ネットマネー 2017年3月号より一部を特別公開!

意外と知られていないが、実は中堅・中小のオーナー企業の間で深刻なのが2017年問題だ。
眼前に現役を引退する時期が迫るにもかかわらず、後継者が不在で事業の存続が危ぶまれているのだ。
この現象がビジネスチャンスになる銘柄とは?

教えてくれたのは
株式評論家 今北 洋さん
フリーで活躍する株式評論家。
市場全体の動向や個別銘柄の注目点を採りながら、ファンダメンタルズ分析を中心に発掘する。
趣味は野球観戦。

中堅・中小企業を専門とするM&Aの仲介サービスが熱い!

今から10年ほど前、人手不足が顕著となることが心配されたことがあった。なぜなら、終戦直後に生まれた”団塊世代”の多くが60歳の定年を迎えたからだ。もっとも、その直後にリーマン・ショック(2008年9月)が発生して景気が悪くなったため、人手不足はさほど深刻化しなかった。また、2012年には彼らが65歳に達し、完全に年金暮らしとなる人が急増したものの、前年の東日本大震災で景気が低迷中で、この局面でも人手不足は表面化しなかった。

しかしながら、”団塊世代”が70歳になる今年は話が別になってくる。世の中で広く人手が足りなくなるのではなく、主に中小企業の経営者がこぞって後継者不在の問題に直面するのだ。

昨年の時点で日本企業の社長の平均年齢は59歳だった。しかし、2割強を占めているのが70代で、そろそろ引退を考える年齢。ところが、特に中堅・中小のオーナー企業では、安心してバトンを託せる後継者が育っていないケースが少なくない。つまり、事業承継について頭を悩ませる経営者が急増中で、2017年問題とも呼ばれているのだ。

では、後継者が見つからない中堅・中小企業のオーナー経営者はどのような決断を迫られるのだろうか? その場合は、①廃業、②他社への会社や事業の譲渡という二者択一となってくる。そして、②に深く関わってくるのがM&Aの仲介サービスである。 他社に売却する形で事業を承継したい中堅・中小企業のオーナー経営者と、買収先を探している企業とをマッチングさせるのがM&Aの仲介サービス。高齢のオーナー経営者が増加すれば、おのずとこのビジネスは活況を呈するだろう。

国内大手や外資系の証券会社もM&Aのあっ旋を手がけているが、中堅・中小企業の場合はそれらとかなり事情が異なり、特有のノウハウが不可欠となる。そういった強みを有する事業者は限られており、左ページに掲載したリストの7社に注目したい。

昨年はあくまで元年、今年はいよいよAR・VRがブーム化

一方、昨年がその元年で、今年から本格的なブームを迎えそうなテーマもある。AR(拡張現実)・VR(仮想現実)がそれだ。ARはすでに『ポケモンGO』の大ヒットで幅広く受け入れられることが実証されたし、VRについてはいよいよ今年から有力タイトルが出そろってくる。その中で、ブームの火つけ役として期待されるのは、やはりソニーが昨秋にリリースした「プレイステーションVR」だ。

当初、DVDはその録画再生機が高額だったこともあってなかなか普及しなかった。ところが、DVDの再生機能を搭載したプレイステーションの登場を機に、一気に一般的な存在となった。現状、プレイステーションVRはゲームマニア向けのものと位置づけられているが、マンションのモデルルームなどにも360度パノラマ画像が採用されつつあるように、もっと一般化しても不思議はないだろう。

ディープラーニングでAIというテーマがさらに盛り上がる!

もうひとつ、すでに昨年の相場でテーマ化し、今年は”深化”するかたちで取り沙汰されそうなのがAIだ。

従来のAIは、人間側がいくつかの条件を定め、コンピューターがそれらを満たすものを抽出する機械学習が中心。しかし、足元で研究開発が進むのがディープラーニング(深層学習)と呼ばれる技術で、コンピューターが学習を重ねることによって、自らの判断で識別する。これが普及すれば、おのずとビッグデータの解析も飛躍的に進む。したがって、その関連企業はたとえ足元の業績が赤字でも、株式市場で熱く注目されるだろう。

ディープラーニングが常識化すれば、AIがチェスや将棋、囲碁の名人を打ち負かすことなど珍事ではなくなる。しかも、自動運転や医療、防災など、幅広い分野に革新をもたらす。言い換えれば、それだけ夢が無限に広がるわけだ。期待が高ければ高いほど、株価大化けの可能性も大きくなるのだ。

COLUMN AR・VR 関連の市場規模は8 兆円に

台湾の市場調査会社・トレンドフォースは、AR・VR関連のハード、ソフトを合計した市場規模が2020年までに700億ドル(約8兆4000億円)に達すると予測している。一方、米国の国際的調査機関・IDCはその2倍近くの1620億ドル(約16兆円)になると見込む。