ネットマネー 2017年5月号より一部を特別公開!

金融規制緩和

すでに銀行・証券株は上げまくり

まずは王道株を押さえる。三菱UFJ FGと野村HDが筆頭、次点で生損保株

米国では金融株が急騰中。日本株も同じ動きに!

トランプ大統領は就任早々、金融機関によるデリバティブ(金融派生商品)の販売や自己勘定取引を規制したドット・フランク法撤回の大統領令に署名。減税、インフラ投資と並んで規制緩和を主要政策に掲げている。

「トランプ相場で最も株価上昇率が高いのはゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースといった金融株。日本株でも絶対外せないのが金融セクターです」と語るのは松井証券の窪田朋一郎さん。「なかでも大本命は、メガバンク最大手の三菱UFJ FGと証券最大手の野村HD。ともに米国企業を買収して事業を拡大しており、トランプ氏の金融規制緩和政策が業績躍進に直結しそうです」

昨年11月からの株価を見ても、三菱UFJ、野村ともに4割超の群を抜く上昇率を記録しており、トランプ相場の主役中の主役といえそうだ。「この2銘柄に加えて有望なのが第一生命HD、かんぽ生命保険、T&D HDといった生保株です。米国ではトランプ氏による巨額の財政出動を見越して米国債の価格が下落し、金利は上昇。主に日米の長期国債で資産運用している生保にとって長期金利の上昇は収益につながります」生保に比べて短期国債での運用比率が高い東京海上HDなどの損保株が続く展開だ。

米国の金利上昇で地銀にも恩恵&金利敏感株がアツい

規制緩和の影響が日本でじわじわ効いてくる

松井証券の窪田さんが、意外にトランプ相場で上昇しそうと期待するのが地銀株。「地銀というと、国内の超低金利や資金需要不足もあって、運用難に悩んできました。また、これまでは金融規制強化を進めたオバマ政権を後追いする形で、日本でも金融商品のリスクについて厳しい説明責任が求められてきました。

しかしトランプ政権誕生により米国で大幅な金融規制緩和となれば、日本でもその流れを受け、地銀が取り扱える金融商品の自由度が増し、収益性の高い投信などの販売も可能になるはず。また、米国の長期金利上昇の影響を受けて、日本でも国債利回りが上昇すれば利ザヤが拡大し、業績向上につながりそうです」

トランプ政権誕生までは先進各国で中央銀行が量的緩和に踏み切るなど、世界的に低金利の時代。しかし、トランプ大統領誕生で状況は一変。米国FRB(連邦準備制度理事会)も追加利上げに動くなど、世界中で金利が上昇する時代が間近に迫っているのだ。

「今後も金利上昇の流れが続くようなら、金利の上昇を好感して株価が上昇しやすい〝金利敏感株〞に投資妙味がある」と、岡三証券の小川さん。金利と株価の相関係数が高い銘柄としては、国債で資産を運用している生損保株や貸出金利の上昇で利ザヤが拡大する銀行株が筆頭銘柄。

「しかし、データをとると、自動車、総合電機、化学、電子部品関連といった輸出株も、長期金利の上昇に敏感に反応して、株価が上昇しやすい傾向が顕著です。逆に金利が上がると株価が下がるのは電力・ガスや鉄道といった内需株や有利子負債の多い会社になります」(小川さん)

米国とロシアが利用しあって…。2国間主義の徹底、ドイツへの牽制がトランプ&プーチンの共通点?

トランプ大統領がロシアのプーチン大統領に接近する背景には、欧州への牽制がある。対米貿易黒字を膨らませるドイツを抑え込み、米国一強体制を固めるのが真意だ。

ロシアの軍拡で欧州の緊張が高まる

1月29日、ウクライナ政府軍と親ロシア派の反政府軍の戦闘が一段と激化した。トランプ氏がプーチン大統領との電話会談を終え、丸1日もたっていないタイミングでの出来事だったため、欧州を中心に「トランプ政権はロシアに寛大だ」との見方が広がった。

トランプ氏は当選前からプーチン氏を「尊敬できる」と評価し、プーチン政権要人もロシアとの関係改善に前向きな発言を繰り返してきた。一見 “相思相愛" に思えるが、実際にはお互いのメリットのために利用し合う “同床異夢" の関係のようだ。

というのも、ロシアを事実上の仮想敵国とするNATO(北太西洋条約機構)について、ペンス副大統領は「トランプ大統領はNATOを強く支持している」と述べ、ロシアの軍事的圧力に対抗していく姿勢を強調した。

一方、ロシアも米国との条約を破って新たな巡航ミサイルシステムを国内に配備したという。軍事面での対立は、オバマ政権時代と変わらない。トランプ氏は米露対立を利用しようとしている。ロシアが軍備を増強すれば、緊張が高まるのは米国ではなく欧州であるからだ。

トランプ氏の外交の基本は徹底した「2国間主義」。TPPの交渉離脱もこの文脈にある。ロシアとも、欧米一体で向き合うのではなく、米露2カ国ベースでお互いのメリットを探る方針とみられる。

米国にとって、邪魔になるのがEU(欧州連合)である。1月末に英国のメイ首相と共同記者会見した際には「脱EUは英国にとって素晴らしい」と述べたこともあり、欧州各国が一致団結して米国と競争する状態を、トランプ氏は嫌っているようだ。

「EUはドイツの乗り物にされている」。トランプ氏はドイツが安値誘導されたユーロで輸出を増やし、貿易黒字を貯め込んできたと批判している。これに対してドイツのメルケル首相は「ドイツはECB(欧州中央銀行)の行動に影響を及ぼすことはない」と反論した。しかし、実際にドイツの貿易黒字は2016年に2529億ユーロ(約30兆円)と過去最高を記録し、トランプ氏の「儲けすぎ」批判への回答にはなっていない。

「アメリカ・ファースト」を唱えるトランプ氏に、ドイツの巨額貿易黒字が見過ごせるはずがない。トランプ氏はNATO加盟国に「適切な資金的貢献」を求めている。軍事費の対GDP比は米国の3%超に対してドイツは1%台と低い。ロシアとの接近も、ドイツに国防支出を増大させてユーロ圏の力を弱め、「米国の一人勝ち体制」をつくることが狙いだろう。

自国防衛

トランプ氏は本気で “損" と思っている。安倍首相も “独立国日本" の方向

戦後最大の防衛費5兆円はさらに増額傾向へ

経済評論家の新田さんが考えるトランプ銘柄の本命は、ズバリ防衛関連株だ。選挙中は日本に在日米軍駐留費用の全額負担を求めていたトランプ氏だが、2月の日米首脳会談では日本側の負担増や在日米軍の撤退などはまったく議題に上がらなかった。

「とはいえ、トランプ大統領の言動をチェックしていると、彼は『自国にとって損なことは一切やらない』と本気で考えているようです。2月の日米首脳会談では表立った議論はなかったものの、今後、日本に防衛力強化を求める可能性があります」

日本の防衛予算は安倍政権誕生から5年連続で上昇が続いており、2017年度予算案では戦後最大の5兆1251億円に上る。

「中国の軍事力に対抗するため、安倍首相自身も防衛予算をさらに増額させたいはず。そこにトランプ大統領という “外圧" が加わったわけですから、悲願の自主防衛に向けて心置きなく突き進めるはず。三菱重工業、川崎重工業、IHIといった防衛関連株は一躍、成長産業になるでしょう」

SACO・米軍再編経費って??

在日米軍に関係する経費の一部。SACO(沖縄に関する特別行動委員会)関係費は土地返還や騒音軽減などのための事業費で、2016年度予算は28億円。米軍再編経費は沖縄にいる米国海兵隊のグアムへの移転費、沖縄米軍基地の再編費用など、2016年度予算は約1700億円。

防衛といえば実は商社!戦闘機に強いのは伊藤忠

米国の貿易赤字縮小にも役立つ一石二鳥効果

防衛関連では、日本の防衛費増加だけでなく、トランプ氏による米国製武器の売り込み攻勢も十分考えられる。

「米国の貿易赤字解消が最終目的である以上、トランプ氏は防衛面でも『バイ・アメリカン』を必要以上に打ち出してくるはずです」と語るのはマネックス証券の広木さん。

つまり、米軍駐留費用の全額負担を声高に訴えた背景には、ロッキード・マーチンなど米国製の戦闘機やミサイルをもっと買えという圧力が暗に存在しているということ。

「そう考えると、防衛分野で最も恩恵を受けるのは、米国からの兵器輸入の仲介役を務める伊藤忠商事や三菱商事といった商社になります。安倍政権としても、トランプ大統領が求める貿易赤字縮小のほこ先が、自民党の支持母体である農業分野の完全市場開放に向かうのは何としても避けたい。一番買いやすいのは武器ということで、今後は米国製武器の輸入に拍車がかかるはずです」

狙い目は1機当たり数百億円と金額がケタ違いの戦闘機輸入に強い伊藤忠商事。とにかく商社株とトランプ相場の相性は抜群といえるのだ。

為替動向が読めない…ならばペアトレードか乱高下歓迎のFX株

トランプ氏の為替発言でFX関連株に投資妙味

「トランプ大統領がドル高牽制発言を続ける以上、2017年の為替相場は大荒れの展開になりそう。円高進行なら輸入品に頼るニトリHDや吉野屋HD、逆に円安ならトヨタ自動車など輸出株と、為替動向に応じたペアトレードが有効でしょう」と語る新田さん。当然、取引高拡大でFX会社の収益も伸びるはず。

「トランプ大統領のドル安政策で一番買えるのは、マネーパートナーズグループやGMOクリックHDといったFX関連株かもしれません」

もうトランプ相場に振り回されない! テクニカル一辺倒なら連勝可能」

超積極的な経済対策というポジティブな面と保護主義というダークサイドな面のどちらに振れるか予測不可能なトランプ大統領の発言の下では、沈着冷静なテクニカル分析が威力を発揮するはず。熱狂的なファンも多い株職人・相場さんに初心者でも儲かる売買手法を聞いた!

上昇→横ばい→下落の台形型が値動きの基本

買いとカラ売りを駆使した独自の「うねり取り」手法で熱狂的ファンも多い、投資歴35年の株職人・相場師朗さん。

「評論家の皆さんは、業績や経済状況で株価を予測しますが、株が上がるのは買う人が売る人より多いから。とはいえ、買った株をお墓まで持って行く人はいない。株を買うのは、その後、売って儲けるためというのが、株式投資の絶対真理です。そのため、株価はある程度上昇すると、必ず利益確定の動きが出て、横ばいに転じるもの。その後、さらに上昇するのは3割、残りの7割は下落に転じるというのが私の長年の経験則です」

相場さんによると、上昇して横ばいに転じ、その後、下落に転じる台形型の動きが株価の値動きの基本だという。

「私が主に狙うのは、いったん横ばい推移した後、上昇や下落に転じる局面です。買いだけでなく、カラ売りも駆使するため、対象となる株は貸借銘柄が絶対条件。外国人投資家も好んで買うJPX日経400採用銘柄で1日の出来高が100万株以上の株なら、株価もこなれてテクニカル分析が当たりやすくなります個人投資家が大好きな新興市場の株は出来高が少なすぎてテクニカル分析が通用しないので避けるべきです」

5日線と20日線の向きがそろったら取引開始

そんな相場さんが売買に使うテクニカル指標は移動平均線のみ。1週間の平均的な値動きを示す5日線、約1カ月間の動きを示す20日線、約3カ月間の60日線の3つが基本だ。

「これまでJPX日経400採用銘柄の株価を過去30年分、つまり計1万2000年分見てきましたが、5日線と20日線がともに上昇していれば買い、5日線と20日線がともに下落していれば売りという手法に徹して売買すれば失敗するケースがかなり減ります」

優秀な野球選手はボール球を打たない。株式投資の世界でも、移動平均線の向きがバラバラで入れ乱れている “ボール球相場" は手出し無用。狙うのは5日線と20日線の向きが同じ方向に回帰した “ストライク" 銘柄だけ!

「最高のエントリーポイントといえるのは、5日線と20日線がともに上げている中、利益確定売りに押されて5日線が下がった後、また反転上昇して上向き方向に戻った地点です。20日線だけでなく、長期の60日線も上げているとなると、5日線が下げていても、それは一時的な利益確定売りに押されているだけの状態。5日線が反転上昇した地点が絶好の買い場になります」

リスクを回避するうえで重要なのは、全資金を一度に投じるのではなく、ポイント、ポイントで順次建て玉を増やしていく独自の「建て玉操作」というワザを駆使すること。下げの局面でも大底からの反転上昇という “次の次" を見据えて、売りだけでなく買いも仕込んでいく両建て取引が相場流・株取引の真骨頂だ。

「さすがに両建て取引には経験が必要ですが、たとえば、買いの場面でも、20日線にぶつかることなく5日線が上向きに転じたところで一回買う。その後、ローソク足が直近の高値を抜けたらさらにもう一回買う、といったように資金配分に気を配ることが、リスクを回避しつつ堅実に儲けるための極意といえるのです」

NTTがR&D見学会を開催。株式投資に必要不可欠な先端IT技術が丸わかり!

トランプ相場で外国人投資家の力が増すと、企業側も株主や投資家との対話をますます活発にする必要がある。そんな流れの中、天下のNTTが、個人投資家に日ごろの研究成果を紹介するR&D(研究開発)フォーラムをSMBC日興証券と共同で開催した。

2月中旬、NTT武蔵野研究開発センターで行なわれたフォーラムには多くの投資家が集まり、大盛況。会場ではNTTが開発を進めるAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット化)の最新技術が惜しげもなく公開された。昨年には傘下のNTTデータが米国コンピューター会社のデルからIT部門を買収。日本が誇るNTTの技術がトランプ政権下の米国を制覇する日も近い!?

相場師朗さん
国内外の金融機関勤務を経て、プロトレーダーに。ラジオNIKKEIの「相場師朗の株塾」(毎週火曜日)に出演。セミナーは常時、満員御礼の大盛況。