ネットマネー 2017年4月号より一部を特別公開!

外貨投資は米ドルを狙え!

昨年11月の米国大統領選挙以来、為替相場でドル高・円安の流れが鮮明になったが、就任後のトランプ氏の発言に市場は動揺。今後も大統領の動向には注目したい。さらにグローバルに大きなイベントの連続で、為替相場ではかなり派手な展開が予想される。

トランプ政権の政策は円安材料?円高材料!?追加利上げも大影響を!

米国民が選んだ大統領は今年、市場にどんな影響を及ぼすのか?就任早々、トランプ大統領は本気でメキシコ国境に壁を建設すると言い出し、貿易では日本を名指しで批判。就任前まではトランプ政権による減税やインフラ投資、規制緩和への期待から、為替相場では対米ドルで円安が進んだ。が、大統領になるや否や、「われわれの通貨は強すぎる」とドル安誘導の可能性を示唆。これを受け、相場はドル安・円高へと反転した。

もともとトランプ氏は保護主義的で、その意味でドル安の流れは自然だが、為替市場は今のところ彼の発言に翻弄されている。一方で、ドル高・円安を促すのがFRB(連邦準備制度理事会)の追加利上げだ。昨年末に続いて年内3回の利上げが見込まれており、実施されればゼロ金利の円から米ドルへと資金が流れ込む。

「ほかにもフランスの大統領選挙やドイツの総選挙など、今年は金融市場に強いインパクトをもたらすイベントがめじろ押し。為替相場も大きく動きそうです」

こう語るのは、ファイナンシャルリサーチの野尻美江子さん。つまり、今年は外貨投資のチャンスが多く待ち構えているのだ!

手数料で差がつく外貨投資のポイント

外貨投資のビギナーのために、ここでは今さら大っぴらには聞けない外貨投資の「キホンの〝キ〞」について説明しておこう。投資経験のある人も、「実はよくわかっていなかった...」というポイントがあるかもしれないので、念のためにおさらいを!

「円高で始めて、円安で利益を確定」、これが鉄則中の鉄則

前ページでも触れたように、今年はトランプ大統領の動向やFRBの金融政策、グローバルなイベント次第で、為替相場が円高と円安のどちらにも動きそうな気配が濃厚。そういったアップダウンが必至の流れの中で、「外貨投資は、円高で始めて、円安で利益を確定させる」のが鉄則だ。それはいったいなぜなのか、一から解説することにしよう。

そもそも外貨投資とは、日本円をいったん外貨に両替してから運用するもの。そして、タイミングを見計らって日本円に戻し、その判断が的確なら、運用で得た利益にプラスして為替差益も得られる。

ただし、外貨投資に関わるコスト(手数料)も軽視できない。取引の流れや為替差益が発生する仕組みについて、具体例をもとに見てみよう。

仮に、100万円を米ドルに交換したとしよう。為替レートが1ドル=90円の時点なら約1万1111ドル、110円の時点なら約9090ドルになる。ただし、外貨投資で実際に適用されるレートは、ニュース番組や新聞などで報道されているものではない。

両替の手間賃である為替手数料(スプレッド)が上乗せされるので、仮にこれが1ドル当たり15銭だったとしたら、1ドル=90円の時点では約1万1092米ドル、110円の時点では約9078ドルに両替できたことになる。

1ドル=90円は110円と比べて20円も円高なので、そのおかげでより多くの米ドルに替えられたことがわかる。

その意味でも、「外貨投資は円高で始める」のが正解なのだ。裏を返せば、始めた時点よりも円安になった頃合いで米ドルを売れば、より多くの日本円を獲得できるということにもなる。

20円の円安なら、100万円の投資で20万円超の為替差益

実際に検証してみよう。ここから先は、1ドル=90円の時点で両替して得た1万1092ドルを同じく90円のレート、20円の円安が進んだ110円のレートで日本円に戻したケースを比べたい。なお、商品価格の上昇や分配金といった運用益は考慮しない。

まず、90円で円に戻すと為替差益はなく、1ドル当たり15銭の為替手数料が差し引かれて、手取りは約99万6616円だ。

これに対し、110円で売った場合は為替手数料のロスがあっても約121万8456円の手取り。円安時に日本円に戻すことで、為替差益が得られるのだ。

MMF 利上げを享受でき、出し入れ自由で機動力バツグン!

米国の利上げに着目するなら、米ドル建てMMF

外貨MMFとは、たとえば米ドル建てMMFなら、日本円を米ドルに替えて同商品を購入し、解約時に円に戻して現金を受け取るという流れである。つまり、円高時に買って、円安時に売れば、為替差益が得られるのだ。

投資信託なので元本保証はないものの、安全性の高い短期金融商品で運用されているうえ、その実績には金利情勢が反映される。短期的には、利回り上昇による債券価格の下落が考えられるが、米国で追加利上げが実施されるにつれ、やがて運用実績の向上が期待できるわけだ。

しかも、出し入れしやすいので、為替相場の動きに応じてタイミングを逃さず売買できるのがうれしい。為替手数料の設定も、メガバンクの外貨預金(窓口で申し込んだ場合)などと比べてはるかに割安。こうしたことから、外貨預金と比べて為替差益も狙いやすい。ほかの通貨建ての外貨MMFもあるが、先々の利上げに着目すればやはり米ドル建てが最も有望だろう。

外貨預金 銀行が取り扱う最も身近な外貨投資。各行の違いを要チェック!

為替手数料が割安で適用金利が高めの銀行に的を絞ろう!

その名の通り、日本円を外貨に替えて銀行に預けるのが外貨預金。よりほかの外貨投資と同じく為替差益も狙える。

ただし、定期預金の場合は満期時しか円に戻すチャンスが訪れず、外貨MMFやFXに比べて不自由だ。しかも、メガバンクや地銀などの窓口で利用できる外貨預金の為替手数料は割高な設定になっているし、銀行間で適用金利にも少なからぬ違いがある。

結論を言えば、外貨預金を選ぶなら為替手数料が割安で適用金利が高めのネット銀行に的を絞りたい。右の表の中ではジャパンネット銀行が、5銭と圧倒的に安いコストだ。また、ネット専業ではないが、新生銀行も有利な設定になっている。

FX リアルタイムのレートで24時間、自由自在な取引。コストの低さでも圧倒!

最大25倍のレバレッジで少額から効率的にハイリターンを追求

効率的に高いリターンの為替差益を狙っていきたいと考える人なら、迷うことなくFXを選ぶのが正解だろう。預けた証拠金の最大25倍の資金を動かせるので、数ある外貨投資の中でも突出して高いリターンを追求できるのだ。

たとえば10万円の元手で、2万円の為替差益が発生したと仮定しよう。ほかの外貨取引の場合、得られた為替差益は当然ながら2万円だ。しかし、最大レバレッジをかけてFXで取引すると、250万円を投じたのと同じことになり、為替差益は50万円に膨らむ。

むろん、逆に為替差損を被った場合は大きな痛手を負うハメになるのがFXの怖いところだ。むやみに高いレバレッジをかけすぎないように注意し、リスクのコントロールを図るのが鉄則である。

その点を徹底すれば、FXはほかの外貨投資と比較しても優位に立つことばかりだ。為替手数料(スプレッド)もかなり低いうえ、24時間にわたってリアルタイムのレートで取引できるのが強み。その点、外貨MMFや外貨預金は適用レートの見直しが1日1回から数回に限定され、窓口が閉まった後は翌日の取り扱いとなるのがほとんど。

2つの通貨間の金利差であるスワップポイントも!

加えて、ほかの外貨投資はその通貨に対して円安が進みそうな局面でなければ為替差益を狙えないが、FXは円高に触れそうな局面でも利益を狙える。「円高時に外貨を買い、円安時に円を買い戻す」という取引とともに、「円安時に外貨を売り、円高時に外貨を買い戻す」という取引が可能なのだ。いわゆるカラ売りで、保有していない外貨をいきなり売ることが可能なのは、証拠金取引だからこそ。とにかく、FXは両方向の相場で利益を上げられる。

一方、2008年9月のリーマン・ショック以降、世界的な金融緩和によってかつてと比べれば魅力はうせたが、スワップポイントもFXの魅力のひとつだ。2つの通貨における金利差のことで、FXで買いを入れると、そのポジションを決済するまで「取引額×スワップポイント」が日割りで得られる。為替差損で吹き飛ばないようにレバレッジを抑えつつ、長期のスタンスでスワップポイント期待の投資を実践するのもひとつの手だろう。日米間の金利差は拡大方向にあるので、特に米ドル/円にはその作戦が有効かも?

投信 海外資産が運用対象の投信なら、運用益に為替差益の上乗せも!

外貨建てではなくても為替変動の影響を受けている投信がある

今は日本に居ながら、投資信託を通じて海外の株式や債券で運用できる時代だ。投信のなかでも、「米国株式」型に注目したい。利上げペースの加速で短期的には上値の重い展開も想定されるが、市場が利上げできる景況感や、個別株の成長性に上値を期待できる。ただし、注意したいのが、為替の影響だ。

そこで、海外に投資する投信の多くに用意されているのが「為替ヘッジなし」と「為替ヘッジあり」という2つのコース。前者は、投資対象の国の通貨に対して円安が進みそうな局面に選ぶと、運用益に為替差益がプラスされる可能性が出てくる。一方、為替変動を避けたい時に後者を選ぶと、実質、ヘッジコストを支払って、為替の影響をほぼ排除する操作を行なっている。

なお、外国籍の投信も日本国内で販売されており、こちらは日本円をいったん両替して買い付ける外貨建ての設定に。したがって、購入時と売却時に為替差益・差損が発生することに注意したい。

債権 外貨建ての債券なら、利息(クーポン)とともに為替差益も期待できる!

もしも満期時が円高なら、売却代金を円に戻さず外貨MMFにシフト!

下記の通り、外国債券は3つに大別される商品だ。特に、利上げが意識されるなかでの外国債券への投資で悩ましいのが、金利変動リスクである。金利の上昇は債券価格の下落につながるためだ。一方で、米国で利上げが行なわれると、米国に資金が戻りやすいことから、ドル高・円安傾向がみえてくる。金利の変動リスクか、あるいは、為替要因を重視するか。個人投資家にとっても、コアな投資対象なので、乗り換えのできる米ドル建ての外貨MMFを買い進めて、挑戦するという手もある。