ネットマネー 2017年4月号より一部を特別公開!

買えるマザーズ銘柄を絞る

たった1週間で176億円(東証1部に置き換えると約2兆7000億円相当)も、個人投資家がマザーズ銘柄を売り越した! 今、新規で買うとよさそうなマザーズの10銘柄を公開する。

昨年末、個人投資家がマザーズ株を大処分。改めて買い直す?

 個人投資家が売買シェアの約7割を占める、東証マザーズ市場(以下、マザーズ)。トランプラリーに沸く2016年12月末、そのマザーズで珍しい現象が起こりました。   12月最終週(2016年12月26〜30日)、個人投資家が176億円の売り越しだったというのです。これは2007年1月第1週以来(9年3カ月ぶり)の売越額でしたマザーズのメインプレーヤーである個人投資家が、持ち株の大処分または利益確定に動いていたというわけです。

 マザーズで1週間に176億円の売り越しと聞いても、ピンとこないのではないしか。東証1部では外国人投資家が1週間に1兆円の売り越しというケースもありますから。そこで〝マザーズでの176億円〞を東証1部に置き換えてみようと思います。

 マザーズに上場する全228銘柄の時価総額は合計約3兆6000億円(2017年1月23日現在)です。任天堂の時価総額が3兆3306億円(同)ですから、マザーズ全体と任天堂1銘柄がほぼ同じ規模ということになります。1週間で176億円の売り越しというのはマザーズ全体の時価総額の0・48%に相当しますが、これを時価総額560兆円の東証1部に置き換えると、1週間で約2兆7000億円! 東証1部で3兆円近くも売り越しがあったら、市場参加者はひっくり返りますよね。

 なぜマザーズで個人投資家はここまで売ったのでしょうか。それは節税目的の処分売りと思われます。昨年11〜12月のトランプラリーのおかげで手持ちの銀行株などにより利益が膨らんでいた個人投資家は多いはず。一方で蚊帳の外だったのがマザーズです。そーせいグループやCYBERDYNE、ブランジスタといったかつての人気株が塩漬け状態のまま……。銀行株で儲かってマザーズ株で損していた投資家が、損益通算のチャンスとばかりに売ったのです。本当に持っていたいマザーズ株なら改めて買い直せばいいわけですから。とりあえずマザーズの損失を確定させることで銀行株の利益から取られる税金を相殺したい、と。

 現在、個人投資家でマザーズの塩漬け株を保有している人はかなり少ないはずです。

最低限の収益力を持つ、最低限の成長性を持つ、そんな企業すら希少化

 塩漬け株の整理が進んだという意味で、個人投資家の投資余力は例年以上にあるといえそうです。ただ「そろそろマザーズ株に注目!」といっても、何を買えばいいのか悩む人が多そう。上場銘柄の〝質〞という点で、マザーズ株は年々劣化が進んでいるからです。

 その理由のひとつに市場への昇格基準が緩和されたことが挙げられます。株主数や利益の額などの基準もありますが、時価総額でいえば40億円以上あれば東証1部、20億円以上で東証2部の基準をクリアできます。東証1部企業にふさわしいイメージよりも小型の企業が、早い段階で東証1部に昇格してしまう事例が相次いでいるのです。実際2016年だけでも29社がマザーズから東証1部に昇格しました。

 毎年IPO(新規株式公開)でマザーズ銘柄は増えますが、それでも業績良好な企業が東証1部・2部へ行ってしまった穴は埋められずにいます。その結果、マザーズには最低限の収益性と成長性を持続できる企業が少ないのです。

 たとえば最低限の収益性を「営業利益率10%以上」とし、成長性を「今期予想の営業増益率10%」とします。この条件でスクリーニングをかけても、228銘柄のうち約40銘柄しか残りません。その中で機関投資家が投資対象に最低限求める「時価総額100億円以上」という条件も加えると、たったの10銘柄しか残らないのです。

 中小型株ファンドの投資対象にもなりうるという意味で、その10銘柄を下の表で紹介しています。これらは今年のうちにマザーズを卒業し、東証1部へ昇格してもおかしくないでしょう。