ネットマネー 2017年4月号より一部を特別公開!

来月の日本株はどう動く? 世界の市場ではどんなことが起こっている? 日々めまぐるしく動く国内外の経済情勢を解説&予想する「サテライト」連載。前半は日本株メインの投資戦略を3連発、後半は先進国やアジアなど気になる海外の国にスポットライトを当てながら、フレッシュな情報を「誌面中継」します!

春は「理想買い」の季節。前向きな増益を待望

例年3月から5月上旬は、企業業績の改善期待が株価上昇の原動力となる、「理想買い」の時期である。

2018年3月期は東証1部上場企業の最終利益で10%を超える増加が予想される。円安の増益貢献度が最も高いが、そこに経営効率化や新商品の売れ行き好調が加われば、文句のつけようがない。

野村證券は昨年の大納会に発行したレポートで、今年の日経平均株価の最高値を2万2000円と予想。その一方で、「2015年央からの下方修正局面で日本企業の体質改善が実現していれば、さらに先の業績拡大を織り込む形で日経平均株価2万4000円への道が展望できるかもしれない」と、バブル崩壊後の最高値更新の可能性に言及している。円安頼みではなく、企業努力に裏付けられた増益を投資家が求めているのだろう。一方、3月は例年、自社株買いが膨らみやすい。今年度は昨秋以降に株価が急伸して自社株買いのタイミングを逃し、買い付け枠が余っている企業が多い。そのため、3月はPBRが1倍未満と解散価値を下回っている企業を中心に、駆け込み的な自社株買いラッシュが予想される。

国内市場はこう動く… まとめ

  1. 3月から5月上旬は業績改善期待が株高の原動力
  2. 企業体質が改善されれば日経平均2万4000円も
  3. 低PBR株には駆け込み的な自社株買いが拡大か

政府機能停止の先例。急落後には急反発か

米国で3月15日、国債発行枠である連邦債務上限の引き上げ期限を迎える。議会が引き上げを拒否すれば、最悪の場合、米国債の利払いが止まるデフォルト(債務不履行)に陥り、米国株は下落が濃厚だ。短期的にせよドルや米国債も売られ、円やユーロ、金が買われるだろう。

トランプ大統領は景気の押し上げを最優先課題に据え、道路や空港などのインフラ整備を中心とした公共事業を展開する構え。財政赤字の拡大は承知の上だろう。ムニューチン新財務長官も1月の上院公聴会で、連邦債務上限の引き上げにかなり前向きな姿勢を示し、トランプ大統領を援護射撃した。

一方、トランプ大統領の味方であるはずの議会与党、共和党内には財政赤字拡大に強硬に反対するグループがある。2011年夏には共和党の反対で債務上限の引き上げを許さず、政府機能を一部停止させた〝実績〞がある。「米国債のデフォルトも辞さない」と息巻く議員もいる。

もっとも米国人は議論のための議論はしない。議論が紛糾してドルや米国株が急落すれば、決着後には急反発が期待できる。

世界市場はこう動く… まとめ

  1. 3月15日に米国連邦債務上限の引き上げ期限が到来
  2. トランプ大統領の引き上げ主張に、共和党内は反対
  3. 対立が表面化すれば短期的なドル売り・円買いへ

1 今月の投資戦略 日本株
228銘柄中、買える企業は… 数少ない〝マザーズの良心〞を買う

買えるマザーズ銘柄を絞る
たった1週間で176億円(東証1部に置き換えると約2兆7000億円相当)も、個人投資家がマザーズ銘柄を売り越した! 今、新規で買うとよさそうなマザーズの10銘柄を公開する。

昨年末、個人投資家がマザーズ株を大処分。改めて買い直す?

個人投資家が売買シェアの約7割を占める、東証マザーズ市場(以下、マザーズ)。トランプラリーに沸く2016年12月末、そのマザーズで珍しい現象が起こりました。

12月最終週(2016年12月26〜30日)、個人投資家が176億円の売り越しだったというのです。これは2007年1月第1週以来(9年3カ月ぶり)の売越額でしたマザーズのメインプレーヤーである個人投資家が、持ち株の大処分または利益確定に動いていたというわけです。

マザーズで1週間に176億円の売り越しと聞いても、ピンとこないのではないしか。東証1部では外国人投資家が1週間に1兆円の売り越しというケースもありますから。そこで〝マザーズでの176億円〞を東証1部に置き換えてみようと思います。

マザーズに上場する全228銘柄の時価総額は合計約3兆6000億円(2017年1月23日現在)です。任天堂の時価総額が3兆3306億円(同)ですから、マザーズ全体と任天堂1銘柄がほぼ同じ規模ということになります。1週間で176億円の売り越しというのはマザーズ全体の時価総額の0・48%に相当しますが、これを時価総額560兆円の東証1部に置き換えると、1週間で約2兆7000億円! 東証1部で3兆円近くも売り越しがあったら、市場参加者はひっくり返りますよね。

なぜマザーズで個人投資家はここまで売ったのでしょうか。それは節税目的の処分売りと思われます。昨年11〜12月のトランプラリーのおかげで手持ちの銀行株などにより利益が膨らんでいた個人投資家は多いはず。一方で蚊帳の外だったのがマザーズです。そーせいグループやCYBERDYNE、ブランジスタといったかつての人気株が塩漬け状態のまま……。銀行株で儲かってマザーズ株で損していた投資家が、損益通算のチャンスとばかりに売ったのです。本当に持っていたいマザーズ株なら改めて買い直せばいいわけですから。とりあえずマザーズの損失を確定させることで銀行株の利益から取られる税金を相殺したい、と。

現在、個人投資家でマザーズの塩漬け株を保有している人はかなり少ないはずです。

最低限の収益力を持つ、最低限の成長性を持つ、そんな企業すら希少化

塩漬け株の整理が進んだという意味で、個人投資家の投資余力は例年以上にあるといえそうです。ただ「そろそろマザーズ株に注目!」といっても、何を買えばいいのか悩む人が多そう。上場銘柄の〝質〞という点で、マザーズ株は年々劣化が進んでいるからです。

その理由のひとつに市場への昇格基準が緩和されたことが挙げられます。株主数や利益の額などの基準もありますが、時価総額でいえば40億円以上あれば東証1部、20億円以上で東証2部の基準をクリアできます。東証1部企業にふさわしいイメージよりも小型の企業が、早い段階で東証1部に昇格してしまう事例が相次いでいるのです。実際2016年だけでも29社がマザーズから東証1部に昇格しました。

毎年IPO(新規株式公開)でマザーズ銘柄は増えますが、それでも業績良好な企業が東証1部・2部へ行ってしまった穴は埋められずにいます。その結果、マザーズには最低限の収益性と成長性を持続できる企業が少ないのです。

たとえば最低限の収益性を「営業利益率10%以上」とし、成長性を「今期予想の営業増益率10%」とします。この条件でスクリーニングをかけても、228銘柄のうち約40銘柄しか残りません。その中で機関投資家が投資対象に最低限求める「時価総額100億円以上」という条件も加えると、たったの10銘柄しか残らないのです。

中小型株ファンドの投資対象にもなりうるという意味で、その10銘柄を下の表で紹介しています。これらは今年のうちにマザーズを卒業し、東証1部へ昇格してもおかしくないでしょう。

2 今月の投資戦略 日本株
トランプラリー下で売り込まれ、〝踏み上げ〞期待大の銘柄とは?

就任早々、傍若無人な振る舞いのトランプ大統領だが、当選直後から彼の政策に対する期待が高まってトランプラリーが発生したのも事実。今回は、その波に乗り遅れた投資家のために逆襲期待銘柄をランキング!

全体相場が上昇中にもかかわず、派手に売られていた銘柄が!

現地時間の1月20日、ついに就任したトランプ大統領。その直後にはTPP(環太平洋経済連携協定)離脱を表明する一方、日本の自動車貿易が不公平だと文句をつけ、為替市場や株式市場がトランプ氏の一挙手一投足に翻弄される展開が続いています。

こうして年明け後の相場は予断を許さない状況となりましたが、昨年11月上旬の大統領選挙直後から今年の大発会まではほぼ一本調子で急激な右肩上がりを描いていました。いわゆるトランプラリーです。この間に日経平均株価は3000円以上も上昇を遂げ、多くの銘柄が急騰しました。

トランプラリーが発生したのは、彼がビジネスマンであり、企業経営に優しい政策を打ち出すことへの期待が高まったからです。しかしながら、トランプ氏当選に対するショックのほうが大きかったせいか、大半の個人投資家はこの強気相場に完全に乗り遅れ、外国人投資家だけが株価急上昇の恩恵を享受した格好。

そこで、そのリベンジの意味も含め、今回注目したのは「トランプラリーの蚊か帳やの外だった銘柄」です。言い換えれば、全体相場が上昇する中で逆に売り込まれていた銘柄で、足元で信用取引の売り残が膨らんでいた銘柄をランキングしてみました。「(信用売り残-信用買い残)÷直近10日間の平均売買代金」という式で算出した数値の高さで順位づけしています。就任直後はTPP離脱をはじめとする過激なリーダーシップばかりが目立ったものの、株式市場が切望している法人減税などの策も明らかになってくるはず。そうなると、相場全体の上昇が再び顕著となる可能性が高まるでしょう。

そして、トランプラリーのさなかに売り込まれていた銘柄に物色が向かうという展開も考えられそうです。信用売りのポジションを建てていた投資家が株価の反発に驚いて慌てて決済し、その買い戻しがいっそうの上昇を誘うという〝踏み上げ相場〞のパターンが十分に起こりうるのです。

地銀やインバウンド、資源・エネルギーのランクインが目立つ

トランプラリーで上昇が顕著だった銘柄は、就任式後に若干売られたとはいえ、上値余地が限られている可能性が考えられます。その点、ずっと売られ続けてきた銘柄は、かなりの勢いで反発するエネルギーを秘めているといえるでしょう。しかも売り残が多いことに伴って、株価がそれ以上、下がりにくくなっている点にも注目すべきです。

ランキングを見渡してみると、3位の九州フィナンシャルグループ、6位のめぶきフィナンシャルグループ、8位の広島銀行といったように、地銀が数多く入っているのが特徴的です。また、同じく金融セクターでは14位にかんぽ生命保険がランクイン。いずれも国内展開のみでトランプ大統領の政策とはほぼ無関係ですが、その多くが割安な水準まで売り込まれています。

また、2位の近鉄グループホールディングスや5位の京浜急行電鉄、10位の京王電鉄、13位の京阪ホールディングスと、関東や関西の大手私鉄も多数入っています。11位の日本空港ビルデングや18位のヤマダ電機とともに、インバウンド(訪日外国人)関連としてひとくくりにできそうです。一時は市場のテーマとして大いに注目が集まっただけに、ひそかにトランプラリー下において調整が続いていたということなのでしょう。さらに、1位の丸紅や9位の商船三井、19位の三菱ガス化学、20位の出光興産といった具合に、資源・エネルギー関連も売られすぎの様相を呈しています。それらの巻き返しにも期待したいところです。

3 今月の投資戦略 日本株
あきんどスシロー、一風堂も上場?今年上場する企業の傾向を教えます

質の低下がささやかれてきた新規上場銘柄だが、2017年はどうなる? 上場社数、企業の規模、上場後のパフォーマンスを昨年の動向から占う。

今年も注目度が高まりそうなIPO(新規株式公開)市場。今回は2016年の動向から、今年を簡単に占ってみたいと思います。

昨年の新規上場社数は83社で、2015年の92社を下回りました。前年を下回るのは実に7年ぶりです。上場社数はリーマン・ショック以降、順調に増加していましたが、昨年は「上場審査の厳格化」を理由に一服。108〜109ページで岡村氏が「東証マザーズ株の質の低下」について執筆していますが、 IPO市場でもここ数年は質の低下が見られます。上場直後に業績予想を下方修正する企業もチラホラありましたし……。

でもこれからは、上場審査の厳格化によって、質が少しずつよくなっていくことが予想されます。今年は新規上場社数こそ横ばい程度になるかもしれませんが、〝量よりも質〞に注目の1年となりそうです。

次に上場企業の規模を見てみましょう。昨年の最大規模のIPOは10月に上場したJR九州、次は7月に上場したLINEでした。それ以外は小粒の案件が増えている印象です。今年も小型案件が増えると思います。回転ずし最大手の「あきんどスシロー」、博多ラーメン店の「一風堂」を展開する各企業などの上場も取りざたされていますから、皆さんの身近な企業が市場デビューする可能性も大ですね!

上場後の株価のパフォーマンスを見てみると、二極化しています。上場後の数カ月で大きく上がるか下がるか、明暗がくっきり分かれているのです。上場後に、株価が上がりやすい企業の特徴は何か?

これはやはり、独自のビジネスモデルによる成長期待ではないでしょうか。今後の成長イメージが湧きやすい企業、ニッチな分野でも独自性を生かして業績を伸ばしている企業は、上場後も中長期的に評価されています。

上の表には、昨年上場した企業の中から、上場後の株価パフォーマンスが良好な企業をピックアップしてみました。公募価格、初値に対して株価が強いままの銘柄は安心して保有できますね。