ネットマネー 2017年3月号より一部を特別公開!

大型株をメインに考える

高いから、と値ガサ株を敬遠する個人投資家は多いもの。ただ、超優良な値ガサ株には 安心して長期保有できる魅力がある。運用のベース銘柄として一考の価値あり!

気軽には近寄れない超値ガサ株。個人に敬遠されがちだが…

 値ガサ株は「値段が高いの 」で、低位株は「値段が安くてもあまり買われなかった株」という言い方ができます。

 低位株は、「短期間で利益を稼ぎたい」と考える小口の個人投資家が大量に参戦していますが、株価が高い値ガサ株は、利ザヤ稼ぎの資金が豊富な個人投資家に限られます。

 たとえばFA(工場の自動化)センサー大手で時価総額4兆8000万円超の、日本を代表する大型株キーエンス。最低投資金額は800万円以上の超値ガサ株でしたが、1月20日時点の株主対象に初めて1対2の株式分割をしました。キーエンスは1994年から3年に1回ペースで「1・1分割」を7回もやっていたのですが、その分割が2012年を最後に止まっていただけに、4年ぶりの株式分割となったわけですから市場にとってはサプライズ。さらに、初めて1・1分割ではなかったことにも驚きがありました。流動性の向上につながるといった評価も多いようですが、最低投資金額が400万円前後になったからといって、何か変わるでしょうか?

 全上場銘柄を見回すと、上には上の値ガサ株があります。全市場1位はジャスダックのエスケー化研。最低投資金額はナント1000万円超! そのほかに、500万円台には東証2部の歌舞伎座、300万円台後半に東証1部のファーストリテイリング。

 これらの値ガサ株に共通するポイントは、〝個人投資家が近寄っていない感じがある〞という点です。

信用買い残で見ると個人投資家は明らかに値ガサ株を避けている

 個人投資家の売買のうち、信用取引が占めるシェアは常に7割前後です。信用取引で買った分の残高が信用買い残ですが、この数値から実証できることがあります(2016年12月5日終値で計算)。

 前述のキーエンスでいえば、時価総額に占める信用買い残の比率は……わずか0・02%! 本当に個人投資家が近寄っていなかったわけです。上場株唯一の1000万円銘柄、エスケー化研の信用買い残はゼロ。生活に身近で、誰もが知っているユニクロのファーストリテイリングですら0・13%です。

 最低投資金額の価格帯別で、時価総額に占める信用買い残比率を見てみましょう。300万円以上必要な銘柄の信用買い残比率の平均は0・07%、200万円以上300万円未満が0・40%、100万円以上200万円未満が1・18%(突出して高いそーせいグループ、ブイ・テクノロジーの2銘柄を除くと0・52%)、50万円以上100万円未満が0・68%、30万円以上50万円未満が1・02%、10万円以上30万円未満が1・64%、10万円未満が2・36%でした。最低投資金額が小さくなればなるほど、信用取引比率が高くなっています。

 信用取引には決済期日があるため、信用買い残はすべて投機的なポジションと理解されます。つまり短期的な売り圧力ということです。そのため、信用買い残比率が高い銘柄ほど、個人投資家の損益状況は影響を受けやすくなります。たとえば、昨年前半の人気株だったそーせいの上昇にはすさまじいものがありました。ただ、信用買い残比率は17・2%と高水準になり、人気が一巡した後は個人投資家の売り圧力に常時さらされています。業績とは関係なく、地合いや個人投資家の損益状況に振り回されて株価が安定しなくなるのです。

一方、キーエンスなどの値ガサ株の信用買い残比率は0・1%以下の銘柄が多く、個人投資家の売買が与える影響はほぼゼロといっていいでしょう。国内外の機関投資家が中心なので、業績が素直に時間をかけて株価に織り込まれます。キーエンスが8年以上をかけて株価7倍になった事実が何よりの証拠です。

 外国人投資家が日本株の買い手に回ってくれている今、個人投資家に人気の銘柄より、外国人投資家でもバッチリ知っているような日本の優良株を買うことで波に乗ろうと考えるべき。そういった優良株を探していくと、自ずと値ガサ株へとたどり着くことが多くなるはずです。