ネットマネー 2017年5月号より一部を特別公開!

トランプ大統領就任で史上最高値更新が続く米国株。それに続けとばかりに上昇機運の日本株だが、国境税導入や保護主義、米中衝突など、リスク要因も満載。安心・安全な気分で投資できるリスク排除の王道・大穴銘柄を4人の識者が徹底検証する!

国境税!

「米国で稼いだお金と “作った量" が近いほど◎」

米国現地生産比率が高い企業ほどリスクは小さい

公然と保護主義政策を掲げ、海外からの輸入品に国境税を課す意向を打ち出している米国のトランプ大統領。

岡三証券の小川佳紀さんは、「今後は米国内で製品を生産して米国内で販売する “地産地消" 比率の高い企業が有望になるでしょう」と語る。

たとえば、業務用製氷機大手のホシザキは昨年ジョージア州の工場設備を増強したこともあり、米国売上高比率23%に対して米国現地生産比率も23%。米国で売るすべての製品を米国で生産している計算になる。「米国売上高比率34%に対して米国現地生産比率が28%に達するホンダも優秀。逆に、米国での売上高が約6割に達するのに現地で24%しか自動車をつくっていない富士重工業などはリスクが高めです」

「どう運ぶか」。ル ー ト構築は物流屋にしかできない!

NAFTA見直しで国際物流会社に特需発生

トランプ大統領は就任早々、TPP(環太平洋経済連携協定)離脱の大統領令に署名し、今後はNAFTA(北米自由貿易協定)の見直しに着手する予定だ。

「そうなると、1994年のNAFTA発効以来、日本企業が北米3カ国に築き上げて 製造業復活を掲げるトランプ政権下で安心して買える株の条件は、米国内に自社工場を保有する企業だという点では、今回の取材先4人の意見が完全に一致した。米国子会社のシンテックがルイジアナ州に広大な塩化ビニール樹脂やエチレンの工場を持つ信越きたサプライチェーン(供給網)の見直しを迫られることになります。緻密で複雑な自動車部品の供給網の再構築で潤いそうな物流会社が大穴的に業績を伸ばしそうです」とマネックス証券の広木隆さん。

米国物流会社のJJBを買収している日立物流や、古くから北米の自動車・電子部品物流を手がける日新に注目だ。

「米国に自社工場がある」は安心して持てる絶対条件

米国に工場を持つ建機やセメント会社が有望

製造業復活を掲げるトランプ政権下で安心して買える株の条件は、米国内に自社工場を保有する企業だという点では、今回の取材先4人の意見が完全に一致した。米国子会社のシンテックがルイジアナ州に広大な塩化ビニール樹脂 やエチレンの工場を持つ信越化学工業が、その典型例。

米国キャタピラーがライバルなので不利といわれるコマツは昨年、米国の鉱山向け大型建機メーカーを買収しており、米国子会社の工場経由で十分にトランプ・インフラ投資の恩恵を享受できそうだという。米国内に複数のセメント工場を持つ太平洋セメントや三菱マテリアルも有望だ。

取材に協力してくれた株プロ4人!

インフラ

一番ボロボロなのは鉄道。パイプライン株も外せない

1兆ドルのインフラ投資の大本命は鉄鋼

10年で1兆ドルといわれるトランプ・インフラ投資で潤う日本企業はどこか?

「インフラ整備が最も急務なのは、脱線事故が頻発している鉄道です。鉄道といえば線路=鉄ですから、鉄鋼メーカーに一大需要があるはず」とマネックス証券の広木さん。

米国大手電炉メーカーのニューコアに49%出資している 大和工業などが有望企業といえそうだ。さらに外せないのがパイプライン建設。

「トランプ大統領は環境問題を理由に凍結されていた『キーストーンXL・パイプライン』建設推進の大統領令に署名しましたが、継ぎ目なしパイプで世界シェアトップに君臨するのが新日鐵住金。トランスカナダから、メキシコのガスパイプライン用鋼材を過去最大規模で受注するなど、トランプ・インフラ投資の大本命株といえます」

安くて高性能な部品株は米国も買わざるをえない

株人目につかない世界シェアトップ部品が◎

「『バイ・アメリカン』にこだわるトランプ大統領の下では、最終製品を作る日本企業の米国での売り上げ減少が心配です。しかし、人目に触れないものの、高性能・高シェア部品を作っている日本企業なら、その部品が米国製品の内部で使われていても誰も気に留めないはず」と語るのは経済評論家の新田ヒカルさん。

その最たる例が、スマホ内部の積層コンデンサーで世界シェアトップの村田製作所だ。

ほかに、紙や不織布をカットするNTダイカッターの日本タングステン、自動車エンジンチェーンの椿本チエインなど、ニッチ分野で世界シェアを握る部品株なら安心だ。

「米国企業買収実績アリ」の株を待ち伏せ

トランプ大統領の経済政策で米国ではバブルが起こりそう。米国企業を最近M&Aした企業の株ならバブルの “おこぼれ" にあずかれる!

最近M&Aした企業ほど業績インパクトが大

トランプノミクスの恩恵を最も受けるのは、当然ながら米国の企業。となると、米国企業をM&A(企業の合併・買収)した日本企業も〝おこぼれ〞にあずかれるはず。「2012年に北米住宅向け空調のトップメーカー、グッドマンを買収したダイキン工業や米国の医療系企業を次々買収して新事業構築を進める富士フイルムHDなどは、米国企業M&Aの勝ち組といえます。狙い目は米国企業を最近M&Aしたばかりで、その収益上乗せ効果が今後じわじわ業績に表れてくる企業でしょう」と岡三証券の小川さん。

リチウムイオン電池の部材会社を買収した旭化成、米国デルからITサービス部門を買収したNTTデータ、米国保険大手を巨額買収した東京海上HDなどに期待したい。

トランプ最大の目標は石油メインのエネルギー革命

貿易赤字縮小のための米国LNG輸入で潤う

世界一の石油会社であるエクソンモービルの前会長・ティラーソン氏を国務長官に起用したことからも、石油メインのエネルギー革命はトランプ大統領の主要政策のひとつ。「その政策で恩恵を一番受ける日本企業といえば、資源関連商社としてライバルを圧倒してきた三井物産をおいてほかにありません」と語るのはマネックス証券の広木さん。

三井物産といえばロシア・サハリンのパイプライン開発が有名だが米国内のエネルギー関連投資にも積極的だ。「同社は米国産LNG(液化天然ガス)を日本に輸出するルイジアナ州のキャメロンLNGプロジェクトにも深く関与。500億円を投じてテキサス州の石油製品備蓄基地を増設、新日鐵住金と共同でパイプライン向け鋼材を受注など、米国での資源ビジネスを幅広く展開しています。貿易赤字削減を迫るトランプ政権下で日本の米国産LNG輸入が増えれば、恩恵を受けるのが三井物産なのです」