ネットマネー 2017年4月号より一部を特別公開!

外国人投資家&年金資金.. あの巨額資金が狙う100銘柄

世界の投資家がトランプ大統領の一挙手一投足に注目している。次々と大統領令にサインをし、そのたびにマーケットは右往左往しているが、NYダウが史上初となる2万ドルを突破するなど、トランポノミクスに期待を寄せる投資家は多いようだ。この流れを背景に日本株にも資金が流入、世界の投資家の間では「日本株を持たざるリスク」が台頭しているという。

外国人投資家と年金の巨額マネーに「日本株を持たざるリスク」が台頭

1月20日、ドナルド・トランプ氏が第45代米国大統領に就任した。トランプ氏が選挙戦から掲げていた大規模公共投資、金融規制緩和、減税などの経済対策、いわゆる「トランポノミクス」への期待感から、米国株式市場ではNYダウが史上初めて2万ドルの大台を突破した。

国内でも日経平均株価が1万9500円台目前まで上昇。ドル建ての日経平均も2000年以来の17年ぶりとなる高値水準を記録した。円ベースの日経平均は2015年6月に2000年4月の高値(2万833円)を上回ったが、ドルベースではまだ同時期の高値を10%以上下回っている。

米国市場での株価上昇を背景に外国人投資家のリスク許容度が高まり、「外国人投資家に日本株を持っていないリスクが出ている」(大手証券アナリスト)と、海外勢の日本株投資復活への期待感が高まっている。また、外国人投資家による日本株買いが加速し、日経平均が上昇ピッチを速めれば、年金などの巨額資金を運用する国内機関投資家も日本株買いに動かざるをえず、買いが買いを呼ぶ好循環を招く可能性が高い。

東証が公表している投資主体別の売買状況を見ると、外国人投資家は2016年11月から12月にかけて日本株を約2兆1200億円買い越した。しかし、その内訳は、欧州投資家が2兆3113億円買い越し、北米投資家は1126億円の売り越しとなっている。つまり、トランポノミクスの本場米国の投資家はまだ日本株を仕込んでいないのだ。

その背景について、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)から運用を委託されているアムンディ・ジャパンの吉野晶雄氏(エコノミスト)は、「原油価格が1バレル=50ドル台まで回復し、運用資金に余裕が出たオイルマネーが動きだした」と解説する。今後について、吉野氏は「米国最大の年金基金であるカルパース(カリフォルニア州職員退職年金基金)なども日本株投資に資金を振り向ける可能性がある」とみる。

ドル高が一段と進み、米国株も上昇するなら、巨額マネーを運用する外国人投資家や年金資金などからのさらなる日本株買いが期待できそうだ。トランプ大統領の経済政策が実現すれば、今後数年間、米国経済の成長率を大きく押し上げると見込まれる。トランプ氏は中間選挙と次の大統領選挙をにらみ、リフレ(通貨再膨張)政策を展開するだろう。米国経済の加速を背景とした米国の株高・金利上昇を通じてドル高基調が顕在化し、日本株に好影響をもたらすはずだ。

一方、日本でも財政、金融を総動員したリフレ政策が本格化し、リスク資産への投資が活発化するとみる。日経平均が2012年11月(8600円台)から2015年6月(2万800円台)までに約2・4倍上昇したのがアベノミクス相場の第1幕。米国大統領選後の1万6000円台を起点に第2幕が始まった公算が大きく、相場は転換点を迎えたといえる。

また、トランポノミクスで注目される銘柄として、東海東京調査センターの中井裕幸専務は、「米国での売上高比率が38%と高いトヨタ自動車や50%を超えるブリヂストンといった米国で稼ぐ企業。加えて、サントリー食品インターナショナルのように米国テキサス州に植物由来原料のペットボトルの実証プラントを建設するなど積極的に設備投資を行なう企業、半導体メーカーのルネサスエレクトロニクスが米国の同業インターシルを買収するなど、対米投資を活発に推進する日本企業などにも注目だ」と言う。

世界の年金資金が狙う日本の社会貢献企業20社

世界最大級の年金基金であるわが国のGPIFが、1月25日、機関投資家の行動指針「スチュワードシップ・コード」の活動報告を公表した。GPIFはスチュワードシップ活動に取り組む意義として、「最終的に『リターン向上』を目指す」としている。東芝の不正会計を機にガバナンス(統治)に対する問題意識は高まっており、外国人投資家や国内の個人投資家の評価改善を通じて、株式市場全体に好影響を与える可能性がある。

「カルパースやGPIFといった年金基金は、ESGを重視しており、その基準に沿った投資を行なう可能性が高い」と前出の吉野氏は話す。

ESGとは、環境、社会、ガバナンスのアルファベットの頭文字を取ったもので、これらの観点を考慮した投資手法を「ESG投資」という。

また、GPIFも国内株を対象にESG指数の公募(14社27プロダクトの応募、今年3月までに選定予定)を行なうなど、積極的な取り組みをスタートさせている。

「日本は欧米に比べESGに関して一番出遅れており、ESGを少しでも啓蒙する動きが見て取れるならば、それにのっとった投資資金が日本に向かう」(吉野氏)とみており、ESGに積極的に取り組んでいる企業に投資妙味が湧いている。

トランプラリーでドル高必至。 為替感応度で選ぶ外国人買い20銘柄

日本株がいかに実力より低く評価されているかは、PER(株価収益率)で主要国の水準を比較するとわかりやすい。日本のPER13・9倍(2月2日現在)に対し、米国は17・5倍、英国は14・4倍、ドイツは13・4倍といった具合だ。

「英国は3月末までに欧州連合離脱に関する通告を行なうほか、ドイツは8月に、オランダも3月に総選挙を控えるなど、今年の欧州は政治リスクが高い。投資家の目は日米に向かい、おのずと米国よりも割安な日本への注目度が高まる」(前出の中井氏)と話す。また、「米国第一主義」「強いドル」を掲げるトランプ大統領の経済政策によって円安が進めば、「為替感応度の高い銘柄を中心に日本株買いに拍車がかかりそうだ」という。

トヨタ自動車では、2016年度下半期の想定為替レートを1米ドル=100円に設定。1円の円安で、企業の本業の儲けを示す営業利益を年間で約400億円押し上げると試算されている。同様にホンダも約120億円増、日産自動車は130億円増となる。バブル経済崩壊以降、日本経済は「円高・株安」に悩まされてきたが、トランプラリーをきっかけに、「円安・株高」に転じるならば、世界の投資家が先回りして日本株買いに動くのは当然のことといえる。

ヘッジファンドが狙う材料内包の短期急騰候補20

さて、日本株でリターンを狙う外国人投資家の中には、年金資金などの長期運用ばかりではなく、ヘッジファンドのような短期資金も存在する。彼らのような短期資金が主流の投資家は、将来性といった長期的な視点ではなく、材料性のある銘柄に投資する。

そこで注目したいのが、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)といった現在マーケットで注目されているテーマである。昨年、ソニーが発売したゴーグル型のゲーム機「プレイステーション(PS)VR」は品切れ状態が続き、1月26日に追加販売された。一部店舗では販売開始からわずか16分で完売するなど、その人気は高い。

また、VR・AR関連の市場規模は早ければ2025年に約20兆円規模までに拡大する見通しで、株式市場では中長期的な注目テーマになりうるとみられている。

さらに、2月27日~3月3日には、世界最大級のゲーム開発者向けのイベントが米国サンフランシスコで開催される予定で、VR・AR関連銘柄は再び人気を集めそうだ。

ただし、ヘッジファンドなどの資金は比較的足が速いため、株価の値動きがボラタイル(変動率が高い)になりやすい。安いところで仕込み、株価が吹いたところで確実に利益確定したい。