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米国利上げ=円安は公式通り。が、日本にとっては懸念材料も

円安は日本のデフレ脱却にとっても重要な政策。ただし、「米国第一主義」による円安は、日本の輸出が制限される可能性もある。日本経済にとっては、新たな施策が急務かもしれない。

トランプ大統領が安倍首相を悩ます「米国第一主義」宣言

2月28日、トランプ大統領が議会演説で今後1年間の施政方針を示した。ここで注目したいのは2つ。1つは、国益を最優先し米国第一主義で取り組む姿勢を再表明したこと。次に、米国内のインフラ整備に1兆ドル、日本円にして110兆円超となる投資方針を強調したことである。

米国景気の緩やかな回復と維持、そしてトランプ大統領の拡張的な財政政策が現実的なものとなってきた。これらを受けて、FRB幹部らは経済成長が緩やかながらも一定の上ブレリスクを覚え、年内に3回以上の利上げが必要との議論に達した。要は「利上げが景気後退のトリガーとなる可能性が低下した」と考えているわけだ。インフレ懸念を抑え込むための利上げは経済の教科書通りだ。

一方、為替水準について麻生財務相が「まだ120円にいっていない。円安と言われる覚えはない」と米国に抗弁する分水嶺も見えてきた。

ただ、懸念材料も浮上している。それはトランプ大統領の議会演説を受けて安倍首相が「110兆円は、われわれの予算よりも大きな額だ。デフレから脱却するうえで金融政策も非常に重要だが、そのスピードを速めていくうえでも機動的な財政政策が大切だ」と述べたことである。

米国第一主義は、詰まるところ米国版の「地産地消」である。ならば日本の輸出拡大は抑制されかねず、日本は財政出動による内需主導型の国内基盤も再強化する必要が生じるだろう。

「米国への輸出拡大≒円安有利」との公式にトランプ変数を組み込むと「さらなる円安が来る」という解答には疑問符が付き始めた可能性がある。

デフレ治療のための万能薬として奉じられてきた円安。しかし、米国第一主義がその効能を低減化しかねないことで、安倍首相は財政政策などほかの治療法を迫られることになるはずだ。もちろん、円安を重視し、日銀施策も継続するだろう。しかし、あくまでも「米国第一主義は日本のためではない」ということには注意しておきたい。

為替先読み塾 number-1[主要通貨編]
一目均衡表の〝雲のねじれ〞米ドル/円の転換時期を占う

波乱の船出となったトランプ政権。米ドル/円は円高、円安のどちらに向かうのか? 一目均衡表の〝雲のねじれ〞に注目すると、中期的な相場の変化がいつ訪れるか予測できる!

【今週の先読み先生】
カブドットコム証券 投資情報部 投資アナリスト
藤井明代さん(AKIYO FUJII)
株主優待からテクニカルまで幅広い分野の情報発信で人気。
ラジオやテレビなどレギュラー出演多数。
著書『勝てる!「優待株」投資』(幻冬社)。

〝雲のねじれ〞が示した米ドル/円相場の変化点、3月9日に何かが起こる!?

トランプ政権が誕生して、はや2カ月。米ドル/円は、12月中旬と年始に1ドル=118・6円台でダブルトップを形成後、円高に振れて111・5円台の安値をつけました。その後は113〜114円台の狭いレンジで膠着しています。米ドル/円の値動きに影響を与える日米金利差に着目すると、米国の長期金利の上昇は今年に入って一服。一方、日本の長期金利が上昇し、日米金利差はやや縮小しています。ただ5円近くも円高が進んだのは、やはりトランプ大統領の打ち出す過激な政策が米ドルの上値を抑える心理的な要因になっているからでしょう。

為替相場の中期的な変化を読むとき、役に立つのが一目均衡表の〝雲〞です。下のチャートを見ると、米ドル/円は1月後半以降、分厚い雲の中に入り、乱高下が続いています。米ドル/円の今後を占う意味で注目したいのは〝雲のねじれ〞です。チャート上では3月9日に雲のねじれが控えています。それ以前にチャート上で雲のねじれが発生したのは、米国大統領選挙直後の昨年11月15日のこと。このときは円安・ドル高方向へトレンドが大転換しました。

つまり、一目均衡表の雲のねじれは、値動きに変化が訪れる時間軸を教えてくれる貴重なシグナルなのです。その変化が円安、円高どちらの方向かまでは、残念ながらわかりません。ただ、雲のねじれに至るまでに円安方向に振れていれば円高へ、円高方向に振れていれば円安への変化が起こりやすくなります。本誌発売日には結果が出ています。3月9日の雲のねじれが果たして米ドル/円相場にどんな変化をもたらしたのか、みなさん各自で検証してみてはいかがでしょう。

為替先読み塾 number-2[その他通貨編]
チャートで見る英ポンドと豪ドルの〝買い〞タイミング

こんな時代だからこそ、米ドル以外の通貨に目を向ける絶好のチャンス。
当面はトレンドラインが買いシグナルを出している英ポンド/円と豪ドル/円に注目だ!

【今週の先読み先生】
外為オンライン 外国為替本部長
松本公明さん(KIMIAKI MATSUMOTO)
1989年から金融市場に携わる。
ライブスター証券の証券営業部長、為替営業部長を経て、2012年より外為オンラインにて現職。

テクニカル的視点で英ポンド、豪ドルを分析

米国のトランプ大統領は、従来の一般教書演説に代わる両院議会演説を2月28日に行なう予定です。そこで経済や通商、外交、軍事など幅広い分野で具体的な政策が示されることになるでしょう。もっとも、その実現性や優先順位は法案の提出・議決権を握る議会次第で、米ドルは引き続き方向性の見えにくい状況が続きそうです。

そうした状況下でも、FX投資家の多くは、投資対象を米ドル/円に限定しがちです。こんなときだからこそ、米ドル以外の通貨に目を向けてみてはいかがでしょうか。

私の注目は、引き続き英ポンドと豪ドルです。今回はテクニカル的視点から分析してみたいと思います。

まずは英ポンド/円から。高値と高値、安値と安値を結んだトレンドラインを引いてみると、典型的な「三角もちあい」となり、チャートのエネルギーがたまってきていることがわかります。ただ、139・3円付近にネックラインがありますので、下値は堅いとみていいでしょう。また、2016年10月から緩やかに上昇トレンドに転換していますので、ここを上抜ければ一気に上昇する可能性が。上抜けた後、安値を切り上げたのを確認してから「買い」を入れてみるのもおもしろいでしょう。

一方、豪ドル/円ですが、英ポンド/円と同様に引いたトレンドラインをしっかりと上抜け(ポイント①)、下値も切り上げてきているのがわかります。ただ、85〜88円でもみ合う傾向があり、現在は87・5円付近(ポイント②)がネックラインになっています。ここを上抜けられるかどうかに注目したいところです。

そのカギを握るのが中国で、一時は景気の低迷が懸念されましたが、資源等を中心に再び輸入量が増えてきました。資源国である豪州にとって、中国は一番の得意先。中国の後押しがあれば、豪州の景気はさらに上向くでしょう。