ネットマネー 2017年5月号より一部を特別公開!

2017年は混迷局面に!?トランプ為替相場での常勝戦略!

昨年11月からのトランプラリー以降、為替相場は101円台から118円台、118円台から111円台とジェットコースターのように上下している。なかなか難しい相場だが、シナリオを読めば手の打ちようが見える。

取材、文● 酒井富士子(回遊舎)、柳生大穂(バウンド) 撮影●村越将浩

トランプ氏の大統領決定以降、相場は上下に変動

「2016年10〜12月期の世界の金融市場における最大のイベントは、米国大統領選挙でのドナルド・トランプ候補の勝利でしょう。 “トランプ勝利" は、金融市場を大きく変える出来事でした」と昨年の11月以降の市場の変化を振り返るのは、JPモルガン・アセット・マネジメントでグローバル・マーケット・ストラテジストを務める重見吉徳さん。

トランプ氏が掲げる経済政策への期待感から、いわゆるトランプラリーが発生。米国株式は11〜12月の3カ月で20%上昇、米国10年国債利回りも1%近く上昇し2.5%をつけている。

これに呼応して12月には、日本株は1万7000円台から1万9000円台まで上昇、米ドル/円相場も1ドル=101円台から118円台まで円安基調となった。

トランプ氏が選挙戦で掲げた公約は、個人の所得税減税、企業の法人税減税、またインフラ投資にも注目が集まっている。個人消費の底上げ、米国企業の国内設備投資の刺激、政府消費・投資の押し上げなど、どれも米国の景気拡大に大きな貢献が期待される。

「しかし、年明け1月20日の就任演説は、通常、米国内外に向けてのメッセージが語られるわけですが、米国内向けの保護主義一辺倒的な内容でした。通貨安を名指しで批判する “口先介入" が度重なっていたことにも懸念が広がりました」とは、ソニーフィナンシャルホールディングスのチーフアナリスト・尾河眞樹さん。

米ドル/円相場は下落しやすい環境となり、一気に111円台まで円高が進んだ。

「11月以降、トランプ氏の発言ひとつで、円高と円安が入り交じるボラティリティ(価格変動性)の高い相場が続いてきたわけです」(尾河さん)

米国の財政政策が施行されるまでは、円高リスクがある

それでは、今年の金融市場、そして為替相場はどのように読んでいけばいいのだろう。

「今年の最大のリスクは、なんといってもトランプ氏の不確実性です。トランプ氏が今後、具体的にどのような経済政策や外交政策をとるかは、おそらく誰にもわからない。つまり、トランプ氏の政策が金融市場にとって、吉と出るか、凶と出るかは “神のみぞ知る" なのです」(重見さん)

「実際、大統領がツイッターに投稿するとそれが相場に影響する時代です。過去にはない状況ですので、相場はどうしてもこのような変動が激しく、何が出てくるかわからない、ということは覚悟しておく必要があります」(尾河さん)というように、プロも今年の相場の展開には、お手上げの感がある。

しかしその一方で、今年は政治の重要スケジュールがめじろ押しの1年であることも確かだ。そうした中から、円高要因、円安要因を予測していくことができる。

そのひとつが、今後の米国議会のスケジュールだ。

「トランプ氏が選挙中に公約していた財政政策の交渉が今、水面下で行なわれています。3月13日に議会に提出される見込みの予算教書で、財政政策の詳細がわかります。ただ、これはあくまで大統領による議会への提案にすぎず、決定するのは議会。具体的には、4月15日が期限の議会共和党による予算案に注目が集まります」(尾河さん)

そこまでは、保護主義的な発言が繰り返されるたびに、大きく円高に振れるといった相場展開が予想される。つまり、財政政策の施行までは、円高リスクがあるわけだ。

「もうひとつの大きなリスクは、今年は欧州でも大きな政治イベントがめじろ押しである点です」(尾河さん)

3月15日に開催のオランダ総選挙。極右・自由党の勢力拡大が予想されており、EU(欧州連合)離脱の国民投票に発展する可能性も。その後、4月と5月にフランスの大統領選挙が予定され、反グローバル化を掲げる極右政党のルペン候補に今のところ追い風が吹いている状況だ。さらに9月にはドイツ連邦議会選挙が予定されており、メルケル首相の基盤は盤石とはいえなくなっている。

「欧州総選挙でEU離脱のときのようなニュースが飛び出せば、やはり相場は大きく動くことになるでしょう」(尾河さん)ということは、つまり円高要因だ。

FRBの利上げで年末に向けては120円台に突入!?

為替相場を見るときに無視できないのが、金利の影響だ。米国のFRB(連邦準備制度)は、今年3回の利上げを想定しているとされる。

「利上げの累積効果が大きくなれば、ドル高を通じた円安圧力がそうとう強まるでしょう」(尾河さん)

トランプ発言や欧州の政治イベントで突発的には円高に振れることはあっても、年末に向けては120円を試す展開となる可能性が高い。

過去30年の対米ドルの円相場を見ると、数年かけてドルが反騰する局面があった。トランプ氏の財政政策から見ても、今年3回の利上げをする公算は大きい以上、大きな潮流は円安だ。

狙い目は豪ドル。1豪ドル=50〜60なら即買い ダブルトップを狙って売りを仕掛ける!

物価上昇や政策金利の引き上げに米国が耐えきれない可能性が大きい。ドル高・円安になったタイミングを探り、売りを狙っていく手法だ。

政策不安によるドル高・円安を狙っていこう

「トランプ政権の動きや欧州の政治動向などさまざまな要因が重なり、相場を分析するのは難しいというのが現状です」というのは、専業トレーダーのあおのり先生だ。FXといえば、スキャルピングやデイトレードなど短期のイメージが強いが、長期トレードのほうが勝ちやすいという。そのため、ある程度長期的に相場を考えていく必要がある。

「現状、米国は保護貿易主義への懸念と政策への期待で揺れていますが、保護貿易主義への懸念が勝り、ドル安・円高になると考えています」

その理由を「物価が上がり政策金利が高くなった結果、耐えきれない状態になる可能性が考えられます。また、注目されるイベントは多々ありますが、いずれにせよ動きを決めるのは長期金利。米ドル/円の動きは金利差に連動しているので、米国の金利に注目していきたい」という。

それを踏まえたうえで、売りのタイミングを狙っていくわけだが、「これは通貨を問わず1時間足から日足を見て、わかりやすい形をしているチャートを探していく」とアドバイス。

わかりやすい形とは、「M」字のダブルトップだ。ダブルトップを形成すると、下落する傾向があり、これを狙っていく。ダブルトップの高値と安値の値幅分動いたら利食い。逆に「M」の上限に達してしまったら、損切りを考えよう。

為替は下がるときは一気に動く傾向がある。流れに乗ることができれば大きく儲けられる可能性があるので、積極的に狙っていこう。

FXトレーダー あおのり先生
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科卒業。証券会社に4年間勤務した後に独立。「あおのり学校ブログ」を運営し、1600人以上の受講生を抱える。AI(人工知能)を利用した自動売買システムにも携わっている。 http://aonorifx.com/blog/

あおのり先生の着眼点

FXでは、米ドル/円やユーロ/円が注目されがちですが、私は豪ドル/円に注目しています。特に豪ドル/円が50~60円台まで下がったら買いのチャンス。過去の チャートを見ると、20~30年の間で豪ドル/円は50~60円で反発しているんです。それ以上に下がるというのは考えにくいので勝率ほぼ 100%のハズレなしのタイミングです。

4~5月は120円で売りのチャンス!秋口から年末に向けて買いを狙う

米ドル/円での長期取引ならチャンスは2回

「次に目立った高値が来るのは2023年」と言うのは、経済ジャーナリストの田嶋智太郎さんだ。「まず、大きな流れを米ドル/円の月足チャートで見ると、2007年6月に1ドル=124円の高値をつけ、8年後の2015年8月にふたたび高値をつけています」

為替相場では8年サイクルで目立った高値をつける傾向があるという。となると、2023年に再び目立った高値が来ると考えられる。

「2012年から2015年にかけて50円近い円安の波が来て、そこから調整として約25円円高の波が来ました。このような波は通常3つ、または5つで考える。おそらく5つの波になるはずですが、最終地点は2023年に向けての波になると思われます」

2017年の動きをイメージしていくと、「まず値幅の動きは115円を軸として上下5〜10円という狭い幅が考えられる」とのこと。動き方という面では、「2017年は円安の波になります。その中で細かい動きはありますが、年末にかけては円安の波が来ます」という。

細かい動きを解説していくと、まず4月から5月にかけては円安になる可能性がある。ここで120円まで上昇したら売りで、5〜10円の利ザヤを狙っていく。夏から秋口にかけて調整のために円高に。秋口から年末にかけての120〜125円への円安を見込んで、今度は買いのタイミングを探っていく。長期的な視点では2回タイミングがあるので、逃さないようにしたい。

経済ジャーナリスト 田嶋智太郎
国際証券(現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券)を経て、経済ジャーナリストに。講演やテレビで活躍中。辛口で軽快な語り口は「難しい経済を明快に斬る」ことで定評がある。著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)など多数。

田嶋智太郎の着眼点

ドル建て商品は「金(ゴールド)」がおすすめです。3年から4年で見たとき、米国経済がバブル化して世界経済がそれに牽引されれば、ドル建て金価格は上がります。さらに円安になるので、史上初の “ドルも金もダブルで上がる" 時代になるかもしれません。FXでは長期買いポジションを持ち、ドル建ての金を持てば、ダブルで儲けることも可能です。