ネットマネー 2017年5月号より一部を特別公開!

トランプ相場はリスクオフ・オンに振れる二面性あり。現状はオフ優勢

今年に入って為替相場のボラティリティーは以前より20%近く上昇。トランプ大統領のツイッター発言(暴言!?)を見る限り、保護主義や対中強硬姿勢は明白。今後は欧州での選挙が大波乱要素になる可能性も高い。トレイダーズ証券の井口さんは「トランプ氏を甘く見るな」と楽観的な円安論にクギを差す。

今年に入って為替相場のボラティリティー急上昇

「トランプ大統領には積極的な経済政策と内向きな保護主義という二面性があります。FX投資においても、その二面性に着目して、今の金融市場がリスクオンかオフかを、シビアに判断する必要があります」と語るのは、トレイダーズ証券の井口喜雄さん。これまで為替相場の一大イベントといえば、毎月の第1金曜日に発表される米国雇用統計だった。しかし、トランプ氏の大統領当選以降、雇用統計さえもが為替相場を動かす力を失いつつある。

「為替相場が8割方、トランプ大統領の言動に左右されてしまう状況は、米ドル/円のボラティリティー動向を見れば一目瞭然です。 昨年11月の大統領選挙以降、米ドル/円は17円以上円値動きしましたが、年末までのボラティリティーが8〜12%だったのに対して、今年に入ってからは8~15%と2割以上も変動率が増加。その分、為替相場の値動きを予測しづらくなっています」 

ツイッターや記者会見での発言を見る限り、トランプ大統領が経済政策より保護主義のほうに軸足を置いていることが明らかになりつつある。そうなると、リスクに対する警戒感が楽観論を押しつぶし、円高・ドル安の流れが加速しかねないのが今の状況だ。

「今後は、米国と中国の間で貿易戦争が始まる可能性も高まっています。当然、日本も含めた世界経済にとっては悪循環になりますが、そんなことも重々承知のうえで、トランプ大統領は中国に圧力をかけるでしょう。為替アナリストの中にはトランプ氏の経済政策を好感して、円安方向とみている人も多いようですが、私からすると『トランプ氏を甘く見るな』。1985年に円高誘導を決めたプラザ合意でもわかるように、米国は国の力で為替を動かすことができる唯一の国です。パワープレーで保護主義政策をゴリ押しすれば、今後1ドル=100円を割ってもおかしくない」 

米国でトランプ景気が過熱し、米国の中央銀行にあたるFRBが年3回の利上げに踏み切る可能性もある。そうなれば、日米の金利差拡大でドルが買われそうが……。

「FRBの利上げに関しても、ドル安志向のトランプ政権サイドから圧力がかかる可能性があります。そもそもFRBのイエレン議長自体、 “超” がつくほどのハト派で、何かと理由をつけては利上げを先延ばしにしてきました。個人的には年3回の利上げは難しいと考えています」

トランプ発言に加え欧州リスクも心配

今年は欧州各国が選挙イヤー。3月のオランダ総選挙に続き、4月にはフランス大統領選挙、秋にはドイツ連邦議会選挙が控えている。英国のように、欧州各国でEU離脱派が勝利すれば、世界的なリスクオフがさらに進む可能性もある。

「ギリシャでは債務負担の軽減に関してIMF(国際通貨基金)とユーロ諸国が対立し、2年物国債利回りが10%超に跳ね上がるなど、危機再燃の兆しも出ています。ギリシャ危機の再燃や欧州各国の選挙で保守派が勝利したというニュースが流れるたびに円が買われる状況が続きそうです。悲しいかな、リスクオフのときに買える通貨が日本円しかないというのが現状です」 

そんな為替動向の中、2017年はどんな株が有望? 

「円高が進む可能性が高いという観点からいえば、当然、輸出株より日本国内でビジネスを展開する内需株が有望です。内需株といえば、電力・ガス、不動産、銀行など金融セクターが主力株。なかでも、トランプ大統領の規制緩和の好影響を受ける銀行セクターの有望度が高そうです」