ネットマネー 2017年6月号より一部を特別公開!

日本の〝株〞から世界の〝KABU〞までプロの投資戦略&予測を誌面中継 来月の日本株はどう動く? 世界の市場ではどんなことが起こっている? 日々めまぐるしく動く国内外の経済情勢を解説&予想する「サテライト」連載。 前半は日本株メインの投資戦略を3連発、後半は先進国やアジアなど気になる海外の国にスポットライトを当てながら、フレッシュな情報を「誌面中継」します!

1ドル=100円でも今期は増益確保の予想

4月は3月期決算の発表シーズン。大手証券系シンクタンクは、2018年3月期の上場企業の経常利益を15%程度の伸びと予測する。ただ、企業統治の指針を示したコーポレートガバナンス・コードの浸透で、業績予想は一段と保守的になりそうだ。

今期の予想増益率は12・6%(大和証券)から15・7%(SMBC日興証券)。昨年12月予想より3ポイントほど増益率が高まっている。1ドル=1円の円安で経常利益が0・5%程度膨らみ、想定為替レートは1ドル=115円程度。大和証券は1ドル=100円のでも増益と試算している。円安による輸出採算の改善に加え、建設や小売業といった内需型企業も増益が予想されている。

ただ、期初の会社発表は例年になく渋い内容が予想される。大幅増益予想がはずれた場合の責任を問われかねないからだ。目立ったマイナス要因がないのに減益予想を出してくる企業は狙い目だろう。

一方、今期から決算短信の簡略化が認められる。業績予想の項目縮小や非開示に走る企業はアナリスト説明会で批判を浴び、株価にも悪影響が出そうだ。

国内市場はこう動く…まとめ

  1. 4月下旬から2018年3月期の業績予想が次々判明
  2. 証券系シンクタンクは経常利益で12〜15%増と予測
  3. 会社発表の通期見通しは一段と保守的な内容に

極右勢力が連敗すればユーロが買い戻される

フランス大統領選挙の第1回投票が4月23日に実施される。5月7日には決選投票を迎え、極右政党・国民戦線のルペン党首とマクロン前経済相の一騎打ちが予想される。ルペン氏は反EU(欧州連合)を掲げ、支持を伸ばしてきた。世論調査では、EU離脱決定に否定的な層を中心に国民戦線への反感が強い。

ただ、トランプ米国大統領の当選から連想されるように、選挙は必ずしも世論調査通りにはならない。決選投票の5月7日まで日本は連休中。このため、5連休を前にした5月2日はリスク回避姿勢が強まり、株式の手じまい売りと、円買い・ユーロ売りが増えそうだ。特に最近はイベント前になると株式より為替のほうがよく動く傾向が強い。大統領選前後は為替レートの乱高下が想定される。FX(外国為替証拠金取引)投資家にとって腕の見せどころだろう。3月のオランダ総選挙では、すでに極右政党が敗退。フランス大統領選挙でも極右勢が敗退すれば、ユーロ体制を揺さぶる高いリスクが消えたことになる。これまでユーロ投資に慎重な雰囲気が強かった分、反動でユーロの買い戻しが急速に進みそうだ。

世界市場はこう動く…まとめ

  1. 大型連休最終日の5月7日にフランス大統領選の決選
  2. 連休前にリスク回避傾向が強まり株売り・円買いか
  3. 最近のイベント後の傾向は「株より為替が動く」

1今月の投資戦日本株

大型株をメインに考える
世界最大級の政府系ファンドが買った日本株〝全銘柄〞が判明!

総資産100兆円のうち6割を国外の株式に投資しているノルウェーの年金基金がホームページで内訳を公開している。個別の銘柄名や保有量まで、英語ではあるがすべて見られるとは太っ腹!ぜひあなたの持ち株をチェック。

ノルウェー政府系ファンド=尊敬すべき世界最高の機関投資家

外国人投資家といっても、長期投資する年金系マネーと短期売買で収益を稼ぐことだけを目的とする投機マネーの2種類が存在します。日々の売買の約7割を外国人投資家が占めることもあり、日本株の方向性は外国人投資家の動向に依存しがち。ただ、投機の売買は買ってもすぐ売るため、長期の方向性に影響しません。長期で資金を投じる海外の年金系マネーこそ、日本株の行方を左右する存在といえます。

その中でも、最大級の規模を誇る外国人投資家として有名なのがノルウェー政府年金基金(以下、SWF=政府系ファンド)。日本でいうところのGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)ですが、その運用方針には決定的な違いがあります。それは、自国の株には投資をしないという〝鉄の掟おきて〞を設けている点。ノルウェーは石油や天然ガスの収入が国を支えているため、万が一その収入が得られない事態に陥ったとき、国内企業の株に投資をしていると共倒れとなるからです。

SWFの投資先の6割以上は株式なのですが、昨年10月にSWFは株式投資のウエートを引き上げると発表。そして今年の2月末にSWFの基金を管理するノルウェー銀行が投資先の内訳を開示しました。日本株の保有額は昨年末時点で約5・8兆円。年間ベースでは7年ぶりに減少しています。

こういった情報をノルウェー銀行のホームページから誰でも入手できることをご存じですか? しかもリアルタイムで更新されているのです!開示情報によると、昨年末時点でSWFは日本株を1443銘柄保有しています。驚くべきは、1443銘柄のすべての情報をA〜Zの社名順で並べていること。社名をクリックすると、いつから保有しているか、保有比率がどう変化したか、発行済み株式数の何%を保有しているかを開示 しているのです。日本でもGPIFが今年7月より保有銘柄を開示するようですが、ぜひSWFの素晴らしい開示っぷりをお手本にしてもらいたいもの。

興味深いのは、SWFが保有する1443銘柄の中に年金が買うなんて想像できないような中小型株がかなり含まれていること。東証マザーズの銘柄も多く、上場したばかりのIPO(新規株式公開)株も買っています。大型株では、トヨタ自動車はほとんど変化しておらず、第一生命ホールディングスを昨年初めて買ったこと、ファナックをけっこう売却したことがわかります。巨額の損失が判明した東芝は保有したままのようです。中小型株では、昨年11月に上場したばかりのWASHハウスを買っていたり、コロプラやエイチームなどを下落局面で買い増していました。CYBERDYNEやミクシィは容赦なく売っていたようですし、そーせいはいまだ買ったことがないことも判明。

ぜひ、みなさんの手持ちの株を世界最大級の外国人投資家が持っているのか、持っているとしたらいつ買ったのかを調べてみてください。見ているだけで時間を忘れるほど楽しいですよ。

2今月の投資戦日本株

独自ランキングから考える
ユーロ/円相場に株価が敏感に反応する銘柄とは?

昨年、株式市場や為替市場を震撼させたのは、ブレグジット(英国のEU〈欧州連合〉離脱)とトランプ氏の大統領当選。打って変わって、今年は欧州の選挙が大きな波乱要因だといわれている。ならば、ユーロ/円相場に敏感な銘柄に注目せよ!

選挙結果次第では一気にユーロ売りが進む可能性も!

米ドル/円相場が注目されがちですが、今回はユーロ/円相場に対する感応度の高さで銘柄をランキングしました。なぜなら、欧州では春から夏にかけて選挙が相次ぎ、その結果が為替相場にも大きな影響を及ぼしうるからです。

3月中旬に実施されたオランダの総選挙では、極右政権化がどうにか食い止められました。次いで、フランスの大統領選挙の第1回投票が4月下旬、決選投票が5月上旬に実施される予定です。フランスの選挙は、第1回投票で過半数を獲得した候補が出ればすんなりと大統領が決まり、誰も届かなかった場合には上位2名による決選投票が実施される仕組みになっています。今回の第1回投票では、極右政党のルペン党首が勝利する可能性を指摘する声が少なくありません。

大統領に選ばれた暁にはフランスのEU離脱を問う国民投票を実施すると公言しているだけに、ルペン党首の躍進は為替市場にもただならぬ混乱をもたらす恐れがあるでしょう。ユーロ売りが加速すれば、対円のみならずあらゆる通貨に対してユーロ安の展開となるかもしれません。

さらにその先を見据えると、8〜10月にはドイツの連邦議会選挙が控えています。もしも、CDU(キリスト教民主同盟)が第1党の座を追われてメルケル首相が退陣に追い込まれれば、EUの存続はいっそう危ぶまれることになるでしょう。このように、春以降は欧州の政治から目を離せない状況が続いていきます。

選挙結果次第で急激にユーロ安・円高が進めば、同通貨ペア相場への感応度が高い銘柄には、おのずと売り圧力が強まります。また、昨年のブレグジット決定直後は英ポンドが一気に売り込まれたものの、対円では2度の小反発を挟んで 12月には、一時23円以上も戻す展開を遂げています。

したがって、欧州の選挙結果に応じて、ユーロ/円相場への感応度が高い銘柄にカラ売りを仕掛けるのも一考でしょう。あるいは、ユーロの急反発を見越して先回り買いを入れるという戦略も考えられます。そこで、ユーロ/円相場の影響を受けやすい機械、電気機器、輸送用機器といったセクターに的を絞ったうえで、個々の銘柄の感応度を調べてみました。

上位3社の感応度の高さが目立っている!

ランキング結果の1位のマツダは、当然ともいえる結果でしょう。同社のスポーツ車は欧州でも高い人気を誇っていますし、国内生産が主体で輸出が占める割合が高くなっています。対象的に、海外での現地生産に重きを置くトヨタ自動車や日産自動車、ホンダはいずれも上位20社に入っていません。むしろ意外だったのは、4位にSUBARU(旧・富士重工業)、5位に三菱自動車が入ったこと。さほど欧州のウエートが高くないにもかかわらず、グローバルにその名を知られた時計のセイコーホールディングス(2位)や、海外売上高比率が90%超に達している竹内製作所(3位)に次ぐ感応度の高さです。

以下はさまざまな分野で世界的なシェアを獲得している企業が名を連ねており、ほぼ順当といえる結果です。2輪車で世界2位のヤマハ発動機(8位)や、建機で世界3位圏の日立建機(12位)、電子制御横編み機で世界最大手の島精機製作所(16位)などがその典型例だといえそうです。

一方、10位のデンソー、14位のジェイテクト、20位の東海理化と、自動車部品メーカーも複数ランクインしています。15位の東芝テックはPOS(販売時点情報管理)システムで世界首位ですが、目先の動きは要注意。深刻な経営悪化に苦しむ東芝が保有株を売却するとの観測が出ているからです。

エレクトロニクスでも、予想外の企業がランクインしています。17位のパナソニックで、海外売上高比率においては同社よりも欧州の占めるウエートが高いソニーが圏外だっただけに、不思議に思う読者もいることでしょう。為替対策の違いなどが感応度の差を生んでいるのかもしれません。

また、18位に複合機のコニカミノルタが入っていますが、同じ分野でもっと欧州市場で存在感を放つキヤノンは圏外です。ほかにも空調のダイキン工業や自転車部品のシマノも欧州市場に強いという印象が強いものの、どちらもランクインしていません。

なお、数々の選挙を経ながら秋口に差しかかってくると、金融政策も為替に影響を及ぼす可能性が出てきます。ECB(欧州中央銀行)が量的緩和の解除に踏み切ることが考えられるからです。それに伴い、急ピッチでユーロ高が進む展開も考えられそうです。

このランキングの結論

  1. 選挙次第で感応度の高い銘柄のカラ売りや逆張りに妙味がある。
  2. 欧州での売上高比率が高い企業の感応度が高いとは限らない!
  3. 金融政策転換で秋口以降はユーロ高も起こりうる。