ネットマネー 2017年4月号より一部を特別公開!

上方修正したって上がらない株もたくさんある!

業績の上方修正で株価が上昇することは多いが、逆に材料出尽くしで売られるケースもある。業績の上ブレが株価の持続的上昇につながる、「勝てる上方修正株」の条件とは?

会社側とアナリストの予想のカイ離が最重要

岡村 日本取引所に上場する3538社(2017年2月3日現在)のうち、3月末が決算期末の会社は2300社余り。その決算日まであと1カ月に迫った2月末以降は、業績の上方修正を発表して株価上昇が見込める銘柄を仕込むには絶好の時期です。そこで今回は東海東京調査センターの仙石誠さんに〝勝てる上方修正株?の条件を解説してもらいましょう。仙石さんは今、注目されている、気鋭の若手マーケットアナリストです。

仙石 業績を上方修正しそうな銘柄を探すには、アナリストコンセンサス(市場予想)を見るのが一番の近道でしょう。会社予想が保守的なのに対して、証券各社のアナリストコンセンサスは高い=両者のカイ離が大きい企業が〝上方修正予備軍"です。

岡村 上方修正しても〝材料出尽くし"で上がらない株もあります。もう一つ、二つ、選別基準を付け加えたいのですが。

仙石 まずはPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)で割安度、配当利回りやROE(自己資本利益率)の高さで株主還元姿勢、時価総額の大きさで安定性、という5項目でバリュエーションを評価して、最低限の絞り込みは先にしておいたほうがいい。

岡村 今期は同じ上場企業上方修正がたくさん出そうなセクターと下方修正がたくさん出そうなセクターが、はっきり分かれそうです。

仙石 昨年11月のトランプ大統領決定以来、円安や原油高が進んでいるので、輸入原料を加工して販売する食品や小売り、原油を輸入している電力など、一部の内需株は厳しいでしょう。反対に、トランプ相場以前の秋口までは1ドル=100円を割り込むほど円高トレンドが進んでいたせいで、業績を低く見積もっていた輸出関連株も多い。そうした輸出株がまさかの円安進行で業績を上方修正する、という流れになりそうです。

岡村 日銀短観の大企業・製造業の想定為替レートは、昨年12月時点でも1ドル=104円90銭と円高トレンド時のままです。実勢レートは115円前後だったのに、輸出企業には期末までに『まだ何かありそう?』という恐怖感があった。それが想定為替レートの低さにつながっているのでしょう。

仙石 その点、アナリストはその企業の状況や為替動向にも配慮して業績予想を出します。そのため会社予想に比べて、アナリスト予想が高い傾向にある自動車や電子部品、半導体関連株が有望といえます。

岡村 最近は、決算発表の数字が「これ以上なら買い、これ以下なら売り」とあらかじめ数字を決めて機械的に取引する機関投資家が増えています。市場関係者は「決算プレー」と呼んでいますが、そうした取引をする投資家が重視するのも、会社予想ではなくアナリスト予想ですよね。

仙石 もう一つ選別基準としてぜひ付け加えたいのが、その銘柄の信用取引残高です。結局、株価が上がるかどうかは、その銘柄が〝期待されているか"どうかで決まります。つまり、買いたい人が多いか、売りたい人が多いか、という「需給関係」こそが株価上昇の命運を握る。そう考えると、業績を上方修正しそうなのに、信用売り残が積み上がって信用倍率が1倍割れしているような銘柄こそ、上方修正すれば上がりやすい株です。

岡村 個人投資家の中には業績のよしあしに関係なく、「チャートを見て上がりすぎているから」「PERが高くて割高すぎるから」という理由だけでカラ売りしている人もいます。そうしたカラ売り玉ぎょくは潜在的な買い戻し圧力になるので、上方修正が発表されると彼らの損切り買いで株価が上がっていくというわけですね。逆に信用買い残というのはある意味、個人投資家が信用取引をして損失が発生し、塩漬けになった残高といえます。

仙石 上方修正がサプライズになり、積み上がった信用買い残の戻り売りを全部解消できればいいのですが、そうならなければ信用買い残の戻り売りに押されて株価の上昇率が低くなってしまいます。上方修正を発表したのに株価が上がらないと「こんなもんか」という意識が市場に広がり、いわゆる〝ヤレヤレ売り"も出る。好業績でも株価が上がらないというレッテルが貼られると、長期的なパフォーマンスも悪化します。

岡村 上方修正したのに、それまで塩漬けだった人が「あ~よかった」と売ってしまうことで株価が〝いってこい"になってしまうのですね。

仙石 株式市場はオークションと同じ。買いたい人が多いと上がるし、売りたいという人が多いと下がる。そうした需給関係を見るうえで信用残高の推移は〝必見"です。会社予想よりアナリスト予想が高く、業績面も魅力があり、信用売り残が積み上がっている銘柄、これこそ「勝てる上方修正株」だと思いますね。