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トランプ相場に続く本格株高へ 2017年の新テーマ株を先取り!

昨年は一時1万5000円台を割込んでいた日経平均株価。それが今や2万円までひと叩きの水準まで上がってきた。気の早い株式評論家からは、「今年はアベノミクス相場の初期のような動きになる」との声も上がっている。ちなみに、昨年は株価が上昇しているにもかかわらず、イマイチ儲かっていないという投資家が多かったという。含み損を放置する一方、上昇相場に素直に乗れなかったからだ。今年こそ、新テーマ株で大儲けを狙いたい。
写真提供●産経新聞社
撮影●村越将浩
取材・文●植草まさし、大西洋平

国内投資家と外国人投資家の両輪が駆動する2017年相場

英国のEU(欧州連合)離脱を問う国民投票や米国大統領選挙など、外部要因に振り回された昨年の日本株。しかし、終わってみれば、日経平均株価は昨年の大発会の水準を上回る1万9000円台で着地、年足チャートでは5年連続の陽線が立ち並んだ。

世界中が注目するトランプ大統領の就任は1月20日だが、すでに大統領選挙の翌日から世界の金融マーケットにはリスクオンの流れが広がり、「トランプラリー」や「トランポノミクス」と呼ばれ、投資家たちに歓迎されている。

一方、アベノミクスの下では依然として金融緩和が継続している。政府・日銀や年金資金による日本株買いも、まだ余力は十分。2017年相場は、国内投資家に加え、外国人投資家も日本株買いに参戦することになりそうだ。 ただ、やみくもに銘柄を買っていては資金効率も悪い。相場環境が良好な今こそ、日経平均やTOPIX(東証株価指数)を上回るパフォーマンスを狙いたい。

本特集では、2017年相場で新たに注目されそうな新テーマを予測。まだ手あかのついていない銘柄も数多く、投資家の資金がうまく流入すれば2倍高は夢ではない。2017年は株で資産を増やす絶好のチャンスだ。

2016年の再検証で浮上した 新年の焼き直し必至テーマ株

足元で株式市場をにぎわしているテーマや材料。昨年1年間を見ても、これらの関連銘柄は幾度となく蒸し返され、株価が反応している。その多くが、2017年も引き継ぎそうなものばかり。関連銘柄をウオッチし、次の相場では瞬発力で勝負だ!

官製相場は2017年も顕在。公的資金の下支え銘柄とは?

昨年、日経平均が下値を模索する中でも日本株を買い続けたGPIF。昨年11月に発表された運用報告では、7〜9月期がプラス1・84%、運用開始以来の年率は2・47%のプラスだという。2017年も年金資金は日本株を買いまくるはず。特に中小型株には要注目だ。

GPIFがこれから買い増す中小型株候補を先回り買い!

2017年は公的年金の巨額マネーが中小型株に流入しそうだ。日本の公的年金は世界最大級の機関投資家として知られ、その買い銘柄に選定されれば株価の大幅な上昇が期待できる。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は総資産132兆円。このうち株式での運用比率は21・6%と、運用目標の25%に届かず、GPIFはこれから株式を買い増すことになる。

現在は保有株式のうち、TOPIXやJPX日経インデックス400に連動するパッシブ(消極的)運用資産が8割、個別銘柄を選んで市場平均以上の利益を狙うアクティブ(積極的)運用資産が2割を占める。このうちアクティブ運用枠では、中小型株が組み入れられている。銘柄選定基準は非公開だが、配当利回りが高かったり、PBR(株価純資産倍率)が低かったりする下値抵抗力の強い銘柄を選んでいるフシがある。GPIFがリスクを取るといっても、投資資金は国民の大切な年金なので、冒険は決してしない方針なのだろう。

そこで注目は、東証と日本経済新聞社が共同開発した「JPX日経中小型株指数」。今年3月13日から算出を開始し、この指数に連動したETF(上場投信)の組成も予想される。構成銘柄は200銘柄。採用基準に営業利益やROE(自己資本利益率)のほか、社外取締役の選任状況や情報開示体制などを加えた「優良株指数」の性格が強く、機関投資家の運用ニーズを反映した設計が特徴だ。過剰なリスクを嫌うGPIFの運用方針とも合致する。

採用銘柄の大半は東証1部だが、東証2部と東証マザーズから各3社ずつ、ジャスダックから16社が選ばれている。これら東証1部以外の銘柄はGPIFの投資候補になるだけでなく、東証1部昇格の予備軍でもある。長期保有が楽しみな銘柄といえるだろう。

物価上昇、脱マイナス金利へ。有利子負債〝少〞のキャッシュリッチ銘柄

トランプ大統領の就任以降、円安基調が鮮明になってきた。今年は120円台で推移することも考えられる。輸出企業にとって追い風だが、そんなときこそ有利子負債の少ない経営効率のいい企業への王道投資が吉だ!

円安の進行で物価上昇、脱マイナス金利へ。不動産関連に妙味

〝トランプGO〞で始まった円安・株高相場だが、相場の格言通りであれば「噂で買って事実で売る」に徹しつつ、所信表明演説とその後具体的な政策を見極めてから、新たな投資戦略を構築していくのが最適だろう。

投資家として気になるのが新政権の為替に対するスタンスだ。政策的には「強いドル」を認めざるをえない状況にあり、FOMC(連邦公開市場委員会)による長期金利の引き上げも結果としてドル高を誘発する要因となる。また、国内では円安が一段と加速する可能性を考慮する必要が出てきた。併せて原油減産による原油高との相乗効果で日本の物価上昇、脱マイナス金利が現実味を帯びてくる。

そこで、投資戦略としては有利子負債の少ないキャッシュリッチな企業、ROEが高く自己資本を有効に活用している企業への投資が必須となってくる。家計における為替や金利変動のリスクを株式市場に参加することで、緩和させる……そんな投資の王道ともいえる手法を改めて見直す時期ではないだろうか。一方、インフレへの期待から不動産関連にも思惑買いが入る可能性が高いだろう。

中国・春節の到来で爆買い再び インバウンド関連復活株

いまだに東京の繁華街には中国人をはじめとする外国人旅行者であふれ返っているものの、一時と比べればピークは過ぎた様子。こうした変化を踏まえて、インバウンド関連銘柄の多くも株価の調整を強いられた。だが、春節の到来を機に、大復活の可能性が!

爆買いの対象は、家電から医薬品にシフトしている!

新年を迎えてからテーマ株に照準を合わせるなら、本誌今号発売直後に待ち受けているイベントに注目するべきだろう。

今年は1月27日〜2月2日が春節(中国の旧暦の正月)にあたり、中国から訪日旅行者がドッと押し寄せてくるはず。彼らの爆買いが顕著になったのが2015年で、2016年は大半のインバウンド(訪日外国人)関連の売り上げが反動減となっていた。しかし、2017年の業績は不振だった2016年と比較すれば、目立った改善を期待できるだろう。

つまり、2015年ほどの過熱はなかったとしても、業績が上向く可能性はかなり高いということだ。さらに、爆買いの中身にも目立った変化が生じてきている。

以前は炊飯器をはじめとする日本製の家電を盛んに買いまくっていたが、最近は医薬品が中心。しかも、こちらの人気は根強く、コンスタントに買われ続けている。そういった情勢を踏まえれば、インバウンド関連の中でもこれから特に注目すべきは、家電量販店ではなくドラッグストアになってくる。

ただし、ドラッグストアチェーンの間でも勝ち組と負け組に分かれてくるはず。むろん、選ぶなら前者になりそうな銘柄だ。

特に首都圏で好実績を上げているところが今後も有望だろう。20社程度のドラッグストアが上場しているその中で、首都圏が中心、増収増益を続けているところとなると、数は限られてくる。

カジノ・IR関連もインバウンドが追い風となる銘柄

具体的には、右ページのリストに挙がった6社だ。おしなべて好業績でも、これらの銘柄はチャートの波形が2つに大別される。長く上昇トレンドが続いているパターンと、目先はもみ合って推移しているパターンだ。さらなる上昇を期待する順張りと、本格反発に先回りする逆張りのどちらも狙えるわけである。

アベノミクス第3の矢である成長戦略において、想定を上回る成果を上げる唯一の成功作といえるのがインバウンドの拡大だ。先般、国会を通過したカジノ法案もその一環だといえる。

さらにIR実施法案が国会で可決されれば、カジノをはじめとするさまざまなアトラクションを備えたIR施設が日本でも誕生することになる。それを目当てに、インバウンドがさらに増加する可能性が大なのだ。爆買いで絶好調のドラッグストアが〝現実買い〞なら、カジノ・IR関連は今後の特需を見越した〝理想買い〞で人気を博すことになりそうだ。

カジノ法案の国会通過直前から先に動いたのは、カジノ機器のメーカーなど、いわばオーソドックスな関連銘柄だった。今後は物色対象が拡大しそうである。

後継者の人手不足が深刻でM&A銘柄が買い!

意外と知られていないが、実は中堅・中小のオーナー企業の間で深刻なのが2017年問題だ。
眼前に現役を引退する時期が迫るにもかかわらず、後継者が不在で事業の存続が危ぶまれているのだ。
この現象がビジネスチャンスになる銘柄とは?

教えてくれたのは
株式評論家 今北 洋さん
フリーで活躍する株式評論家。
市場全体の動向や個別銘柄の注目点を採りながら、ファンダメンタルズ分析を中心に発掘する。
趣味は野球観戦。

中堅・中小企業を専門とするM&Aの仲介サービスが熱い!

今から10年ほど前、人手不足が顕著となることが心配されたことがあった。なぜなら、終戦直後に生まれた"団塊世代"の多くが60歳の定年を迎えたからだ。もっとも、その直後にリーマン・ショック(2008年9月)が発生して景気が悪くなったため、人手不足はさほど深刻化しなかった。また、2012年には彼らが65歳に達し、完全に年金暮らしとなる人が急増したものの、前年の東日本大震災で景気が低迷中で、この局面でも人手不足は表面化しなかった。

しかしながら、"団塊世代"が70歳になる今年は話が別になってくる。世の中で広く人手が足りなくなるのではなく、主に中小企業の経営者がこぞって後継者不在の問題に直面するのだ。

昨年の時点で日本企業の社長の平均年齢は59歳だった。しかし、2割強を占めているのが70代で、そろそろ引退を考える年齢。ところが、特に中堅・中小のオーナー企業では、安心してバトンを託せる後継者が育っていないケースが少なくない。つまり、事業承継について頭を悩ませる経営者が急増中で、2017年問題とも呼ばれているのだ。

では、後継者が見つからない中堅・中小企業のオーナー経営者はどのような決断を迫られるのだろうか? その場合は、①廃業、②他社への会社や事業の譲渡という二者択一となってくる。そして、②に深く関わってくるのがM&Aの仲介サービスである。 他社に売却する形で事業を承継したい中堅・中小企業のオーナー経営者と、買収先を探している企業とをマッチングさせるのがM&Aの仲介サービス。高齢のオーナー経営者が増加すれば、おのずとこのビジネスは活況を呈するだろう。

国内大手や外資系の証券会社もM&Aのあっ旋を手がけているが、中堅・中小企業の場合はそれらとかなり事情が異なり、特有のノウハウが不可欠となる。そういった強みを有する事業者は限られており、左ページに掲載したリストの7社に注目したい。

昨年はあくまで元年、今年はいよいよAR・VRがブーム化

一方、昨年がその元年で、今年から本格的なブームを迎えそうなテーマもある。AR(拡張現実)・VR(仮想現実)がそれだ。ARはすでに『ポケモンGO』の大ヒットで幅広く受け入れられることが実証されたし、VRについてはいよいよ今年から有力タイトルが出そろってくる。その中で、ブームの火つけ役として期待されるのは、やはりソニーが昨秋にリリースした「プレイステーションVR」だ。

当初、DVDはその録画再生機が高額だったこともあってなかなか普及しなかった。ところが、DVDの再生機能を搭載したプレイステーションの登場を機に、一気に一般的な存在となった。現状、プレイステーションVRはゲームマニア向けのものと位置づけられているが、マンションのモデルルームなどにも360度パノラマ画像が採用されつつあるように、もっと一般化しても不思議はないだろう。

ディープラーニングでAIというテーマがさらに盛り上がる!

もうひとつ、すでに昨年の相場でテーマ化し、今年は"深化"するかたちで取り沙汰されそうなのがAIだ。

従来のAIは、人間側がいくつかの条件を定め、コンピューターがそれらを満たすものを抽出する機械学習が中心。しかし、足元で研究開発が進むのがディープラーニング(深層学習)と呼ばれる技術で、コンピューターが学習を重ねることによって、自らの判断で識別する。これが普及すれば、おのずとビッグデータの解析も飛躍的に進む。したがって、その関連企業はたとえ足元の業績が赤字でも、株式市場で熱く注目されるだろう。

ディープラーニングが常識化すれば、AIがチェスや将棋、囲碁の名人を打ち負かすことなど珍事ではなくなる。しかも、自動運転や医療、防災など、幅広い分野に革新をもたらす。言い換えれば、それだけ夢が無限に広がるわけだ。期待が高ければ高いほど、株価大化けの可能性も大きくなるのだ。

COLUMN AR・VR 関連の市場規模は8兆円に

台湾の市場調査会社・トレンドフォースは、AR・VR関連のハード、ソフトを合計した市場規模が2020年までに700億ドル(約8兆4000億円)に達すると予測している。一方、米国の国際的調査機関・IDCはその2倍近くの1620億ドル(約16兆円)になると見込む。