ネットマネー 2017年4月号より一部を特別公開!

毎月の相場情勢に合わせた興味深い視点による注目株リストと、市場ごとの適正株価リストをギュ~~~ッと詰め込んだ日本株データの連載。 今月の 「適正株価」は東証1部+2部+マザーズの全2759銘柄を掲載!

企業業績は2ケタ増益。業績と株価が直結する相場。

足元の円安により、企業業績が急回復しているという。大手証券会社の予想では、 今期は2ケタ増益予想。自社株買いも期待でき、今後は上方修正ラッシュかも。

目線は安全性から成長性へ。相場〝正常化〞で基準変更

ロン●2017年度の企業業績はどうなるの?証券会社の予想は2ケタ増益だよね。昨年12月段階の経常利益予想は、野村證券が12%、SMBC日興証券が10・7%のプラスだった。

竹内●はい。米国大統領選挙後の円安で、それまでの減益トレンドが急転換しました。昨年までのデータで推計すると、1株当たり利益が1%増えると、日経平均は190円上昇します。大ざっぱに10%増益なら、日経平均株価は1900円高ですね。

芦田●株価が上がってくると、何が変わるの?

ロン●安全性から成長性に投資家の評価ポイントが移っていくんだ。株価が安いと、投資家の頭はリスクでいっぱいになる。日経平均が1万円未満だった5年前は、倒産リスクが低い財閥系企業や安定配当銘柄に関心が集まる一方で、増益株の上昇率はいまひとつだったよ。

でも、株価が上がってくると、投資家はリスクよりもリターンが気になってくる。リストラで利益をひねり出す減収増益銘柄ではなく、ストレートに増収増益で増配できる銘柄に資金が集まってくるのがこれまでの経験則だ。

昨年12月に東洋経済新報社が『会社四季報』の読み方の有料講習会を初めて開いたら、定員オーバーだったらしい。企業業績に関心が集まっている証拠だよ。

竹内●私も同感です。来期は業績と株価が直結する相場になっていくでしょう。マーケットがようやく〝正常化〞するわけです。

大手証券の業績予想では、1ドル=103〜110円が前提です。しかし、昨年12月には1ドル=115円を突破して円安が進みました。1ドル=110〜115円程度で推移するだけでも、為替差益が膨らみ、増益率はもっと高くなると考えるほうが自然です。円相場が対ドルで5円前後の円安に動けば、日経平均は1000円の幅でかさ上げされます。

芦田●ってことは、日経平均はもっと上がるってこと?あと、利益が増えれば株主還元として自社株買いも増えるんでしょ。自社株買いで発行済み株式数が減れば、当然1株当たり利益が増えるから、日経平均は2万円を軽く超えて、さらに上がるかも!

竹内●鋭い!発行済み株式数の5%を自社株買いすると、1株当たり利益は5・3%増えます。昨年に約5兆円で過去最高だった自社株買いは、2017年にさらに増えるでしょう。1株当たりの利益や資産の額が高まれば、株価は無理なく上昇していくと思います。

芦田●株価が上がっても、割高感はないわけね。

竹内●データを追ってきた専門家の立場でいえば、可能性は十分あります。

芦田●それは超すご〜い!

同業種で同じ増益率なら時価総額の大きい順に買い

ロン●2017年の銘柄選びは、投資の王道に戻って「利益成長」がキーワードになりそうだね。SMBC日興証券の予想では、増益業種のツートップは海運業と鉄鋼だった。野村證券は電機・精密が25%増益、さらに鉄鋼・非鉄が70%増益、ソフトウエアが40%増益とみている。

海外の機関投資家は増益率がほぼ同じなら、時価総額の大きい順に買っていく傾向がある。各業種のトップ銘柄は有力候補だね。

東京市場で最大の売買シェアを誇るのが欧州系投資家だけど、ECB(欧州中央銀行)が2017年末まで量的緩和政策を延長したことで、欧州国債は当面、ゼロ金利状態が続くことがほぼ確定した。今年も東京市場には欧州マネーの流入が続くだろう。

芦田●リスク要因は円高?

竹内●企業業績を考えると、円高が最大の敵です。

ロン●ただ、配当利回りも高いし、未消化の自社株買い枠を抱える企業も多いから、仮に1ドル=100円になっても、昨年ほど株価は下がらないと思うよ。トランプ相場に乗れなかった投資家は「次に下がったときは買いたい」って考えているし。

芦田●円高で利益の出るワラントを買ったり、FX(外国為替証拠金取引)で円買いポジションを組んだりすれば、上手にリスクヘッジできるかもね。米ドル/円やユーロ/円のブル・ベア型投信もあるんでしょう。ロン隊長、竹内さん、今度は3人で為替のお話もしよっ♪

ロン&竹内●オッケー!

配当株のシーズン狙いは邪道 長く愛されるロングセラー株こそ王道

「株価が安いだけ」かもしれない高利回り株で本当にいいのか?今年限りかもしれない高配当の銘柄を狙っていて本当にいいのか?

米国にトランプ新大統領が誕生し、はや1カ月が経過しました。大統領選挙の後には、「トランプラリー」と名づけられた強烈なリスクオン相場も発生。ただ、その陶酔感もさめ、トランプ政権に対する期待と不安のシーソーゲームが続いています。景気刺激策を唱える「グッド・トランプ」と、米国第一の旗を掲げ保護主義を前面に出す「バッド・トランプ」......この二面性こそ最大の混乱要因ですが、こんなときこそ投資の王道に立ち返ってみては?

3月の配当シーズン到来目先の配当は重要にあらず

岡村●トランプを信じる、信じない、これが市場の議論の中心になっていますね。今や、昨年までは主役だった中央銀行の影すら薄くなってしまったほどです。

熱井●最初のラリーが始まったときは、トランプの考え方を都合よく解釈しすぎたところはあったからね。人間性も含めて考えると、日本の投資家が手放しで受け入れるのは難しいところがあるよな。

落月●そこは熱井に同感。ただ、米国のインフレ率が上昇トレンドに転じていることと、金利時代が終わりを迎えようとしていることは確か。トランプが好きか嫌いかは抜きにして、新しい時代に対応していかないといけないのは間違いない。

岡村●そうなると、日本の個別株ではどういった銘柄が好まれていきますかね?

落月●原点に立ち返って株の「配当」の魅力が重視されるんじゃないか。そろそろ3月配当の時期になるけど、目先の配当が多いかどうかとか短期的なことじゃなくてさ。

岡村●単に「高配当株を探せ!」ってことではないと?

熱井●それはそうさ。高配当株は、株価が安いからって理由の場合もあるからな。配当もらったらオサラバ!なんて投資家が多い銘柄を買うのはナンセンスだね。

落月●たまにはいいこと言うな。その通りで、本当に配当を重視している投資家は、個人でも機関投資家でも長く持てる銘柄を探してる。配当の権利落ち後も、次の配当まで持っておきたいような会社を選ばないと意味がないよ。

岡村●そうなると、配当を長期間安定している会社に限られそうですね。昨年は日本で人気がある毎月分配型投信の減配が相次ぎました。そのお金も安定配当の大型株であれば受け皿になりそうな......。

落月●正解。為替リスクの大きさにウンザリしてる投資家は急増している。

日本にも眠っている「配当貴族」を探せ!

岡村●安定配当がキーワードといっても、最近の日本企業は配当を増やそうと頑張ってる企業が多いですよね?

落月●そうだな。昨年の4〜9月期の配当総額は約3・8兆円で過去最高。この3月期末にかけてさらに増えるし、銘柄の選択肢は多いね。しかも、4〜9月期は円高で純利益は1割強の減益だった。それでも配当は過去最高。企業の意識が株主に向いているのは間違いないといえるね。

熱井●トランプラリーで円高も止まって、来期は増益が見込めるしな。俺も賛成!

岡村●でも、安定配当ってだけだと、なんかツマラナイな。

落月●こういうことにエンターテインメント性を求めるなよ......。まあ、あえて言えば「配当貴族」がキーワード。

熱井●それ、米国では指数として知られているやつだな。

落月●そう。S&P500採用銘柄の中で、25年以上連続で増配している会社が「配当貴族」と呼ばれている。

岡村●かっこいいですね、貴族。日本にも25年以上連続増配の会社はありますか?

落月●残念ながら1社しかない。

熱井●花王だろ?

落月●いきなり答えを言うなよ。まあ正解だが......。花王は今12月期で28年連続増配の予 定。日本記録を更新中だよ。

熱井●この業界の人間、「花王を買おう」ってよく言うよな(笑)あれはあながち間違ってない。

岡村●それ、僕も何度も聞いたことあります(笑)。

熱井●でも、さすが日本一の増配企業だよ、花王は。27期の全期間の配当を合計すると約1034円。27年前の株価は1532円。株価も当時の3・6倍だけど、配当だけでもすごいこと。タイムスリップで過去に戻れるなら、「花王を買おう」ってなるよな!

岡村●「配当貴族」と将来呼ばれる銘柄を探しつつ、ハイスコアのタイミングで仕込んでみるのがよさそうですね。

落月●あと10年たてば、米国でいう「配当貴族」と呼ばれるようになる日本株はたくさん出てくる。花王と同じような果実を得るチャンスは、気づいていないと逸してしまう。短期トレードで利益を出すのもいいけど、ロングセラー株の魅力は後になって気づくことが多いよね。

岡村●なんだか10年先が楽しみになってきました!