ネットマネー 2017年3月号より一部を特別公開!

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トランプ新政権の政策で、米国にインフレ懸念が台頭

トランプ大統領が公約通りの政策を推し進めれば、米国にはインフレ懸念がつきまとうことになる。これまで慎重な姿勢を貫いてきたFRBだが、インフレ抑制策として、利上げの見通しを強めるかもしれない。

トランプ vs イエレン。2017年の相場も騒がしくなりそう

「申酉(さるとり)騒ぐ、との相場の格言通りの年になった」―。これは安倍首相が2016年の株式市場を振り返って述べた弁だ。株式市場に限らず、昨年の米ドル/円相場も波乱の展開となったが、格言通りなら、2017年も騒がしい年となるのだが……。

 今年の米ドル/円相場を騒がすポイントは一点。イエレンFRB(連邦準備制度理事会)議長が経済の過熱感に容認の姿勢を示したが、実際にトランプ大統領が積極的な財政政策を進めれば、インフレを促進してしまう懸念である。

 当然、インフレ抑制策としては金融引き締め、要は米国の利上げ見通しを強めることとなるはずだ。物価上昇や労働市場の逼迫、活発な設備投資などが続いてやや過熱気味の米国経済に対し、インフレ添加剤になりうる「トランポノミクス」の存在は、FRBのこれまでの慎重な姿勢を一変させる脅かしの存在だ。事実、明言は避けているが「財政政策がより拡張的で経済活動を支援するならば利上げ(ペース)は少し速まるだろう」とダドリー・ニューヨーク連銀総裁も述べている。

 また、「円安というよりもドル高」と黒田日銀総裁が発言したように、要はドルが勝手に強くなっただけなのである。このままではドル高によって対外不均衡が生じ、米国の経常収支の赤字拡大が強まる可能性がある。元来、保護主義的思考を持ち、貿易問題に関心の強いトランプ大統領が、果たしてドル高を甘受できるだろうか?

 米ドル/円の長方形トレンド(右上のチャート参照)で見ると、昨年11月以降の直立性継続に不安がつきまとう。

 不確実なトランプ政権施策に対して、イエレンFRB議長が金利引き上げペースのアクセルとブレーキを踏む判断を早々に示すかもしれない。

 トランプ政権がFRBを突き動かす可能性を警戒する中では、「申酉騒ぐ」というよりは「FRBに逆らうな」という米国の投資格言がしっくりくるかもしれない。