ネットマネー 2017年5月号より一部を特別公開!

日銀のETF買いが減額 へ!? 需給から実力重視の相場に

これまで東京市場のセーフティーネットとして機能していた日銀のETF(上場投資信託)買い。需給重視の先回り買いも限界。そろそろ投資スタンスの変更が求められそうだ。

ミッションI ETF買いが減額なら市場はこう変わる。

ロン●日銀のETF買いが減額される可能性があるんだって! 昨年末にも野村證券がレポートで「ETFテーパリング(買い入れ縮小)」について触れていたよ。

竹内●ETF購入枠は、2010年11月に年間1兆円程度だったのが、昨年7月末に6兆円まで増額されました。今では、日経平均が下がった日に最大750億円近い買いを入れています。

芦田●東証1部の売買代金が1日平均で約2兆円だから、700億円だと影響は小さいんじゃないの?

竹内●実は、影響は大きいんです。東証1部の取引の6割は秒単位で高速売買するコンピューター取引や証券ディーラー、デイトレーダーといわれ、1日のうちに売り買いが完結するので需給には中立です。相場の方向感をつくる「売りだけ」「買いだけ」の取引は6000億円程度しかないので、そこに700億円の買いが割り込んできたら、相当なインパクトなんですよ。

芦田●公的年金基金の日本株買いは全部で年間5兆円くらいでしょ。東証では、日銀が最大プレーヤーってことね。日銀は買い取ったETFをいつ売るの?

ロン●いつまで買うか、いつ売るかは何も決めていないよ。期限を決めると、期限が近づくにつれて先回りして売る投資家が出てくるから、あえて未定にしたと日銀関係者から耳打ちされたことがある。日銀の黒田総裁は記者会見でETF買いについて「特定の株価水準を意識しているわけではない」と繰り返している。すぐにやめることはなくても、相場が落ち着いているうちに規模を縮小したほうがいいと考えているようだ。

竹内●昨年9月に日経平均連動型ETFを購入額の5割超から3割に減らし、TOPIX(東証株価指数)連動型を7割に増やしていますが、これも「相場にゆがみが出ている」という批判を意識したため。あのまま日経平均ETFを中心に買っていれば、構成比率が最も大きいファーストリテイリングの浮動株がなくなっていた可能性があります。

芦田●実際にETF買いが減額される確率は?

ロン●五分五分だろうね。

竹内●私も同感です。

ロン●関門は2つある。トランプ大統領の政策と日銀の審議委員人事だよ。

芦田●どういうこと?

竹内●円安批判を強めるトランプ政権が円高・ドル安誘導を始めたら、日本株には売り圧力がかかります。トランプ政権が円高誘導しないとわかれば、日銀はETF買い減額の議論を始めるでしょう。

ロン●日銀で金融政策を決める政策委員会の7人のメンバーのうち、木内登英氏と佐藤健裕氏が7月に退任する。2人は野村證券とモルガン・スタンレー証券のエコノミスト出身で、マイナス金利政策には反対票を投じている。金融市場に精通している2人の反対意見は、政府と日銀にとってずっしり重い。首相官邸は反対論を苦々しく思っているから、2人の留任はなさそうだよ。

芦田●なるほど! 2人の後任が現行政策賛成派ならETFは現状維持。新委員が中立派なら株価が上がればETFは減額ってことね。

ロン●その通り。話の先を読むのが早いね(笑)。

芦田●ETFが減額されたら、市場はどう変わるの?

需給から実力重視へ。変わる投資スタイル

竹内●減額規模は市場に配慮して1兆〜2兆円程度でしょう。ETFを売るのは当分先の話なので、株価が下がることもなさそうです。需給が正常化すれば、銘柄選びも素直になります。ファーストリテイリングがETF買いの思惑で買われ、トヨタ自動車と売買代金1位を争うこともないでしょう。代わりに、配当利回りやROE(自己資本利益率)などの効率性指標がこれまで以上に重視されます。今まで日銀のETF買いに乗って勝てた投資家も多いでしょうが、これからは投資スタイルの変更が必要です。

ロン●GPIFが3月末までにESG(環境、社会、企業統治)指数を選定し、早ければ4月からの運用に利用する。日銀の影響度が低下すれば、需給を予想する投資から企業の実力を正面から評価する投資に変わっていくだろうね。市場の正常化だよ。

芦田●『ネットマネー』で銘柄研究が必要ってことね。

ロン&竹内●真菜美ちゃん、大人になったなあ。

ジャスダックは地味にスゴイ!?人の行く裏にジャスダックあり花の山

マクドナルドだけじゃない! 「新興市場」 にもバリュー株がいっぱい

ジャスダックの時価総額ト ップ10、 いくつ言えますか? 知られていないことが生み出す “価値" を見直してみよう!

同じ「日経平均」でも、値動きの優秀さで注目度もうなぎ上りなのが日経ジャスダック平均株価。本家「日経平均株価」は2万円の壁に苦しんでいますが、日経ジャスダック平均株価は1991年以来となる3000円の大台を突破しました。225銘柄で構成される日経平均株価とは違い、すべてのジャスダック上場銘柄を対象とした平均株価。市場丸ごと底上げの動きとも表現できそうです。地味にスゴイ! ジャスダックは宝の山なのでしょうか?

アナリストが手つかず9割の銘柄が野放し状態?

岡村●日経平均株価があまりに為替に左右されることもあって、ジャスダック、東証マザーズに資金が流れる日が明らかに多くなっていますね?

落月●そうなんだけど、正直、この手の話にめっぽう弱いんだよね。特にジャスダック銘柄はほとんどカバーしていないから。基本的に機関投資家向けに動いているからなあ。機関投資家が買えないサイズの小型株まではさすがに調査できていない。

岡村●そもそも、個人投資家の人気もジャスダックよりマザーズが上。そうなると、機関投資家だけじゃなくて個人投資家もあまり手をつけていない株が多そうです。

熱井●普段の視聴率が低いからね。「日経ジャスダック平均が連騰中」とか「数年ぶりの高値更新」とか、そういうわかりやすい話題が出た後で遅れてみんな気づき始める。

岡村●正直、「ジャスダックの時価総額トップ10は?」って聞かれても、マクドナルドくらいしか出てこない人も多いと思うんですよね。

落月●楽天やガンホーが東証1部へ市場変更しちゃったからな。“ジャスダックの顔" 的な銘柄はそういう意味では不在なのかもしれない。

岡村●時価総額1位がマクドナルド、2位がユニバーサルで、3位ハーモニック、4位がセリア。ここまでは時価総額3000億円以上ですが、5位以下は時価総額2000億円未満なんですね。

熱井●本当に中小型株オンリーの市場になってるんだ!

落月●今アナリストのカバー率(証券会社が1社でもついている銘柄の比率)を調べて驚いたよ。東証1部のカバー率は58%なんだけど、ジャス ダックでアナリストがついてる銘柄は70銘柄しかない。カバー率はたった9%!

岡村●9割の銘柄にアナリストがついていないということは、投資判断もないし、業績予想もないわけですよね?

落月●そういうこと。会社の業績予想は『四季報』予想と比べるしか方法がないな、コンセンサスが無いわけだから……。これは盲点だった。

バリュー株がゴロゴロ! 株価も 「動けばスゴイ」

岡村●せっかくなんで、ジャスダック銘柄のことを少し調べてみてくださいよ!

落月●/b>じゃ、俺から「ジャスダック銘柄は本当に割安かどうか」を調べてみるよ。いわゆるバリュー株が多いかどうかでなら、結論から言うと......やはり多いね。PBR1倍割れ銘柄の比率は47.4%。ジャスダックも新興市場なわけだから、マザーズの2.6%とは比べものにならないほどバリュー株が多いね。

岡村●そうですよね、カテゴリーは新興市場ですもんね。

落月●配当利回りで見てもバリュー株が相当多いな。配当利回りが3%超の会社の比率が14.7%。7社に1社は配当利回り3%超ってことで、この点では全市場で一番優秀といえるな。

岡村●配当出してるのに、それだけ株価が安い銘柄が多いってことですね?

落月●ジャスダック銘柄は、地方の知名度が低い企業が多い。その中で株主数を増やすために、企業側も努力してきたってことだろうな。

熱井●おまえら、こんなこともわかったぞ!

岡村●何がですか?

熱井●この1年間(2016年2月15日〜2017年2月14日)の値上がり率が高い銘柄を全市場で調べてみたんだよ。結果は、トップ10に東証1部の銘柄はなし。マザーズから5銘柄と、ジャスダックから3銘柄、東証2部から2銘柄だった。上昇率の2位がジャスダックのNutsで7.9倍、3位のウェッジHDが5.4倍!

岡村●1年間で数倍に大化けする株を輩出していたというわけですね。

熱井●年初来の値上がり率で調べてみても、トップ10はマザーズから6銘柄、ジャスダックから4銘柄。地味なイメージがあるけど、短期間の瞬発力もマザーズに負けてないのかもしれないな。

岡村●なんだかジャスダック、めちゃくちゃいいように思えてきましたよ!

落月●ただし……、ジャスダックって銘柄数がかなり多いんだ。そして、基本は注目されていない市場。「いい銘柄見つけた!」って一人でテンション上げてもね、後ろを振り返ったら誰もいないっていうのが日常だから、心しておいたほうがいいね。

岡村● “一人ジャスダック" を楽しめる男になれるかどうか、ですね!