ネットマネー 2017年5月号より一部を特別公開!

10年持てる “今買” いの高配当株50

世界経済の牽引役である米国の景気が堅調なことや、トランプ政権の政策への期待などを背景に、米国株を追いかける格好で力強く推してきた日本の株式市場。だが、就任早々からトランプ大統領は連日ニュースで取り上げられるような波風を発生させており、今後についても予断を許さないはず。加えて、フランスやドイツの選挙も大きな波乱を呼ぶ可能性を秘めており、かなり荒っぽい相場展開となる可能性も!? そんな局面こそ、長く安心して保有できる高配当株に注目せよ!

3月権利確定は下押しした局面こそ絶好の仕込み時!

3月は最も多くの上場企業が通期決算の期日を迎える。言い換えれば、それは配当を受け取る権利が確定するタイミングでもある。おのずと権利確定日に向けて駆け込み買いが殺到し、高配当株の人気が過熱しがちだ。 

そして、権利付き最終日が過ぎると “配当落ち” と呼ばれる株価下落が待つ。だとすれば、今月号を手にする頃にはもはや手遅れなのか? 投資顧問・キッチンカブーの宇野沢茂樹さんはこう語る。

「通常、高配当株は3月中旬に高値をつけて反落しがちですが、今年は5月頃まで全般的に強い相場が続くと予想しています。目先で下押しする局面があれば、高配当株を買っておく好機でしょう。年前半の日経平均は2万1000円が上値メドですが、115円以上まで円安が進めばさらなる上値も期待できそうです」 

この相場観を前提に、上記の条件を満たす大型株と中小型株から宇野沢さんが特に注目する15銘柄をセレクトしてもらった(下の表)。

「基本的に、来年以降も株価の上昇が見込めそうな銘柄に的を絞っています。大型株の場合は前期比減益となっても、キャッシュリッチであれば安定配当を見込めますが、中小型株の場合は減配に結びつきやすいので、業績の見通しが明るい企業を中心に選ぶようにしました」(宇野沢さん)

配当性向って何%が高い
株主還元策として、30~40%程度の配当性向を目標に掲げていることが多い。とはいえ、成熟期と新興期では事情が違ってくるし、企業によっても無難な数値は異なるものだ。ただ、50%以上になると、さらにそこから先の伸びしろは限られがち。

先々の展望が明るい銘柄を選んで長期保有を。日産は自動車の勝ち組か

また、さらなる増配が期待できるという意味合いで、配当性向が極端に高くない銘柄が大半を占めているという。そういった観点からすると、2016年度が大幅減益見通しで配当性向も高いデクセリアルズは例外的な選定のように思われる。だが、「仮に減配となっても3%台の配当利回りを見込めそうだし、足元で業績が様変わりしている」(宇野沢さん)とのことだ。 

トランプ大統領による日本車叩きも懸念される日産自動車や富士重工業も減益見通しで、為替相場の先行きも大きく関係してきそうだ。「日産自動車は国内の人気車で首位と2位を独占。富士重工業の業績は極めて好調なうえ、ROEが20%に達し、株主還元にも大きな期待を寄せられます。さらに、メキシコに工場を有していないことも安心材料」(宇野沢さん) 

キヤノンについては、期初段階で業績見通しなど公表していないため、配当利回りの数値は前期の実績をもとにしたものとなっている。とはいえ、「それでも4%台後半を確保しているし、90年代以降は減配を実施したことがない」(宇野沢さん)のが心強い。 

やはり減益見通しのりそなHDについても、昨年はマイナス金利導入に伴う業績悪化を悲観して他の銀行株と同様に株価が低迷。ところが、打って変わって今年は上昇が顕著となっているし、「住宅ローンの借り換えにも積極的に対応している」(宇野沢さん)ことから、業績上ブレも!? 重要なのは、これから先も展望が明るい銘柄に白羽の矢を立てること。そうすれば、長く高配当を享受できるだろう。

自動車関連は為替動向に注意
トランプ大統領誕生が決定した直後から急速に円安が進んだものの、長期チャートに目を向けると、まだ完全に円高のトレンドからの大転換を果たした状態には至っていないのも確か。自動車関連の株価は為替に敏感なので要注意だろう。

王道の高配当株15

増収増益、流動性よし、チャート美人。

3月権利確定の銘柄を駆け込みで仕込むか、それとも少々余裕を持って4月・5月に権利確定の銘柄を選ぶが...? 3~5月に権利確定日を迎える15銘柄から自分自身でこれぞと思うものを探せ!

高値つかみが怖い人へ。3〜5月の相場全体の傾向も念頭に置こう!

この特集の冒頭で触れた話を覆すわけではないが、相場全体が5月ごろまで強含みの展開だったとしても、3月末に権利確定日を迎える銘柄の中には、その直前に株価がピークアウトしてしまうものが出てくる。しかも、さらにその次に待ち構えているのが「権利落ち」だ。そういったケースではどのように対応すべきか、フィスコの田代昌之さんはこうアドバイスする。

「やはり、『権利落ち』の後に株価が下げ止まってきたタイミングで、中間期や来期の配当を目当てに拾うのが無難でしょう。4月は新年度入りで物色の対象が広がりやすく、5月の連休前にかけて上昇しやすい傾向にあります。しかし、その後は17年3月期決算の結果と18年3月期の業績見通しが出そろい、調整色を強めがち。その状況を見極めたうえで、慎重に買いを入れたほうがいいでしょう」

例年、期初の業績見通しは保守的な内容に偏る傾向があるうえ、自動車を中心に外需関連はトランプ大統領の一挙手一投足に神経をとがらせているので、今までにも増して慎重な数字を提示しかねない。 

もしも、そういった見通しを悲観して全体相場が大きく下げたとしたら、高配当株の絶好の仕込み場だ。 

もっとも、株価の大幅な下げに見舞われることもなく、3月配当をゲットした投資家もいるはず。「半年後や1年後なんて、とても待っていられない」という読者のため、田代さんには3月権利確定銘柄のみならず、4〜5月に決算を迎える企業からも注目銘柄を選んでもらった。 

株価上昇により金融株や商社株はもはや高配当にあらず

具体的には、左ページの15銘柄がそれだ。

「高配当株投資における王道的なアプローチで銘柄を選んでいます。3月権利確定組については、配当利回り3%以上、17年3月期が2期連続で5%以上の前期比増益の見通しで、流動性も高い銘柄に照準を定めました」 

これに対し、4月権利確定組は母数自体が少ないこともあって、純粋に配当利回り3%以上の銘柄から厳選。5月権利確定組は配当利回りが3%以上であることに加え、17年5月期における各利益が増益で、なおかつ流動性も高いことを条件とした。 

さて、こうした基準に沿って選ばれた15銘柄を見渡して、意外な顔ぶれだと感じた読者は少なくないだろう「昨年なら、メガバンクをはじめとする金融株が配当利回りランキングの上位を占めていました。ところが、年初からの上昇で今はかなり順位を下げています。また、ちょっと前まで商社株も配当利回りの高さが光っていましたが、こちらも株価上昇に伴って相対的に高配当株としての魅力が低下しています」(田代さん) 

このように、増配や減配がなくても株価の水準次第で配当利回りは少なからず変化する。計算式が「配当÷現在の株価」だから当然のことなのだが、「配当狙いなら、なおさら安く仕込むべき」という鉄則を痛感させる話でもある。くれぐれも、〝高値つかみ〞だけは避けるようにしたい。

かつての高配当株は?
かつて、みずほFGはメガバンクの中でも特に株価の出遅れ傾向が際立ち、その裏返しで配当利回りが高かった。だが、本文中でも触れたように、年初から株価が急騰。それでも3%台半ばの利回りだが、以前はリートをしのぐ水準だったのだ。

“新” 高配当株は不動産、建設関連がランクイン

さて、改めて15銘柄の顔ぶれを見ていこう。3月権利確定組から選ばれた銘柄で目立つのは、ケイアイスター不動産、アグレ都市デザイン、グランディハウスといった不動産関連。そして、中堅ゼネコンの奥村組にプレハブ建築の日成ビルド工業と、建設株も複数選ばれている。 

4月権利確定組からピックアップされたダイサンも足場の設計・施工を手がけており、やはり建設関連だ。もう1つのトーシンは携帯電話の販売代理店を展開しているが、その一方で不動産事業にも手を伸ばす。5月権利確定の組でも、分譲マンションのファーストコーポレーションと中古マンション再生のインテリックスが不動産関連。 

もっとも、5月に権利確定日を迎える他の注目銘柄は工具メーカーのTONE、上場企業のディスクロージャーをサポートする宝印刷、工業用樹脂部品メーカーの三光合成、中古PC販売のパシフィックネットと、バラエティー豊かな面々。多方面への分散投資という観点でも、まさにもってこいのラインアップだ。

為替動向が読めないため内需系で高配当を得つつ、外需系で値上がり益も!?

「本来、日米金利差の拡大という経済条件に沿った流れはドル高・円安のはずですが、トランプ大統領の発言もあって日銀は政策的に行き詰まっていますし、為替相場の先行きは不透明。そうなると、どうしても内需系の高配当株に目を向けるのが自然でしょう」(田代さん) 

その意味では、作戦を2つに分けるのも一考だろう。内需系を長期保有しつつ、為替が円安に振れそうな局面が訪れたら、外需関連でキャピタルゲイン(値上がり益)を狙うという筋書きだ。着実に配当を享受していれば、急変にも冷静に対処できるはず!

ポスト花王を探せ!

連続増配銘柄の高配当有望ランキング20

日本で一番増配を行なっている企業といえば、花王。12月期も増配となれば、連続期数は28にものぼる。配当利回りが3%以上で、未来の花王となりそうな銘柄群を紹介!

3期連続増配で上昇も狙える配当有望株は?

配当は株主還元策の一手段だが、減配はネガティブインパクトが強いため浮上がなかなか難しい。そのため、かたくなに安定配当として同一配当を続ける企業は少なくない。そのような状況で連続増配を続けることができる企業は業績面での裏付けがあり、会社側が自信に満ちあふれているということだ。

「前期まで27期連続増配を実施した花王は、決算期変更を考慮すると今期は5期連続最高益更新の見通しです。消費財メーカーとして初の営業利益2000億円を超えるとみられます」 

こう話すのは株式ジャーナリストの中村隆弘氏だ。

「当然、今期も増配予想で、国内上場企業としては最長の28期連続増配となりまです。その間には円高不況や東日本大震災など逆風局面がありながらも業績を伸ばしており、当面は業績拡大および増配が続く公算が大きいでしょう」 

連続増配期数では、SPK、明光ネット、USSなどが18期連続増配で続くが、増収増益基調を続けており業績面での裏付けがあるといえる。 

下記の銘柄表は3期以上増配を続けている企業で、かつ3%の高配当利回りを中村氏に選んでもらったものだ。銘柄を選ぶ際の注意点はどうか。

「増配は業績の裏付けがあって行なうので、減益となるような場合は注意が必要です。1期のみの減益ならば、内部留保を使うことで増配は可能ですが、2期・3期と減益が続く中で増配をするのは困難。配当性向(1株配当÷1株利益)が100%を超えてしまうような事態を続けることは難しいので、配当性向にも気を配りましょう」(中村氏) 

連続増配企業に投資するには、直近の業績が増益を続けていることと、今期も増益見通しであることの2つを必須としたい。今後も増配が続くとなれば、同じ株価水準が続いたとしても配当利回りは将来的に上昇することになるため、そこまで高配当利回りにこだわらなくてもいいともいえる。

高配当株最新ニュース!

高配当株に関するホットな特選情報をのだ! 超早耳のプロ投資家たちはこうした情報を真っ先にキャッチして、投資に生かしているのだ 今すぐ自分の投資に役立てよう!!

NEWS-❶ 高配当株の新指数が今年から登場

今年の1月10日から日本経済新聞社が公表を始めたのが「日経平均高配当株50指数」だ。日経平均採用銘柄225社の中から、予想配当利回りの高い50社を選んで算出している。構成銘柄の時価総額を加重するのではなく、50社の予想配当利回りに市場流動性を加味するという殊な計算方式が採用された。 

変わった計算方式だが、大型高配当株の全体的な値動きをつかむ目安にはなるだろう。同指数は、日経新聞の朝刊やサイト「日経平均プロフィル」で確認できる。サイト上では50社の平均配当利回りも見られ、2月22日の時点で日経平均採用225社が1.71%だったのに対し、50社は2.95%に達していた。 

NEWS-❷ 利回り6%弱。REIT以外の高配当トップは?

時価総額などに縛りを設定せず、単純に配当利回りの高さでランキングを行なうと、2月23日の時点でベスト10中9銘柄をリートが占める。トップのマリモ地方創生リート投資法人は7%超に達し、10位のタカラレーベン・インフラ投資法人も5.6%を若干下回る高水準となっていた。

その中で、唯一ランクインした株が7位のKG情報だ。ジャスダック上場銘柄で、中国地方や四国、九州で各地域別の求人情報誌などを発行。肝心の配当利回りは約5.8%で、株価も09年から右肩上がりを描く。特に今年に入ってから、低PBRの高配当株として急騰だ。 

NEWS-❸ ETFに注目、野村高配当70&上場日本高配当

ETFは特定の指数に連動するという特性に焦点が当てられがちだが、実は分配金も期待できるETFもある。2月23日の時点で分配金利回りのランキングを行なったところ、商社・卸売上場投信が3.68%でトップとなった(除く海外およびエリート系)。 

そして、3.53%で2位にTOPIXCore30連動型が入り、3位以降は業種別系が続く。高配当株に的を絞っているタイプはランキング外という意外な結果で、上場インデックスファンド日本高配当が1.89%、野村日本株高配当70連動型が0.64%だった。もっとも、これら2つは昨年11月から大幅上昇を遂げており、それに伴って利回りも急低下したようだ。

NEWS-❹ 米国の連続増配は50期以上がずらり

日本ではレアケースでも米国では常識というものは数々あるが、株式投資の世界では連続増配がその典型例だろう。しかも、連続記録がずばぬけているのだ。昨年の時点で増配年数ランキングでベスト10に入った銘柄は、いずれも50年以上に達している。 

60年連続増配で1位となったドーバーは、航空宇宙からライフサイエンスまで幅広く手がける。3月8日の時点で配当利回りは約2%だが、長期的に株価が右肩上がりを続けてきたからこそ。2位は4社が同数(59年)で、なかでも日本で馴染み深いのは、P&Gことプロクター・アンド・ギャンブルだろう。やはり、こちらの長期チャートも上昇トレンドを継続中だ。

NEWS-❺ 高配当株は長く持ってこそ効いてくる

NTTといえば、30年前に政府放出株を “高値つかみ” したまま、今でも報われていないという印象が強い。だが、日経新聞は2月9日の紙面でこんな趣旨の指摘を!

「9日の終値4863円を株式分割実施前に引き直すと97万2600円。過去30年間の配当金を積み重ねると約27万円で、合計では上場時の売り出し価格を5万円弱上回る」 

同紙も指摘する通り、これはNTTが株主重視に転換したからこそ。近年、上場企業の多くが株主還元に注力し始めている。その結果、上場企業の16年度の配当総額はリーマン・ショックが起きた09年度の2倍に。高配当株の長期保有が報われる時代がついに日本にも到来した!