ネットマネー 2017年4月号より一部を特別公開!

トランプ新大統領の誕生で米国の政治、経済は大きく変化しつつある。わかりやすい解説でおなじみの植木靖男氏が、米国の高関税リスクにおびえて軟調な展開の輸出関連株に注 目している。

今月の目のつけどころ 米国内で売り上げを伸ばす輸出関連王道銘柄

株価が割安な輸出株は今が押し目買いの好機

米国トランプ新大統領の下、米国の政治、経済は大きく変化することになった。なかでも経済政策はこれまでの寛容さが薄れ、ひたすら米国の利益を追求する孤立主義に取って代わった。相手国が同盟国だろうが、非同盟国だろうがおかまいなく、米国にとって経済的利益になればそれで可とするものだ。

こうした中、世界の先進国・新興国の株式市場は、戸惑いと困惑の中に立ちすくんでいるのが現状である。

当面、米国との関係で最も重要なのは通商関係となる。トランプ大統領は就任早々、TPP(環太平洋経済連携協定)の離脱を表明。また、NAFTA(北米自由貿易協定)の見直しを打ち出している。

日本は依然、貿易立国としての位置づけにあり、TPPを断念せざるをえない現状では、米国との2国間での個別交渉となる。

トランプ大統領は日本が米国産の牛肉に38・5%の関税をかけ続けるなら、米国が日本から輸入する自動車の関税を今の2・5%から同じ38・5%に引き上げるとしている。

だが、冷静に考えれば、たとえ米国が苛酷な高い関税をかけようとも、輸出に影響を受けない製品もあるはずだ。それは、米国が日本からどうしても輸入せざるをえない製品だ。

たとえば、ボーイングの航空機787機材の35%は、日本のメーカーが担っている。また、同社のエンジンプログラムシェアの15%はIHIを中心とした日本のメーカーが参画しているのだ。また、iPhoneのように、日本製品が米国製品の中に組み込まれているものもある。こうした高品質の製品は、米国内のメーカーのものに置き換えることは困難だろう。

トランプ大統領の就任以降、輸出関連株は米国の高関税リスクにおびえて軟調な展開を見せている。だが、輸出企業の中ですでに米国内に生産拠点を有する、あるいは高い関税をかけられても価格転嫁が可能なところは、株価が割安にあるだけに押し目買いの好機といえるだろう。

株式評論家
植木靖男さん
1938年、東京都生まれ。
慶應義塾大学経済学部卒業後、日興證券(現・日興コーディアル証券)に入社。
調査部門や株式本部などを経て、1998年に独立。
ポコフィナンシャルオフィスを設立。
現在、株式評論家として、新聞、ラジオ、テレビ、雑誌、講演会などで幅広く活躍中。