ネットマネー 2017年6月号より一部を特別公開!

トランプ大統領の大規模なインフラ投資が注目されているが、インフラ投資は日本国内でもワイドに進展中。東京五輪関連だけでなく、今年度からは全国の高速道路の補修が本格化。関連株の動向は見逃せない。急騰銘柄がワンサカ?今月もピタッ!!と当たる株ニュースに注目だ。

ピタッ1 今月の「長続き株テーマ」
為マグネシウム電池の実用化を制する企業が世界の産業界の覇者に!

マグネシウム電池は現在主流のリチウムイオン電池に比べて生産コストが低く、小型化が可能という利点がある。高電圧化の難しさが開発のネックだったが、技術的な課題も次々とクリアされており、今年は実用化が大きなテーマとなりそうだ。

電池はスマホなどのモバイル端末だけでなく、電気自動車にも用いられる。電池の性能はスマホの稼働時間や自動車の走行性能に直結するため、この分野を制した企業が世界の産業界の覇者となると言っても過言ではないだろう。

現行のリチウムイオン電池は小型高性能化を着々と進めてきたが、技術開発がかなり向上したため、ブレイクスルーと呼ばれる画期的な技術革新の余地は小さい。一方で、希少金属であるリチウムの単価が高いため、電池製造コストの低減ペースも落ちてきたのが実情だ。

一方、マグネシウム電池は燃料電池の一種で、金属マグネシウムと酸素を極材に、食塩水を電解液に使う。材料コストが低いのが最大の利点である。昨年10月にはホンダと埼玉県産業技術総合センターが、繰り返し充電できる2次電池としての実用化にメドをつけたと発表した。株式市場ではその直後に関連銘柄を物色する動きがあったものの、買いは長続きしなかった。

ただ、電池は汎用性が広く、株式市場では長続きするテーマといわれている。リチウムイオン電池は10年を超える人気材料だった。バッテリー大手のジーエス・ユアサ コーポレーションが2008年の上場来安値から翌年に上場来高値まで駆け上がったように、時として大相場になるのも電池株の特長だ。関連銘柄の本命はマグネシウム合金の日本金属。ほかにも関連銘柄はあるが、いずれも知名度の低い中小型銘柄のため、資金が集まれば株価は急騰しやすい展開が予想される。

一方、マグネシウム電池の実用化が近づくにつれて、リチウムイオン電池関連の銘柄は売られていくだろう。そのため、負極材で世界首位の日立化成を外して、日本金属などに分散投資する展開が予想される。(植草まさし)

ピタッ2 今月の「○○で、ございます!」
米粉の輸出に自民党が本気。応援ソング歌手は超有名なあの人のアンドロイド!?

3月1日の自民党「農林水産流通・消費対策委員会」で、テイチクミュージックが制作した故・三波春夫さんの音声データからつくられたバーチャルアーティスト「ハルオロイド・ミナミ」の歌声が流れた。その曲は「米粉の応援ソング」。実は、この「米粉」を日本の新たな輸出食品にするため、与党・自民党が本気で力を入れている。

米粉の消費量は国内年間2万トン程度で推移している。一方、欧州などを中心に世界の消費量で約7・5億トンといわれる小麦については、小腸に炎症を引き起こすセリアック病の原因としてグルテンアレルギーの問題が顕在化。そこでノングルテンの米粉がパンやケーキの原料として注目されているのだ。

この3月の自民党部会では、世界初となる「米粉のノングルテン表示ルール、用途別基準」などについて議論された。グルテンを含まないことを示す新たな表示をすることによって、国内・海外のグルテンアレルギー患者に向けてアピールし、米粉の利用拡大を図るためだ。

政府は2016年度に国産米粉メーカーやそれらの米粉を利用する食品メーカーなどが活用できるよう「米粉の用途別基準」「ノングルテン米粉製品表示ルール」のガイドラインを公表した。

今後、4月以降に統一の用途表示による米粉の販売が開始される。民間での認証機関が設立され、認証機関により承認された米粉製品についてはノングルテン表示が付されて販売・輸出が行なわれる。米粉への理解が深まり、消費が活性化される可能性が大だ。乾麺やミックス粉など米粉強化の鳥越製粉は糖質オフの健康重視の商品戦略を推進してローソンへも提供。この鳥越製粉を筆頭に、昭和産業、日本製粉など関連銘柄に商機が広がっている。 (竹中博文)

ピタッ3 今月の「バトンタッチ」
東京五輪再開発は初期工程のピーク越え、次は外装関連株の出番!

東京五輪まであと3年余り。都心部の再開発が急ピッチで進んでおり、大手ゼネコンの鹿島が3月になって駆け込み的に業績予想を上方修正したほど繁忙だったもよう。

その工事現場では、測量や老朽ビルの解体といった再開発の初期工程はピークが過ぎたとみられ、今は建物本体の建築関連企業が大忙しのようだ。

そこで、外壁材大手のニチハに注目。同社は、住宅用のほか商業ビルや学校など大型ビルの施工実績も豊富だ。マンション建設が高水準で推移していることもあり、2018年3月期の業績急拡大が期待できる。

ちなみに、外壁材など外装の後は内装や電気工事業者が潤う番。その次にオフィス用品業者の仕事が増えて、最終局面では清掃や警備などビル管理会社が契約数を伸ばすことになる。頭に入れておこう。(伊地知慶介)

ピタッ4 今月の「〝漁夫の利〞濃厚?」
産業用ガスのトップ企業、大陽日酸のビジネスチャンス急拡大の可能性が!

大陽日酸は4月にスタートした中期経営計画で積極的な成長目標を掲げているが、海外の同業他社の経営統合でビジネスチャンスが拡大する〝漁夫の利〞を得る可能性がある。

3月に開いた説明会で前2017年3月期より国内で1000億円の、M&A(企業の合併・買収)を含めて海外で1200億円の増収を掲げ、配当性向の引き上げも示唆。一方、世界2位のドイツと3位の米国の同業者が経営統合を決定したのだが、北米や欧州で統合会社の合計シェアが高すぎるため独占禁止法に触れる可能性がある。事業売却なら大陽日酸が買い取る公算大。 (森田陽二郎)

ピタッ5 今月の「連想ゲーム」
ヤマト運輸の宅配便問題で注目されたロッカー関連は東京五輪対策でも有望?

3月上旬にヤマト運輸が発表した宅配便のサービス見直しは、ネット通販業界に波紋を投げかけ、メディアでも大きく取り上げられた。過酷な労働環境はこれまでにも認識されており、再配達の時間指定やサービス別価格などの見直しに、消費者を含む世論は〝宅配業者寄り〞の論調が主流である。ヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングスの株価は、収益改善と労働環境改善の効果 を期待して見直し発表後に上昇した。

この再配達問題から波及して物色テーマとなったのが、宅配ロッカー関連株だ。

実際にヤマト運輸は駅などに設置するオープン型宅配ロッカー事業に昨年から乗り出している。また、現在はマンションなど集合住居に需要が限られている宅配ロッカーだが、再配達に対する利用者の引け目や同情的な世論をバックに、アパートや事業会社、個別住宅などに拡大する可能性が高い。日本郵便などライバル配送会社も対策に乗り出している。単なるロッカー製造だけでなく、電鉄など大企業グループと組んだ動きも顕在化し始めた。

ちなみに、宅配ボックス関連企業は2020年の東京五輪開催を前にコインロッカー不足対策でも追い風を受ける期待が大きく、意外な相場テーマに育つ可能性を秘めている。(大庭貴明)

ピタッ6 今月の「慎重派」
業績予想が保守的な傾向のマブチモーターはさっそく上方修正か?

マブチモーターは小型モーターで世界最大シェアを誇る。ただ、会社は業績予想を保守的に見積もる傾向が指摘され、2017年12月期の第1四半期(1〜3月期)の決算発表時にさっそく期初予想の上方修正をしてくる可能性がある。売れ筋は単価の高い自動車部品用モーター。なかでもパワーウインドー用の引き合いが強く、業績を押し上げている。

会社計画では、2017年の世界の自動車販売予想を前年比2・5%増と、市場規模がほとんど拡大しないことを前提に業績見通しが立てられているので、実際には3〜5%程度の成長を予想する声が多い。想定為替レートが1ドル=108円と市場実勢より円高に設定されたことから、1ドル=110〜115円程度でも為替差益が発生するとみられ、四半期決算ごとに業績予想を引き上げてくるだろう。

また今後も自社株買いを継続するとみられ、EPS(1株当たり利益)の底上げが続きそうだ。

投資家の懸念はトランプ大統領による国境税構想だろう。ただ、同社のメキシコ工場の生産能力は売上高比率では10%にも満たない。米国とメキシコの関係悪化で株価が極端に値下がりしたら、買い場とみてよさそうだ。 (木島 隆)

ピタッ7 今月の「長期投資家好み」
積水ハウスが豊富なキャッシュを使った株価上昇に向けた態勢へ!

株主への利益還元は、経営の最重要課題といえるだろう。ところが、優良企業で知られる積水ハウスが総還元性向(配当と自社株買いの合計÷純利益)を引き下げ、市場の話題になっている。

本業は国内外ともに好調に推移しており、2018年1月期は営業利益が過去最高を更新する見通しだ。ただ、2月には米国企業を買収したほか、中期経営計画では増益目標を掲げており、株主還元と利益成長を両立する従来の経営スタイルを脱し、豊富なキャッシュを成長投資に使って株価を上げる方向へ舵を切ったとみられる。同社のPBR(株価純資産倍率)は1倍台前半とかなり低く、自社株買いに適した水準にある。しかし、自社株買いで強引にPBRを引き上げるより、企業を大きくしていくほうが長期投資家から歓迎されるだろう。 (東 亮)

ピタッ8 今月の「いれたて」
コンビニのコーヒーマシン刷新で富士電機にまたしても大特需が!

低迷していた富士電機の株価が反転上昇したのは2012年末。きっかけはアベノミクス相場だが、それだけではない。セブン-イレブンがこの年発売した、いれたてコーヒー「セブンカフェ」が大ヒット。今や年間9億杯を誇るヒット商品の〝コーヒーマシン〞を供給したのが同社なのだ。

セブン-イレブンは今年2月、セブンカフェの新商品「ホットカフェラテ」などの発売を開始。これに伴い新型マシンを導入するとし、今年中に全国店舗でマシンを刷新する。富士電機はまたしても特需を手にする公算が大きく、その業績への寄与は今期となるはず。また、同社はコーヒーマシンのノウハウを活用し、ダシを抽出できるマシンも開発。コンビニへの供給を目指しており、コーヒー革命に続き、コンビニ発の〝みそ汁革命〞などが実現する日も近い!? (真行寺知也)

トップの生セリフBUY or SELL

配当か成長かは、慌てないでちょうだい。
上場は10年かけて準備、ライバルはディズニー

2016年3月16日
ほぼ日
代表取締役社長
糸井重里氏
ほぼ日の上場会見で、コピーライターの糸井重里社長は配当か成長かを問われると「慌てないでちょうだい」と、成長一辺倒とは一線を画す姿勢を示した。多才な糸井氏だが、会社経営について「10年かけて準備した。力士のちゃんこ屋と同じ目で見られるのが嫌だった」と語り、経営に全力投球することを強調。「株価の上下ではなく、ずっと株を持っているうちに大きくなっていることが大事」と、長期投資家に理解を求めた。ライバルは米国のディズニーだという。

やり方を変えていく。
地方店舗は今のままでは生き残れず…。不動産事業を拡大

2016年3月13日
三越伊勢丹ホールディングス
代表取締役社長(会見時は専務)
杉江俊彦氏
4月1日付で三越伊勢丹ホールディングスの社長に就任した杉江俊彦氏の仕事は、経営の抜本的な見直しだ。業績低迷が続く地方店舗は「今のモデルでは生き残れない」と指摘。「活用されていない優良不動産がまだたくさんある」として、百貨店に次ぐ収益源として不動産事業の拡大に力を入れていく方針を示した。

そのとき株は動いた!

東京個別指導学院は首都圏を中心に小中高生向けの個別指導塾を展開して業績が好調だ。塾は高校生向けが半数以上を占め、中学性向けが約4割の構成。教室は全国に232カ所を開校し、首都圏(92カ所)を中心に、愛知、大阪、京都、兵庫、福岡にも展開している。

4月上旬に発表される前2017年2月期業績は、生徒数の増加を狙って首都圏に新規開校を積極化したことで高水準の売上高を維持したもよう。経常利益は過去最高益である2007年5月期の24億円にほぼ到達しており、10期ぶりに過去最高益を更新する見通しだ。

個別指導に特色を有していることから講師の採用や教室の開校コスト等がかさむが、文章教室や英検対策講座などサービスを拡充させることで売上高を維持してコストを吸収する見通し。

また、前期の配当は前々期の記念配を普通配に切り替え実質2円増配が見込まれている。

株価は昨年8月の安値530円を底に、約7カ月上回り、同安値の2倍を超えたあたりから加速し、一気に1500円オーバーまで伸びた。この加速の背景には、足元の通期決算の堅調さによる安心感と、今2018年2月期の業績見通しが最終利益で2ケタの伸びを持続するとの期待からだ。

目標株価は連日の過去最高値更新でイナゴ投資家(短期で材料株の回転売買を繰り返す個人投資家)が集中していることから計測が困難ではあるが、昨年の下げ幅の3倍返しである1300円台をすでに超えたことで、2000円台をにらんだ相場展開も想定される。

●かわい・たつのり
カブドットコム証券投資ストラテジスト。毎週火曜のネットセミナーが大人気。テレビやラジオにレギュラー多数。大阪国際大学で講師も務める。著書に『株の五輪書』(マガジンハウス)。

今月の爆上げ株3連発

1 アンリツ(東証1部・6754)

4G(第4世代携帯電話)の普及期にすさまじい上昇相場を演じた同社。約7年が経過し、ついに新世代5Gへの期待が織り込まれ始めた。5GはIoTを想定した初の規格。中国通信大手が巨額投資を計画するほか、国内大手証券も「5G整備計画が加速」とレポートで指摘し始めている。

2 早稲田アカデミー(東証1部・4718)

昨年8月末から約半年間にわたり、学習塾を運営する進学会による同社株の買い集めが発覚(約5%強)。株価1200円台でも市場で買い付けており、その本気度がうかがえる。売り上げ規模では約4分の1の進学会による、〝小が大をのみ込む〞M&Aへと発展するか要注目!

3 KeePer技研(東証1部・6036)

運営するカーコーティングと洗車の「キーパーラボ」の店舗増加が業績に表れ始めている。リピーター効果は店舗開店2年目からで、これを同社では「2年目のジャンプ」と呼ぶ。うるう年だった前年比で1日少なかった今年2月も全店売上高が19%増に。ジャンプ店舗が増殖中だ!

株業界の番猫・みけこさんの兜町キャッツアイ

第108回 AIで売買審査

東証が売買審査にAI(人工知能)の活用を考えているにゃ。今まで人の手でやっていた怪しい売買のあぶり出し作業をAIに任せて、人間はもっと高度で面倒な作業に集中するんだって。

東証の担当者さんはすべての売買を審査して、「疑わしい注文はシロと言い切れるまで調べる」っていう姿勢。でもってクロ、つまり違法な注文があれば証券会社経由で警告してもらったり、証券取引等監視委員会に通報したりするみたい。シロとかクロとかがあっても、ミケはないんだにゃあ。

最近はコンピューターを使った超高速取引の普及で売買注文が多くなりすぎて、東証の手に負えなくなるかもしれないから、AIを導入するんだって。もしかすると、これまで人手不足で見逃してしまった不正売買があるのかもしれないにゃ。

東証では今のところ、日立製作所とNECのシステムを比べて、どちらが優れているかを見極めているみたい。両方とも不正パターンをAIが自分で学習して、使えば使うほど不正発見能力が上がるというシステムなんだって。

それにしても猫もしゃくしもAI。AIで足りないときは猫の手を貸してあげるにゃ。そうそう、猫は芸を覚えないから頭がよくない説があるけど、これは間違い。芸を覚えるのが苦手なんじゃなくて、最初から芸を覚える気がないだけなんだにゃ。

株ピタッBLACK

「一運、二金、三度胸」を持つ大人向けR指定ページ。
思惑株、裏ネタなどハイリスクな情報を凝縮した。
兜町をさまよう黒い噂、その真意は…。
株ビギナーと心臓の悪い人は読まないでね!

金融庁が地銀を検査。再編圧力の強化か…

十六銀行、北越銀行、フィデアホールディングスの地方銀行3行に金融庁が特別検査に入ったと報じられた。これら3行に限らず、マイナス金利下での融資収益の低迷を埋めるために、地方金融機関は外債などでの運用を積極化している。しかし、金融庁にとっては運用に伴う含み損は銀行経営の安定性を揺るがす不確定要因と映るようだ。

十六銀行の有価証券評価損益を見ると、昨年末時点で外債などをカウントする「その他」で262億円の含み損が出ている。昨年3月期末の30億円から悪化し、年間の経常利益を帳消しにする規模である。ただ、株式の評価益も厚く、運用有価証券のトータルでは含み 益となっている。

北越銀行も「その他」「債券」の含み損の合計額は経常利益とほぼ同額で、ここだけをクローズアップすると確かに不安に思えてくるが、実際にはほかの資産のプラス分があるので、十六銀行と同様にトータルでは含み益となっている。

資産運用の世界では、分散投資した全資産の損益合計でプラスを狙う。全資産の評価益を狙うようでは、逆に全資産の評価損の可能性もあり、かえって危険だ。

このため、含み損のある金融機関への特別検査に対しては、同業他社からも「本来は資産全体で損益通算して評価すべきところを意図的にマイナス面ばかりを見ている」と不満の声が強い。

金融庁の立場では、検査はあくまで予防的なもの。今後、米国では年内にあと2回の政策金利引き上げが予想されている。米国の金利が急上昇して外債の価格が急落すれば、せっせと投資してきた日本の金融機関の財務状態が悪化する。このため、運用状況やリスク管理体制を調べておく必要があるというわけだ。ただ、地銀からすれば、金融庁検査の結果、不正が指摘されなくても、検査自体が強大な圧力になる。地銀各行は今後、外債の積み増しには慎重な姿勢を取らざるをえないだろう。

金融庁はすでにカードローン残高の膨張について銀行業界に警鐘を鳴らしている。かつての消費者金融ほどの高利ではないが、必要のない額を貸し付けたり、支払い能力が不十分な顧客にも融資したりする例があるという。

東京五輪終了後の地価動向を懸念?

また、アパート・マンションなど不動産融資の比率が高すぎることも金融庁は問題視しているという。バブル期の転売目的の不動産ブームとは違って相続税対策という実需に裏づけられた融資なのだが、特定業種の融資比率の上昇を金融庁は快く思っていないようだ。これは金融庁が東京五輪後の地価動向を懸念したものとみられるが、問題視されると銀行業界全体が不動産融資に慎重にならざるをえない。2015年に就任した森信親(のぶちか)金融庁長官は根っからの地銀再編論者。週刊誌の地銀再編特集も、森氏が作成した地銀経営分析「森ペーパー」が下地になっている。金融庁長官ポストは通常2年の任期だが、森氏は3年目の続投が濃厚だ。

金融庁が外債投資や不動産融資に加え、変額保険の販売など地銀の新たな収益源に次々と牽制球を投げているのも、統合を渋る地銀の背中を押すのが狙いかもしれない。

大手地銀の幹部が言うには「結局は企業に融資せよという圧力だろうが、審査のハードルを下げて、融資を断った顧客にお金を貸しても、不良債権の山になることが目に見えている」。地銀の収益の本格的な回復は金利体系が正常化するまで待つ必要がありそうだ。

西日本の地銀幹部は「ここで目をつけられたら、不本意な経営統合案を押しつけられかねない」と警戒する。マイナス金利の長期化が予想される中、地銀の融資採算向上は容易ではない。

天海源一郎の10万円株ストップ高のサイン点滅!

政治がマーケットを動かす要因になり続けている。一見、当然のように思えるが、実は常にそうではなく、日本では政治がマーケットに無視される時期もあった(例:民主党政権時)。しかし今、世界中の右を見ても左を見ても「政治」だ。

ここでまず認識しておきたいのは「枠組み」だ。トランプ大統領の任期はたっぷり4年あり、トランプ氏は大統領であり続ける。欧州では重要な選挙が相次ぎ、フランスでは5月に新大統領が誕生する運び。日本の安倍政権の任期は2018年12月までだが、通常、任期満了を待たずに解散総選挙となる。そして自民党総裁としての安倍氏の任期は、総裁選を経て2021年9月までになる可能性が高い。

欧州を除くと今年、トップが代わることはない。日米の政治状況は安定していくものと考えている。日本で解散総選挙が実施されたとしても、与党の勝ち負けは問題視されないだろう(つまり、与党が圧勝)。そうした中で、かつての法則が久々に復活するかもしれない。それは「総選挙時に“政治銘柄"が上がる」というものだ。足元で唯一の政治銘柄は麻生財務相に縁のある麻生フォームクリート(1730)だが、10万円では投資ができない。やはり公共事業とつながる建設株ということになるだろう。橋梁と超高層マンションに強みを持つ三井住友建設(1821)、中堅ゼネコンのピーエス三菱(1871)、海洋土木の五洋建設(1893)、さらに道路大手の大林道路(1896)あたりまでが対象になりそうだ。

てんかい・げんいちろう●
株式ジャーナリスト、個人投資家。
推奨銘柄が掲載後にストップ高を連発することから“Mr. ストップ高"の異名を持つ。
http://tenkai.biz/

はみだしピタピタ

その1●大阪ガス(9532)が中期と長期の経営計画を発表した。中期経営計画では、2020年度までに7000億円の大型投資を予定して攻めの経営を前面に押し出した。一方の長期経営計画では、最終年度となる2030年度の経営利益目標を今2017年度の3倍にする、と意欲的。ガス会社など公益企業株は成長性への期待が薄い一方、株価の底堅さや安定配当が期待できるディフェンシブ色が濃く、同社のシナリオ通りなら超成長株に変身する。

その2●全国の高速道路で基礎部分に相当する床板の交換が本格化する。総事業費は2030年までに1兆6000億円と推計され、この分野では業界首位のピーエス三菱(1871)に注目が集まる。高速道路をめぐっては、現行100キロの最高速度制限を120キロに引き上げる方向で社会実験が予定されており、路盤強度を高めるための基礎工事が追加されるという思惑も。

その3●倉庫精練(3578)は「上場廃止の猶予期間」に入っており、4月の平均時価総額と4月末の時価総額がともに10億円を回復することが上場維持の条件だ。上場廃止リスクに直面して株価は一時100円を下回っていたが、資本増強に成功すれば、株価急騰の可能性がある。「継続前提に関する重要事象あり」のほか、3月上旬には昨年8月の筆頭株主による全株売却が発表されるなど、先行きの不透明感は強い。

その4●UACJ(5741)は2月に公募増資と売り出しによる流通株数の増加を嫌って株価が急落した。増資に伴う売り出し後、結局は下落分を取り戻す銘柄が多いことから、UACJの今後の株価の動きにも注目が集まっている。3月に出来高の増加を伴って株価が反発の兆しを見せているので、今後は増資前の水準に向けて緩やかに回復か。また、今2018年3月期は北米など海外投資が収穫期に入りそうだ。

その5●東京五輪前の都心再開発などで建設業界の業績好調が続き、投資家は増益で得たキャッシュの行方に関心を寄せている。大成建設は自社株買い、大林組は不動産投資などと使い道を鮮明にしているが、大手ゼネコンでは清水建設(1803)が未定のまま。すでに連続増配を実行しているが、発行済み株式数が多いので、自社株買いのほうが投資家に歓迎されそうだ。