ネットマネー 2017年3月号より一部を特別公開!

実は5兆円の巨大市場

バブル末期に出現し、いつの間にかなくてはならないものとなった街中のコイン駐車場。
その有力な運営企業のひとつがパラカだ。その創業者は、ゴールドマン・サックス証券在籍中に起業。
以後、リーマン・ショックと震災の年以外はすべて増収をキープしているという。

取材・文●西川修一 撮影●石橋素幸

5期連続で最高益を更新するなど、手堅く好調を維持
同業他社と異なる「儲かる仕組み」とは?

有料駐車場は、"隙間"どころか5兆円の巨大市場

2016年9月期は5期連続の最高益となった、有料駐車場運営のパラカ。創業者で執行役員会長兼社長の内藤亨氏は、「創業当初とリーマン・ショック、東日本大震災の年以外はずっと増収を続けています」と言う。

野村證券、ゴールドマン・サックス証券時代は、個人営業にファイナンス、上場企業・金融機関の資金運用などを担当、「企業の栄枯盛衰を見てきた」という内藤氏は駐車場経営と出会う。「儲かる」とみた内藤氏は1994年、ゴールドマン在籍中に個人会社を立ち上げた。
「駐車場は資本が少なくてもまず1車室から始められるし、コストが地代、電気代、集金代、機械の減価償却費くらいで、収益とコスト構造が非常にシンプルだった」

コイン駐車場は、バブル経済末期の90年代初頭に出現。「ビルの隙間の2~3台から始まった駐車場経営を、世間は文字通り"隙間産業"だと思っていたんです」。

しかし、実はまったく違っていた、と内藤氏は言う。
「当時、運輸省(現国土交通省)の外郭団体が、全国の主要道路で路上駐車をしている車に対し、正規の駐車料金を取ったとしたら年間いくらになるか? という調査を一回だけやっているんです。いろいろ調べているうちに、そこに行き着きました」

それは、国内の自動車保有台数6000万台だった当時、年間3兆7500億円の収入になる、という試算だった。「今は車が8000万台ですから、現状は単純計算で約5兆円。今、コイン駐車場会社の売上高を単純に足すと3000億円。あと4兆7000億円分残っている。ニッチ(隙間)どころか、これだけの市場が国内に眠っていた」

しかも、今は昔と違って、商業地だけでなく住宅地にもコイン駐車場がある。
「住宅地でも営業が可能になった理由は、まずセンサーの導入で無人の運営が可能となり、コストが下がったこと。次に『最大料金』、つまり"1日止めていくら"のシステムが可能となったことです」

1時間400円だと単純計算で1日1万円弱。が、「最大料金」なら1日1000円程度と大きな差がつく。コイン駐車場出現当初の機械は、「1日いくら」の算定ができなかったという。
「商業地より住宅地のほうが土地を借りる値段が安い。たとえば、都心部の駐車場は6万~8万円ですが、住宅地の月決め駐車場は月2万円。これなら最大料金で採算は合う」

地方でもパーク&ワーク、つまり仕事場の近くまで車で行って1日止める。あるいは、自宅の最寄り駅前に車を止めて電車通勤……といった需要も。このように、時間貸し駐車場の出現当初は想定していなかった新しいマーケットが「どんどん拡大していっている。今はもう5兆円どころじゃない」と内藤氏は笑う。

「賃借型」が持つ3つのリスクを克服する「購入型」

「実際、ここ5年の業界全体の統計を見ると、売り上げは年10%程度は伸びています」

業界では賃借駐車場が主流だが、パラカが他社と異なるのは、自ら土地を購入した土地で駐車場を運営する意識が強いことだ。
「賃借駐車場にはリスクが3つあります。まず、解約のリスク。地主さんが『ここマンション建てるから』といえば解約せざるをえない。次に赤字リスク。基本的に固定賃料で借りるので、価格設定で"目測"を誤るケースが一定の比率で出ます。付近の集客施設の移転や経済の変動によって、それ以上の変化に見舞われることもあります。最後に、同業他社への切り替えリスク。土地保有型ならそれはない」

現在、都内の駐車場不足は深刻だが、それが解約リスクのない同社の土地保有型駐車場に恩恵をもたらしている。「ただでさえ駐車場が足りないところへ、マンションやホテルの建設ラッシュが続いて賃借駐車場が激減。しかし、ウチの保有駐車場はなくなりませんから、稼働率がどんどん上がっています。値上げしてもそれが減りません」

ここ数年で都内の駐車料金は、1時間600円が1200円、1500円に上昇した……というのが内藤氏の"感覚値"だ。
「でも、東京の土地は1坪1000万円くらい。1台分で6坪必要なので、購入すると6000万円かかるんです。駐車場料金は、感覚的には高いですが、土地のバリューを考えると相当安いですよ」

地価が上がったことで、利回りの高い土地の入手は簡単ではなくなった。そこで地方、特に政令指定都市に重点を置いているという。

たとえば土地保有型を核にして賃借型で数を稼ぐ、という具合に組み合わせ、全国42都道府県で展開中。2016年9月現在で2万4564車室、うち土地保有型が3868車室。簿価ベースで約170億円という。
「各地で駐車場用の土地を求めると、当然、手数料が賃借より格段に高いから、現地の不動産業者さんがファンになってくれて、『駐車場情報はパラカに』と、購入物件だけでなく賃借駐車場物件の情報も集めていただいています」

簿価170億円の土地保有型駐車場が年8・5%で回る

他社は土地保有型に目を向けないのだろうか?
「保有の場合はまず、入り口(土地の購入)で目利きが必要。利益が出ず売却すると特別損失が出るから、価格の変動に関わる付近の土地計画や、道の拡幅計画などの有無を徹底して調べる。社員は入社時からずっとこれをやり続けている。これが大きい」

iPadを活用したツールを自社開発し、全国の不動産物件37万件の情報をはじめ、他社の駐車場情報や現場写真、地主の個人データ等々を、社員同士がリアルタイムで共有することを可能にしたという。
「土地の購入は2000年から開始して、現在、簿価約170億円の土地保有型駐車場が年8・5%で回っています。でも、ちょっと目利きを間違えると、すぐROE(自己資本利益率)が下がります。運用を行なっているわけですから、資金調達と収益のバランスを考えなくてはならない。他社なら、これからそのリスクを取って参入するより賃貸型を継続するほうが得策と判断するのでは」

数多くの土地を仕入れた結果、自己資本比率が低下。ここ数年は投資に慎重だったが、「今は自己資本比率約40%と財務基盤が固まり、収益もコツコツ買ってきた土地保有型駐車場が手堅く稼いでいます」。

駐車場はまだまだ足りない、と指摘する内藤氏。活路を見いだそうと海外に目を向ける多くの企業をよそに、国内に潜在する巨大市場を見いだしたパラカの"右肩上がり"の業績、株価チャートがどこまで続くのか、これかも注目していきたい。

COLUMN カーシェア普及で駐車場需要増

駐車料金を効果的に変更し、稼働率を上げる柔軟な運営

主に地方都市に展開する駐車場運営会社で、管理台数の2割弱は自社保有の土地で営業するなど自社保有率が高い。

借地の賃料は、定額の固定方式だけでなく、売り上げに対して定率とし、稼働率が高ければ土地所有者の賃料を上げる還元方式を採用するほか、駐車場料金は精算機から抽出したデータに基づく効果的な料金変更で稼働率をアップさせるなど、柔軟な運営を行なっている。

賃借駐車場、土地保有型駐車場を着実に積み上げており、創業以来20期はほぼ増収続きで、直近5期連続増益を達成。2004年の東証マザーズ上場時に比べると、売上高は4.4倍、利益は7倍と成長を遂げている。

若者のクルマ離れがいわれるが、実際は保有台数は過去最高水準にあるうえ、カーシェアの普及により駐車場需要はさらに増加するとみられ、当面は増収増益基調が続くのではないだろうか。

目標株価は2500円に設定。