582)8月に承認された、慢性リンパ性白血病の治療薬「トレアキシン」の適応拡大が見込め、あと2種も承認待ち。臨床試験の最終フェーズである「第Ⅲ相」入りしているものもあり、現状の業績は厳しいものの早急な黒字化に期待が高まっています。

●クリーク・アンド・リバー社(4763)派遣・紹介や請負アウトソーシング、知的財産の3つの分野に対し、専門職に特化したさまざまなマネジメント事業を行なっています。売上高は会社計画を上回って推移。株価チャートでは日足で底打ちの気配が。

●テリロジー(3356)イスラエルのKELAと国内販売代理店契約を締結し、コンサルティングサービス「スレットインテリジェンス」の販売を開始。ハッカーなどの情報をモニタリングして脅威情報を共有しています。

わかばやし・ふみえ
株式アドバイザー、徳山大学経済学部特任講師。
10代から培ってきた株の相場観を生かし、“爆上げ候補"の低位株を紹介していきます!


はみだしピタピタ その5
ジャスダック上場のジオネクスト(3777)は「上場廃止の猶予期間」に入っているが、第3四半期(2016年1〜9月)段階で黒字化を達成し、黒字額は通期計画を上回った。2016年12月期の決算発表がある2017年2月にも「猶予期間」脱出が予想される。本当に脱出となれば株価は大幅に上昇するケースが多い。50円割れの超低位銘柄なのでリスクは大きいが、3割高、5割高と急騰する可能性もある。