ネットマネー 2017年4月号より一部を特別公開!

次回の外国為替報告書で中国が為替操作国に認定か?

「中国を為替操作国として認定する」。これはトランプ氏が選挙戦から掲げてきた公約のひとつだ。過去の為替市場では、中国ショックによる円高が鮮明となっている。投資家としては米中関係からも目が離せない。

トランプ政権による人民元安の牽制は、対岸の火事ではない

「中国には、人民元安によって貿易競争力を高めるとした通貨戦争の意図はない」

これは1月17日に行なわれたダボス会議での習近平国家主席による演説だ。米国の保護主義姿勢を牽制しつつも、裏を返せばトランプ政権へのいら立ちの表れといえよう。

対中国強硬派で民主党のチャック・シューマー氏は、トランプ大統領に対し、選挙公約のひとつである中国の為替操作国認定を行なうように要請している。中国が人民元安を誘導し、対米貿易黒字を強めているというのが理由だ。

トランプ大統領も選挙期間中から中国を為替操作国に指定すると公言してきただけに外国為替報告書(次回4月末)での認定の有無は無視できない状況となる。ただし、認定するには以下3つの条件が合致した場合であり、これらのすべてに抵触しない限り、認定発動はされない。

①大幅な経常黒字(GDP比3%超)、②対米貿易黒字が年200億ドル超、③持続的かつ一方的な為替介入による外貨買いがGDP比2%超。

筆者は特に③において中国の為替介入行為は疑わしいと思うものの、昨年の中国のGDP74兆4127億元の2%にあたる1兆4882億元(約24兆8000億円)と考えると、恒常的だとしても2%には届くほどの介入をしているとの疑問も生じる。そうなると①②の理由のみをもって、為替操作国認定に動くにはいささか無理もありそうだ。

トランプ氏は大統領選挙期間中から就任直前まで、中国は輸出競争力を高めるために人民元を不当に操作して低水準に抑制しているとの主張を繰り返してきた。今後のトランプ氏の出方次第では人民元安牽制が強まり、それは円にも綱渡りを強いる可能性があると考えている。人民元・中国市場の混乱は円と無縁ではないからだ。過去、中国経済の衰退や打撃は日本の景気回復の圧迫につながる恐れがあるとして、市場は一時的にせよ円高に反応した経緯は記憶に新しい。FXに取り組むうえで、米中関係から目が離せない状況となる。

為替先読み塾number-1[主要通貨編]
トランプ相場は乱高下必至。答えはボリンジャーに聞け

変動率MAXのトランプ相場と相性抜群の指標はボリンジャーバンド。±2σ超えが起こる確率は統計学的にたった5%で、ありえないことが起こり続けるかどうかがわかる!

下向きのバンドウオークが続くか、バンド幅縮小で上昇第2波襲来か?

大統領就任式に向けて、為替相場の動きが上下に活発化しました。今後4年間、FXの大波乱要素になりそうな米国のトランプ大統領。保護主義的主張を声高に叫んでいる以上、為替相場にも強い影響を与えそうです。予測不能なトランプ大統領と相性のいい指標であるボリンジャーバンド(以下、BB)。統計学上、為替レートがBBのプラスマイナス2σシグマ内に収まる確率は95%。プラスマイナス2σを超える値動きはトランプ氏の大統領選挙の勝利と同様「ありえない」ということで、逆張りするのが基本セオリーです。

下のチャートを見ると、昨年11月9日の大統領選挙以降、米ドル/円はBBのプラス2σに絡み合い、プラス2σ上で動く「バンドウオーク」(バンドに沿った動き)が続きました。12月15日には1ドル=118円66銭の最高値に到達。その後は20日移動平均線が下から迎えに来るような形で下落し、年初は円高・ドル安の流れが鮮明に。BBの注目ポイントである「バンド幅」は明確な収縮へ向かっています。

大統領就任式の3営業日前、米ドル/円はマイナス2σを下回りました。就任式前日にはドル高に振れたものの、今後は右肩下がりで拡散を始めたマナイス2σ上で、円高・ドル安のバンドウオークが続きそうです。トランプ政権はいまだ100日間のハネムーン期間。新政権が打ち出す政策に呼応し再びドル高へ回帰する可能性も捨てきれません。そんなとき注目したいのはバンド幅。拡散中のバンドが一転収縮に向かうなら、ドル高トレンドの第2波が始まる可能性も。今後もボラティリティー(変動率)が高いであろうトランプ相場では、バンドウオークやバンド幅の収縮・拡散シグナルが役立つのです。

カブドットコム証券 投資情報部 投資アナリスト
藤井明代さん AKIYO FUJII
株主優待からテクニカルまで幅広い分野の情報発信で人気。
ラジオやテレビなどレギュラー出演多数。
著書『勝てる!「優待株」投資』(幻冬社)。

為替先読み塾number-2[その他通貨編]
今月は英ポンドと豪ドルのチャートの動きに注目!

トランプ氏がついに米国大統領に就任。いわゆる「ハネムーン期間」入りで、米ドルは堅調な値動きが続きそう。 一方、英ポンドは悪材料出尽くしで押し目買いのチャンス。豪ドルも相場の大きな節目を迎えそうだ。

1月に続き、英ポンドと豪ドルの動きに注目!

2017年1月20日、ついに米国にトランプ新大統領が誕生。新政権の発足から100日間は「ハネムーン期間」と呼ばれ、メディアは新政権への批判を控える習わしがあり、また株価も堅調に推移することが多いようです。FRB(連邦準備制度理事会)も昨年末のFOMC(連邦公開市場委員会)で、2017年の利上げ予想は「年3回」との見方を示しており、当面はドル高傾向が続きそうです。

一方、1月に続きおもしろい展開となりそうなのが英ポンドと豪ドルです。

いよいよ3月から英国とEU(欧州連合)の離脱交渉が始まりますが、現段階において、英国にとって有利な条件での離脱は困難であろうというのが大方の見解。つまり、市場はすでにEU離脱に伴うリスクを織り込み済みであり、悪材料は出尽くしたと考えることができるわけです。

そこで、英ポンド/円の週足チャートを見てみましょう。2015年8月から英ポンド/円は長く下降トレンドを描いてきましたが、昨年10月を境に反転。現在はやや失速気味に見えますが、チャートをさかのぼると2012年末から2013年にかけての値動きとよく似た展開になっていることがわかります。歴史は繰り返されるのか?今後の動きを注視したいところです。

一方、豪ドル/円は週足チャートの動きに注目。高値と安値のちょうど真ん中に線を引いてみると、88〜89円が大きな節目になっていることがわかります。現在は、ここが上値抵抗線となっていますので、これを上抜けることができれば100円近辺までのレンジ相場に入る可能性が一気に高まりそうです。

また、過去の値動きを見ると、上抜けた後は上値抵抗線付近でもみ合っても大きく下げない傾向があるようです。上抜けたのを確認した後、いったん下がったところで押し目買いを入れてみるのがおもしろいでしょう。

外為オンライン外国為替本部長
松本公明さん KIMIAKI MATSUMOTO
1989年から金融市場に携わる。
ライブスター証券の証券営業部長、為替営業部長を経て、2012年より外為オンラインにて現職。