ネットマネー 2017年2月号より一部を特別公開!

来月の日本株はどう動く?世界の市場ではどんなことが起こっている?日々めまぐるしく動く国内外の経済情勢を解説&予想する「サテライト」連載。 前半は日本株メインの投資戦略を3連発、後半は先進国やアジアなど気になる海外の国にスポットライトを当てながら、フレッシュな情報を「誌面中継」します!

来年の経済成長はプラス。官邸の賃上げ圧力増大

新春相場は業績予想の上方修正期待が株価を押し上げる可能性がある。原動力は円安と経済成長率の上昇である。11月半ばまでに主要上場企業が公表した想定為替レートは1ドル=100〜105円。期初に比べて円高方向に見直した企業が多く、業績予想の下方修正も相次いだ。

しかし、トランプ米国次期大統領の経済政策を先取りしてドル買い・円売りが活発化。1ドル=110円を超えての円安が進んだ。現時点でも、円の反動高を警戒する雰囲気は強い。このため、株価は円安シナリオの織り込みが不十分で、円安に比例する形で、株価は上値を追う流れとなりそうだ。

また、野村証券など大手証券のリサーチによれば、2017年は素材など製造業主導で上場企業の2ケタ増益が見込まれる。米国の成長加速などを背景とした企業部門の好調がプラス成長を支えるとみられ、個人消費の拡大は織り込まれていないようだ。

首相官邸サイドは経団連に対して次期春闘での賃上げを強く要請しており、可処分所得アップとなれば想定外の内需株相場に進展する可能性もありそうだ。

国内市場はこう動く...まとめ

① 1月相場は業績上方修正への期待で株価が上昇
② 今期想定為替レートは1ドル100〜105円に集中
③ 春闘の結果次第で想定外の内需株相場に進展

景気優先、利上げ急がず。緩やかなインフレ利用

「ハイプレッシャーエコノミー」―直訳すれば「高圧経済」である。米国のイエレンFRB(連邦準備制度理事会)議長が口にしたこの言葉の意味を、1月の海外市場はかみしめることになりそうだ。世界の金融市場の最大の関心事は、2017年に米国が何回利上げするかだろう。米国では現在、労働需給の逼迫が続き、賃金上昇が物価上昇に直結する。経済学の教科書通りなら利上げして景気にブレーキをかけるところだが、イエレン議長はインフレに目をつぶって、景気刺激を優先させ、利上げを急がない方針を示唆した。トランプ次期大統領が公共事業拡大など積極財政政策に傾く中、FRBも緩和的な金融環境を維持していく公算が大きい。

緩やかなインフレは株価にとってこれ以上ない最良の環境である。ただ、株価上昇中はインフレのリスクがどの程度かわからない。市場がもっとも恐れるのは、FRBの想定を超える強烈なインフレが進むことだ。

金と新興国通貨には警戒が必要だ。インフレに強い金が買われる一方、ドルに振り回される途上国通貨が急落すれば、危険信号とみていい。

世界市場はこう動く...まとめ

① イエレン流の「高圧経済」理論が真価を発揮
② 株高の背景にあるのは成長期待か、インフレリスクか
③ 金価格上昇・途上国通貨下落は危険シグナル

今月の投資戦略 日本株1 機関投資家が持っていない株にこそ、うまみがある!

世界中の株のポートフォリオが11月以降、激変。売られまくったあげくに放置されていた銀行株が上がり、インフレに強い銘柄が盛り上がり…。さて私たちがこれから仕込むべき株はどんな株?

メガバンクが急騰した背景には"ルール変更"が…

米国大統領選挙の後、世界が変わりましたね。新興国から資金が引き揚げられ、米国に資金が流入。低金利の長期化を前提に組まれた世界中の機関投資家のポートフォリオは、米国の長期金利が急上昇したことで"やり直し"の必要に迫られました。多くの機関投資家が大量に保有していた国債の代わりになる安定株(「最小分散」という言葉が流行)は売られ、インフレ率の上昇期待から景気敏感株に資金が流れ込みました。トランプ大統領決定で「ゲームのルールが変わった」と表現する市場参加者もいました。

この流れに日本株市場も翻弄されました。これまでマイナス金利政策が売り材料になってきたメガバンクに、驚くような買い注文が入ったのです。直前までは売りセクターの代表格だった銀行だけに、ウエートを落としていた機関投資家が多かったということ。だからこそ、"持たざるリスク"が意識されると、三菱UFJ フィナンシャルグループのような銘柄でさえ1日で11%も急騰するような動きに発展。これが、持っている人が少ない(=売る人が少ない)銘柄の強みといえます。

逆に、持っていた人が多かった最小分散系銘柄(JTやNTTなど)の売られ方はひどかった……。2017年に上がる株を考えるうえで、この事例は教材になります。

機関投資家が持っていないからダメなのか?

毎年起こっていることですが、現時点で来年上がりそうといわれているような人気テーマの株は上がらないことがほとんどです。それはなぜか? 多くの人が買って持っている状態では、「うまく上がってくれたら売りたい」という売りバイアスが常にかかっているからです。

たとえば、以前から上場観測で何度も盛り上がってきたLINE関連など。いずれも現実化した後、その関連株はきつい売りに見舞われましたよね。

期待で買われて現実で売られるというセオリー通りの現象です。逆に驚くほど上がる株は、事前に予測できなかったもの。たとえば『ポケモンGO』で社会現象を生み出すとは誰も思っていなかったですよね。業績が悪いことで多くの機関投資家が持っていなかった任天堂株は、その驚異的な上昇から"持たざるリスク"も生み出し、大相場に発展しました。また、広島カープの25年ぶりリーグ優勝はファンでも予想していなかった(笑)からこそ、ノーマークだったカープ関連株としてコンビニのポプラ株などが驚くほど上昇したわけです。

こうした発想を新年相場に生かしていくべきだと思います。すでに人気がある株は、持っている人が多いから売り圧力が強い。だからといって、驚きを呼ぶテーマを予測するのは無理。現時点でできることは、機関投資家があまり持っていない株に目星をつけることです。

具体的には、東芝が好例でしょう。不正会計問題で特設注意市場銘柄になり、その時点で売却した機関投資家が多いと思います。そろそろ東証1部復帰も期待されますし、半導体が好況で上昇してはいますが、まだ積極的には買えないはず。なぜなら、顧客のお金を運用する以上、説明責任があるからです。自動車株であれば、燃費不正が大問題になった三菱自動車も、機関投資家は持っていないでしょう。中小型株でいえば、高齢者への高額解約金が問題になったピーシーデポや、「食べログ」の評価点操作疑惑の浮上でフィデリティ投信も大量売却したカカクコム、お家騒動でアナリスト評価が急降下したクックパッドなど。

何か問題のあった銘柄を率先して選びましょう、と言いたいわけではありません。ただ、東芝は構造改革の成果が業績に表れ、開示姿勢も非常によくなりました。三菱自動車はカルロス・ゴーン氏が会長に就任し、V字回復に向けて始動しています。お家騒動くらいで、クックパッドのレシピを使わなくなる主婦がどれほどいるでしょうか? こういった着眼点が大切です。

今月の投資戦略 日本株2 激動の1年間に、投資家が最も活発に売買した銘柄は?

ブレグジットにトランプ氏当選と、予想を覆すショックが立て続けに発生した2016年だが、特に活発な取引が繰り広げられたのはどんな銘柄だったのか?今回は、年間の売買代金ランキングに注目!

2016年相場の主役は、やっぱり任天堂だった!

新たな年を迎えるにあたって、今回は2016年を振り返るという観点からランキングを行なってみました。年明げ早々、まさに波乱の幕開けとなりました。1月4日、中国の2015年12月の製造業PMI(購買担当者指数)が市場予想を大きく下回ったことから上海株が急落し、世界中に株安が連鎖。このチャイナ・ショックを皮切りに、6月にはブレグジット(英国のEU〈欧州連合〉離脱)、11月のトランプ・ショックと、相場に強烈なインパクトを及ぼす騒動が相次ぎました。

こうした環境の中で活発に売買されてきたのは、いったいどのような銘柄だったのでしょうか? 2016年における年間の売買代金で上位20社にランクインした銘柄を列挙したのが下の表です。

1位となったのは任天堂で、『ポケモンGO』が世界的に大ヒットして社会現象にまでなったわけですから、当然の結果ともいえるでしょう。

11月に発売したニンテンドー3DS向けのポケモン最新作も好調な売れ行きで、12月には『スーパーマリオラン』もリリースされ、さらに3月には新型ハード「ニンテンドースイッチ」も投入される予定です。大いに期待が高まるところですが、とことん盛り上がった銘柄がその翌年も相場の主役となるケースはほぼ皆無であるのも確か。果たして、任天堂はその例外となるでしょうか。

続いて2位に日経平均連動型レバレッジETF(上場投信)が入ったことは、2016年の相場動向を非常に反映しているといえそうです。日経平均株価の振幅がかなり大きかったので、レバレッジをかけてさらにハイリターンを狙う投資家が相次ぎ、同ETFの残高も膨らみました。もっとも、その残高に応じて先物取引で買いが入るというスキームになっていることから、同ETFの取引が活発化することが日経平均を大きく動かすという結果をもたらしているようです。

3位にそーせいグループが入ったのも、やはり2016年特有の現象でしょう。そのほか11位にガン免疫療法のグリーンペプタイド、13位にガンの特効薬「オプジーボ」の販売元の小野薬品工業、20位にも目の難病治療薬を開発するアキュセラが入ったように、バイオ関連が盛り上がった1年です。そーせいグループは東証マザーズ指数への寄与度が高く、2〜4月における同指数急騰の牽引役となりました。

日銀の金融政策が個別銘柄の売買動向にも影響

一方、4位にソフトバンクグループ、8位にファーストリテイリングと、日経平均への寄与度が高い銘柄がランクインしていることも象徴的です。日本銀行による日経平均連動ETFの購入が少なからず影響を与えているでしょう。同じく日銀絡みでいえば、マイナス金利の導入を悪材料視されたのが銀行株で、6位に三菱UFJフィナンシャル・グループ、9位にみずほフィナンシャルグループ、10位に三井住友フィナンシャルグループが入りました。

ほかには、AKBとコラボしたゲームが人気化した7位のブランジスタや、有機ELディスプレーの製造・検査装置を手がける15位のブイ・テクノロジーなど、個別の材料やテーマで買われた銘柄がいくつかランクインしています。ソニーも年後半からVR(仮想現実)関連の中核として盛り上がりましたが、『ポケモンGO』のAR(拡張現実)のほうが話題性では勝った1年となったようです。

少々意外だったのは、IPO(新規株式公開)銘柄がほとんど入らなかったこと。LINEやJR九州のような大型案件があったものの、14位にアカツキがランクインしただけです。同銘柄は3月のIPO直後から主に短期売買の投資家の間で人気化し、5月まで派手な上昇が続きました。あいにく、自動運転関連の主役級としてかねてから注目度が高く、12月19日上場予定だったZMPが、12月8日に上場延期を発表しました。2016年最後の盛り上がりが期待できただけに残念です。なお、グローバルに視野を広げれば、サウジアラビアは世界最大の石油会社である国営のサウジアラムコの新規上場をもくろんでいます。

果たして、2017年はどんな年になるのでしょうか?

今月の投資戦略 日本株3 激米国の長期金利上昇がカギ。当面優位な外需株の狙い目は

米国市場の立ち直りの速さに翻弄されつつ、必死でついていっている状態の日本株。 債券代わりの内需株から一転、外需の景気敏感株が反応し始めましたが、まだ買える割安銘柄は?

米国の大規模財政出動、大幅減税に期待感大。物色が180度転換

6月には英国のEU(欧州連合)離脱が決定、11月の米国大統領選挙では大方の予想を覆して共和党候補のトランプ氏が勝利するなど、2016年後半は2度の"まさか"を経験しましたね。そのたびに日本株は激しく乱高下しましたが、最もサプライズだったのは選挙翌日に米国株が上昇するなど、金融市場の立ち直りの早さでしょう。

その背景にあるのは、トランプ大統領が打ち出す大規模な財政出動や、大幅減税が米国経済を強烈に押し上げるという期待です。

大統領選挙後に米国の長期金利が大幅に上昇している点も要注目です。米国の10年国債利回りは大統領選挙前の1・8%台から、12月には約2・4%までアップしました。

長期金利の上昇がこのまま続くかが2017年の焦点

直近の金利急騰に関しては、トランプ大統領誕生後の政策実施で景気が拡大することに伴う「よい金利上昇」か、財政悪化懸念に伴う「悪い金利上昇」か、判断が難しい面はあります。ただ、「2017年も米国の長期金利の上昇は続くのか?」が、世界の金融市場の最大の焦点となりそうです。

長期金利の上昇は株式市場における物色の方向性に大きな影響を与えます。一般的に、長期金利の上昇局面では金融関連株のほか、割安感のある景気敏感株が見直される傾向があります。ここ数年の日本株は、長期金利の低下によって、債券の代わりに業績や株価に安定感のある内需株が買われてきました。そして2016年7月以降に長期金利が底入れの兆しを見せたときは内需株が売られ、外需株が見直されました。当面は外需株優位の展開になるでしょう。

下の表には、2016年7月下旬から9月中旬にかけて株価が上昇した、東証1部と2部の割安株をピックアップしています。地味ながら長期保有できそうな銘柄が多いですね。

7月下旬~9月中旬の長期金利底入れ局面で株価がきっちり上昇した割安株を整理!