ネットマネー 2017年6月号より一部を特別公開!

トレーダー能の鍛え方

FXで勝つために必要なのは、「為替相場全体像を捉える力」と「激しく動く価格の波についていく力」が必要だ。つまり、右脳的&左脳的な「脳力」が求められる。FX成功者たちは、どのように「脳力」を鍛えているのだろう?

今年の米ドル/円相場は狭いレンジに収まる

2017年の為替相場はどう動くのか。FX脳を鍛えるために、米ドル/円を中心とした為替動向を知っておこう。

為替相場の分析に定評のある経済アナリストの田嶋智太郎さんは昨年、2016年の為替相場が「大きく動く」と予想した。結果、米ドル/円は1ドル=120円で始まり、一時121円をつけたものの2月に入って足早に円高が進み、夏場に100円を割って反転、年末に向けて円安相場となった。

2017年の為替相場は3月末現在、円高基調ではあるものの「昨年とは真逆になる」と、田嶋さんは予測している。

「115円を中心に上は120円、下は110円の上下5円の狭いレンジで動きそうです」

その大きな要因は「アメリカ・ファースト」(米国第一主義)」を掲げるトランプ政権にあると、田嶋さんは指摘する。トランプ大統領は貿易不均衡を是正するためにドル安政策を推し進めるだろう。現時点では4月から交渉が始まる「経済対話」がどうなるのかはわからないが、トランプ・シーリングは、麻生太郎財務相が円安・円高の分岐点と考えている120円(麻生シーリング)よりも、円高方向に設定されることは間違いない。

ただし、トランプ大統領が考える政策は「トリレンマに陥る可能性が高い」と田嶋さんは言う。①ドル安が必須の保護貿易主義、②財政拡大と減税、③金利抑制(低金利)の3つを同時に成り立たせることは難しいというのだ。

①のドル安にこだわれば輸入物価が大幅に上昇するし、代替品の内製化も難しいため、トランプ大統領を支持したオールドエコノミーの労働者の生活を脅かすことになる。③の金利については3月、FRB(連邦準備制度理事会)のイエレン議長が昨年12月に続いて利上げに踏み切った。市場が織り込み済みだったため、為替相場に与える影響は軽微だったが、政府におもねる意思がないことは明らか。

そのためトランプ大統領はドル安と低金利は捨てざるをえないだろう。

「テクニカルでの分析はとても大事。ファンダメンタルズだけで取引はできません」

今年はドルに順風、円とユーロに逆風

トランプ大統領が②の財政拡大と減税という公約を守れば、米国は確実にバブルへの道を歩む。田嶋さんは「すでにバブルの芽は出ており2018年か2019年、遅くとも2020年までに私たちはバブルを目の当たりにするでしょう。過熱を冷やすため、イエレン議長は市場が想定するより多く利上げを実施するかもしれません」と言う。

2017年の為替相場に焦点を絞ると、「主要通貨では米ドル1強、その反動で円には逆風が吹き、ユーロは反グローバル、ポピュリズム(大衆迎合主義)という強い逆風にさらされます。ロシアを含めた新興国通貨は世界がバブル化した時点で見直し買いが入るでしょう」。

試金石とみられているのがフランス大統領選挙。4月23日の1回目の投票で過半数を獲得する候補者がいないと5月7日に上位2名による決選投票が行なわれる。支持率が高い極右政党・国民戦線のルペン党首が大統領に選ばれるのか、また6月のフランス国民議会選挙や9月のドイツ連邦議会選挙の結果も気になる。

米ドル/円相場は前ページで予想したように「鳥の目で見れば115円を軸にして横ばい、もみ合いになるでしょう。そうした安定した状況が実現すると、稼ぐ力をつけてきた日本企業にとっては追い風となり、景気は回復に向かいます」。

ただ安定の中にも季節性があり、4月から5月初旬までは円安/ドル高となり118円から120円もありうると田嶋さんは読む。

「そして夏場から秋口にかけて110円に向かい、年末に向けて120円に戻る。1年を振り返ると『115円を軸とした5円程度の上下で終わったね』となりそうです」

テクニカルな目で為替相場を見る

FX投資家がこの動きを先取りできるかどうかは、テクニカルな判断をつかさどる「脳力」にかかっている。「ファンダメンタルズ分析はベクトルの判断には有用ですが、それだけでは取引できません。いくらまでという判断にはテクニカル分析が必須です」

例として田嶋さんは左上の月足チャートを示す。

「昨年のブレグジット(英国のEU〈欧州連合〉離脱)騒動のとき、米ドル/円は99円で下げ止まったのは、なぜか。62週線で下値を支えられていたからです。チャートを見て考える習慣をつけると相場観が鍛えられますよ」

そこで田嶋さんはテクニカルとファンダメンタルの両方を組み合わせた「テクノファンダメンタル分析」で判断することを勧めている。

トレーダーFILE1 ひろぴーさん

トレンドを読んでスイングトレード

大学時代から株式投資の経験はあったという、ひろぴーさんがFXを始めたのは2010年の秋ごろ。「(新人会社員が)やっとの思いで貯めた100万円で豪ドル/円を中心とした取引を行ない、3カ月で11万円まで減らしてしまいました。精神的ダメージを受けて、枕を濡らしましたね」。でも、負けなかった。その足で書店に向かい、FX関連本を 10冊ほど買って猛勉強。

「やらかしたタイミングが2010年12月の1週目だったのがよかった。次の週にボーナスが出たんです。これが再起資金になりました。もちろん全額突っ込むことはせず、10万円を2倍にするといった練習を積み重ねました」。成果が少しずつ表れ、翌年2月に初めて月ベースで勝つことができた。翌月、東日本大震災に見舞われたが、うまく乗り切ることができたことでトレーディングに弾みがついた。

ひろぴーさんのすごいところは、ここで調子に乗らず、“FX脳"を鍛えることに徹したことだ。

「短期、中期、長期とトレードの練習をして、どの取引方法が自分に合っているのかを探りました。成績は勝ったり負けたりだったんですが、根拠はないものの、あと一歩だなという感触があって……」

ちょうど、コップにたまった水があふれるように、2012年7月あたりから毎月勝てるようになった。株式投資やビットコイン取引なども並行して手がけながら、アベノミクス相場にも乗って順調に勝ち進んだ。

「トレードにも自信がついてきたので、FXトレードバトルに参戦しました。兼業トレーダーを1年間続けたところ、原稿料などの副収入も増えて、会社員の年収を超えるようになったので、2015年に会社を辞めたんです」

トレードバトルで多くのギャラリーに見られているプレッシャーは「半端なかった」けれど、それが自信につながり実力がついたという。

投資スタイルは数日間から数週間で売買するスイングトレード。レバレッジも原則1倍。正確にトレンドを読むことが重要になる。

そこでひろぴーさんは、初心者には“旬の投資対象"を選ぶことを勧めている。「タイミングは関係なく、思った方向へ動くので楽ですよ。今ならビットコイン/円を買って放置しておきます」。

ただ、“旬の投資対象"が自分の思い込みだと悲劇だ。

「そこは難しいですね。情報を集めて、ファンダメンタルズを把握し、世界のキャッシュフローがどこへ向かっているのかを分析すると、トレンドが見えてきます」

ちなみに、注目通貨はロシアルーブルの買いで、相手通貨は円。政策金利が高いため、受け取る金利も魅力だという。

トレーダーFILE2 為替鬼さん

スキャルピングと逆張りで利益を狙う

「数秒~数分単位の超短期のスキャルピングがトレードスタイル」という為替鬼さんがFXを始めたのは教育業界にいた2001年の冬ごろ。バーチャル口座を使ったFXコンテストに参加してどっぷりハマり、「通勤時、信号で止まるたびにトレードをするという、ありえないこともやってました。リアルマネーで運用を始めたのは翌年の春です」。

当時は、スプレッドが広く、別途に手数料がかる時代だったため勝てなかったが、2007年以降、米ドル/円のスプレッドが1p ip 以下というFX業者が出始めて「大きく勝てるようになりました」。その腕を見込まれ為替鬼さんはプロになる。「証券会社で自己勘定取引を行なうプロップトレーダーとして働きました。しかし、さまざまな取引上の制約があるので勝ち続けるのは非常に難しいと感じました」。そこで独立して、「プロップハウス」を立ち上げた。

為替鬼さんの成功例、失敗例を見ると“FX脳"の働きがよくわかる。まずは成功例から。EU離脱を問う国民投票のとき、大方の予想は「離脱反対」だったため、離脱賛成に賭けてポンドを売った。

「開票速報を見ながら、賛成派と反対派の差が開くたびにポンド売りを入れ、おもしろいくらいに勝ち続けました」。

次に失敗例。先の米国大統領選挙ではトランプ大統領誕生による、ドルの大暴落という「事前予想に対する逆張り」で臨み、開票が進むにつれて「米ドル/円を売り増していった」。大きな利益が積み上がっていたが、トランプ大統領の誕生が決定定な開票状況になると、一転して米ドル/円が急上昇。「トランプ大統領誕生=米ドル/円の大暴落の思い込みが強すぎてその反転上昇に対しても強気で売り向かったため、結果的に大損してしまいました」。このときの教訓は貴重だ。今年はフランス大統領選挙に注目。「ルペン氏が当選するとユーロが暴落する可能性があり、今年の勝負どころ」と考えているそうだ。

トレーダーFILE3 秋川匡人さん

年間12%の利益を目標に連続注文

「トレード12」というウェブサイトを主宰している兼業トレーダーの秋川匡人さんがFXを始めたきっかけは、キャッシュバック狙いで複数の口座を開設したことによる。2013年4月ごろ、超短期売買のスキャルピングという手法で米ドル/円を逆張りして「おもしろいように勝ち、3週間程度で資金は3倍に。FXなんて楽勝だぜ、と本気で思っていた矢先に、まったく勝てなくなった」という。

同年7月、マネースクウェア・ジャパンの「トラリピ」(イフダン〈新規と決済を同時に発注する注文〉に、リピート〈注文を繰り返す機能〉とトラップ〈一度にまとめて発注できる仕組み〉を搭載した発注管理機能)の存在を知り、豪ドル/円の買いを始めた。

その後、売買コストの低いFX会社を探し、現在は「マネーパートナーズのパートナーズFXnano口座で連続予約注文を出しています。連続予約注文は、同じ設定のイフダン注文を最大20連続で事前にセットできるもので、使い方によってはトラリピ型の連続発注をきわめて安いコストで運用できるからです」

秋川さんは低いリスクで年利12%を実現することを目標に「トレード12」を運用しており、「昨年の4~12月の9カ月間で年利12%をおおむね達成できました。これ以上のハイリターンを求めると、口座を防衛できないリスクが高まるので、年に12%、月に1%のリターンを目安に、運用を続けていくつもりです」

現在はより収益性が高い運用を見つけるためにループイフダンと連続予約注文を同設定で運用している。通貨は豪ドル/円。

「連続発注においては一番運用しやすい通貨ペアだと思います。月足の超長期チャートでレンジ相場になっているからです。証拠金に対する変動幅も広く、買いならスワップもそれなりにつきますよ」

昨年後半のトランプ相場では「急激な上下動があったおかげで、いつも以上の利益確定があった」という。ただし、ボラティリティー(価格変動率)が高まるほどリスクも増すので、何よりも飛ばない口座資金、安全なトレード計画が重要と秋川さんはアドバイスする。

トレーダーFILE4 えつこさん

日々のイメトレで想定外の動きに対応

えつこさんは日々のイメージトレーニングで“FX脳"を鍛えている。「今でも毎日、エントリーのステップや予想と逆に動いた場合のトレーニングをしています。相場が思った方向に動かないときは、絶対にトレードしないように意識してます。もし損をしても勢いがあるときに必ず取り戻せる、と自分のトレードルールを信じて次の勢いを待ちます」。通貨は、「その時々で注目されたファンダメンタルズに応じた取引通貨を選んでいます。今は米ドル/円、ユーロ/円が多いですね」。

えつこさんは9月から子供支援投資事業のファンド運営に携わり、貧困層の高齢者救済も目指す。FXのおかげで「困っている方たちを支援したい」という夢がかなう。

トレーダーFILE5 しましまさん

トレンドに沿って強い通貨を買う

デイトレードを得意とするしましまさんが手がける通貨は、米ドル/円、ユーロ/円、ユーロ/米ドルなど。今年4月以降の相場は、「高値圏にある株価がさらに上昇を続けるのか、また各国の金融政策も意識します。トランプ政権は不透明だし、欧州や中国にも懸念材料があり、何かがきっかけで大きくリスク回避方向に進む可能性もあります」。

そこで、平素からリスク管理を徹底し、トレンド(強い通貨を買い、弱い通貨を売る)に沿った取引を心がけることをアドバイス。