ネットマネー 2017年4月号より一部を特別公開!

今月の注目点 新興国型はインド、ブラジルに投資するタイプが上位に

投資信託は投資先や基準価額、純資産総額、騰落率など、項目が多数存在する。
そこでこのページでは多数ある投信の中から旬なテーマを選択してランキング形式で紹介していく。
今月は新興国型ファンドなどの最新事情を探ってみよう。

教えてくれたのは、楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト 篠田尚子さん
慶應義塾大学法学部卒業。国内銀行、リッパー・ジャパンを経て、2013年11月より現職。情報収集力と分析力は天下一品。

新興国ファンドはインドやブラジルなどが上位にランクイン

2017年1月の世界の株式市場は、トランプ新政権に対する期待と不安が交錯し、米国を中心に一進一退の展開となりました。

1月20日の就任後、トランプ氏は石油パイプライン建設の許可やメキシコ国境沿い壁の建設などの大統領令に署名。政策を着実に実行に移していることが好感され、NYダウは一時史上初となる2万ドルを突破しました。

しかし、排他的な移民政策に対する警戒感から、月末にかけて下落に転じました。こうした中、主として新興国に投資を行なう追加型株式投信について、1月の月間純流入金額が大きかった順に並べてみたところ、インドのほか、ブラジルに投資するタイプが上位に名を連ねていることがわかりました。

先進諸国と比べて経済基盤が未成熟な新興国は、その多くが外国からの急激な資金流入を抑えるために資本規制を設けています。個人による直接投資も難しいため、投資信託を通じた投資が一般的となっています。

2000年代半ばごろまでは、中長期的な値上がり益に期待する株式型が主流でしたが、00年代後半の世界的な金融危機以降は、新興国の相対的に高い金利を享受する定期分配型が台頭しました。

高金利を利用して高い分配金を実現。短期保有も視野に入れて

2位と5位にランクインした、ファンド名に通貨コース名が付く「通貨選択型」と呼ばれるタイプは、ブラジルレアルやインドルピーといった高金利通貨の力を借りて高い分配を実現する分、基準価額の変動幅も大きいという特徴があります。

新興国への投資と聞くと、中長期にわたって資産を預け入れ、最終的にハイリターンの果実を享受するというイメージをお持ちの方も多いようです。しかし、新興国をとりまく環境は足元の数年の間にめまぐるしく変化しており、また、先進国以上に為替変動がファンドの運用成績を大きく左右するということに注意しましょう。

米国投信はネット関連や銀行、新エネルギーに物色

米国のダウ工業平均株式がはじめて2万円を突破した一方で、米国投信ではどんな銘柄に人気が集まっているのでしょうか(次ページの表)。

主として米国の株式に投資する投資信託を抽出し、1月の月間純流入合計額が大きかった順に並べてみたところ、銀行株、インターネット関連株、インフラ関連株など、特定の業種やテーマを掲げたファンドが上位に名を連ねたことがわかりました。

首位に立った「マニュライフ・米国銀行株式ファンド」は、地方銀行を含む米国の銀行株に幅広く投資を行なうファンドで、昨年秋以降、いわゆるトランプ相場の恩恵を受ける形で基準価額が急騰しました。

2位と3位につけた「netWINゴールドマン・サックス・インターネット戦略ファンド」は、17年以上の運用実績を誇る長寿ファンドです。

このファンドの基準価額は00年代初頭のITバブル崩壊後に3000円台まで落ち込み、残高も減少しましたが、アップルやフェイスブックといった企業の台頭に伴い、再び注目を集めるようになりました。ちなみに組み入れ銘柄の上位に入っているアルファベット(旧グーグル)、アップル、フェイスブック、アマゾンのITの4大巨頭は、GAFAという名称で呼ばれています。これからも注目していきたい企業ですね。

なお、4位と9位にランクインしたMLP(共同投資事業形態の1つ)とは、エネルギー関連インフラへの投資促進を目的とした投資事業形態のことで、米国の金融取引所に上場して取引されています。

投信耳寄り情報

ブラジル関連と素材・エネルギー投信が上位に

資産総額10億円以上の国内追加型株式投信を過去1年間の騰落率が高かった順でランキングすると、ブラジル関連のファンドが上位を独占しました。

ブラジル市場は、2016年5月に発足したテメル政権に対する期待の高まりを受け、代表的な株価指数であるボベスパ指数が過去1年間で約60%上昇し、通貨レアルも対円で20%近く上昇しています。

また、3~5位には、素材・エネルギー関連を含む資源関連株に投資するタイプがランクインしました。OPEC(石油輸出国機構)と非加盟国が原油の減産に合意し、原油価格の見通しが改善したことから、資源関連株が昨年11月以降、大きく反発したためです。

※120~122ページのデータはすべて2017年1月末現在。ETF(上場投資信託)とDC(確定拠出年金)・SMA(投資一任勘定)口座専用ファンド、またデリバティブ(金融派生商品)型を除く。販売手数料、信託報酬は税込み。データ提供:ISIDフェアネス、QUICKのデータをもとに楽天証券経済研究所が作成