ネットマネー 2017年3月号より一部を特別公開!

独自ランキングから考える

まさかの連続だった2016年。米国でトランプ氏が大統領に選ばれたのはその最たるものだったし、以降の株価上昇も想定外だった。では、この「トランプラリー」でもっぱら買われた銘柄と売られた銘柄とは?

トランプ氏の政策を踏まえて金融株と公共投資関連が人気化

 今号発売の前日、1月20日に就任したトランプ大統領ですが、株式市場では同氏の当選が決まった直後から彼の政策に期待する動きが活発化しました。いわゆる「トランプラリー」で、大統領就任後に実行すると目される政策に関連する銘柄が盛んに物色されたのです。周知の通り、相場全体も大幅に上昇し、日経平均株価は年初来高値を更新しました。

 もっとも、その陰では逆に下げ基調が鮮明になった銘柄も存在しているはずです。そこで今回は、トランプラリーの中で活発に買われた銘柄と売られた銘柄を紹介するとともに、明暗が分かれた背景を探ってみましょう。

 左ページの表はトランプ氏当選後の騰落率ランキングです。騰落率上位ベスト10入りを果たした銘柄が上の表です。ただし1位については、トランプラリーとは無関係な動きだったので、除外したほうが無難でしょう。日産自動車がカルソニックカンセイを米国投資ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)に売却することが明らかになり、そのニュースが材料視されたからです。

 こうした例を除けば、2位以下の顔ぶれにははっきりとした傾向がうかがえます。2位の三菱UFJファナンシャル・グループ、6位の第一生命ホールディングス、8位の東京海上ホールディングス、9位のりそなホールディングスといった具合に、金融機関が多数ランクインしているのがそのひとつ。トランプ氏が大規模な公共投資と減税を実施する方針を示し、それを踏まえて米国の長期金利(米国債10年物利回り)が上昇したことが影響しているようです。

 また、オバマ政権が進めてきた金融機関に対する規制強化を撤回する、とトランプ氏が発言していることも支援材料です。こうしたことから、米国の金融機関の株価は大きく上昇しました。さらに、長期金利の上昇は米国だけにとどまらず、世界的に長期金利の上昇傾向がうかがえました。そして、金利が上がれば利ザヤも拡大することから、日本の金融機関の収益性も改善が期待され盛んに物色されたのです。

トランプ氏の失言を機に売られた銘柄のリバウンドも!?

 一方、米国における公共投資拡大を期待し、その関連銘柄の上昇も目立っています。7位の太平洋セメントは米国に工場を所有していることから、公共投資関連銘柄の中でも特に注目された様子。また、シェールガス・オイル関連も再び脚光を浴びつつあります。10位の大陽日酸は、米国でシェールガス由来の化学工場にガスを供給しています。

 これらの活況銘柄とは対照的に、大きく売り込まれたのが左ページ下の表です。こちらもいくつかの傾向がうかがえますが、ひとつは、ゲームも含めたネット関連がさかったこと。米国でもトランプ氏の当選以降、アップルをはじめとするナスダック市場 の主要銘柄がパッとしません。

 もうひとつ、トランプ氏が当選するまで買われてきた銘柄が打って変わって売られ始めたことも挙げられるでしょう。それまでは世界的に長期金利の低下が続いてきたことから、キャッシュフローが潤沢で安定配当を見込める銘柄が人気化してきました。ところが、前述したように長期金利が急上昇に転じ、相対的にそういった銘柄の魅力がややダウンしてしまったのです。2位の明治ホールディングスや7位のキユーピーなどがその典型でしょう。

 さらに言えば、トランプ氏の当選を機に為替相場で円安・ドル高が進んだこともワーストランキングのほうに影響を及ぼしているようです。騰落率の上位組では、円安の恩恵を受ける銘柄がさほど目につきませんでしたが、下位組では円安がデメリットとなる銘柄が散見されます。ワースト10入りは免れたものの、ニトリホールディングスや東邦ガスがその代表例です。

 しかしながら、トランプ政権はまだ船出したばかりで、今後の進路はまだ明確になっていません。選挙前も何度となく物議を醸してきましたし、逆に今後のトランプ大統領の発言が市場にショックをもたらす展開も起こりうるはず。そのような場面では、むしろトランプラリーで売り込まれた銘柄のリバウンドが期待できそうです。

 こうした流れの変化を敏感に察知し、巧みに作戦を切り替えるのが賢明でしょう。