ネットマネー 2017年6月号より一部を特別公開!

昨年末から続いた〝トランプ相場〞にも、やや陰りが見え始めた3月の外国株相場。単なる踊り場か、思わぬ調整を迎えるのかが気になるところだ。今月も外国株投資にまつわるホットな話題を盛りだくさんにお届けします!

NYダウが一時2万1000ドル突破も政策への失望感が広がる

3月の外国株相場は、トランプ大統領の政策に対する期待からNYダウが月初めに2万1000ドルの大台を突破したものの、その後、政策の実現性への疑問が広がったことから月末には再び2万ドル台に押し戻された。中国でも5〜15日に開かれた全人代(全国人民代表大会、国会に相当)でさほど大きな材料が得られず、中国本土株式市場の主要インデックスである上海総合指数は月間でほぼ横ばい(0・6%安)となった。なお、中国本土企業も多数上場する香港のハンセン指数は1・6%まで上伸した。

トランプ大統領は2月28日の議会演説で、大規模な減税やインフラ投資の推進を提言。これが好感されて、翌3月1日のNYダウは2万1115ドルと、史上初めて2万1000ドルの大台を突破した。

しかし、演説内容に具体性が乏しかったことへの失望感などから、早くも6日には2万1000ドルを割り込み、公約として掲げていた「オバマケア」(オバマ前政権による医療保険制度改革)の代替法案が見送られる公算が大きくなったことを受けて、21日には前日比237ドル安と大幅下落した。結局、トランプ氏は同法案の提出を撤回した。

一方、中国では3月1日に国家統計局が発表した2月のPMI(製造業購買担当者景気指数)が市場の事前予想を上回るなど、景気減速の底打ち感は鮮明になりつつあるが、インパクトのある材料に乏しく、方向感の定まらない相場が続いている。全人代では技術革新が経済改革の重点項目として打ち出されたものの、関連銘柄の株価への影響は限定的だった。

東南アジアでは、インドネシアのジャカルタ総合株価指数が3月29日に過去最高値を記録。翌30日にはベトナムのVN指数が723ポイントと終値ベースで9年ぶりの高値を更新した。

今月の注目株 米国の景気拡大は ASEAN株にも追い風!

政権基盤が盤石なインドネシア、フィリピンなどが有望

米国トランプ大統領の保護主義によって、世界経済は〝一人勝ち〞する米国と、総崩れするその他の国々に二極化するとの懸念が強まっている。

だが、「『米国第一主義』を掲げて米国内に産業を呼び戻そうとしても、人件費の高さが障壁となることは間違いありません。相対的に低賃金のアジア諸国から産業がドラスティックに流出する可能性は低いといえるでしょう。むしろ、トランプ政策によって米国の景気が拡大すれば、その恩恵を受けてアジア経済はさらに発展するはずです」。

そう語るのは、シンガポールを拠点にアジア全域の株式などを運用するフィリップキャピタルマネジメント(シンガポール)のジェフリー・リー・チェイ・オングさん。

ジェフリーさんがアジアの中でも特に成長期待の大きな市場とみているのはインド。「ここ数年の経済成長率は7%台と中国よりも高く、都市化や中間層の拡大などによって今後も高成長が持続しそうです」(ジェフリーさん)

一方、東南アジアでは、盤石な政権基盤に支えられて長期計画に沿った経済発展を推し進めているインドネシア、フィリピンなどの国々に注目しているという。

「インドネシアは、ジョコ大統領の強力なリーダーシップの下でインフラ投資が積極的に推進され、通貨ルピアも安定しています。最近、世界のコモディティ(商品)価格が上昇していることも、資源輸出の多いインドネシアには追い風です」(ジェフリーさん)

同じようにフィリピンも、国民人気の高いドゥテルテ大統領が不十分な国内インフラの整備に力を入れている。1970年代初めの日本が田中角栄の強烈なリーダーシップの下で列島改造を推進したように、道路や鉄道、電力網といったインフラ整備は、さらなる成長の起爆剤となる。その意味でジェフリーさんは「やはりインフラ関連銘柄が、アジア株投資における注目株」だと指摘する。

アジアのインフラ株の中で、ジェフリーさんが特に注目しているのは2016年11月上場のベトナム空港総公社。ベトナム国内の22空港を独占運営しており、同国政府による支援も厚い。

「外資系企業が中国から、より賃金の安いベトナムなどに生産拠点を移転させる『チャイナプラスワン』の動きは続いており、ベトナムの空運物流量や空港利用客数は今後も拡大するはず。同銘柄にとっては大きなチャンスが広がっています」(ジェフリーさん)

また、個人消費関連ではタイ最大手の飲料メーカーでシンガポール市場に上場するタイ・ビバレッジに注目しているという。

「タイ国内のみならず東南アジア全域で販売を伸ばしており、大きな成長が期待できます」(ジェフリーさん)

米国株を買わないのはなぜですか?

米国の女性下着ブランド「ヴィクトリアズ・シークレット」のことを知っている人はいても、販売している企業の名前を知っている人は少ないだろう。その名は「エル・ブランズ」。日本の老舗、ワコールと対決!

日米、女性向けアパレル対決に注目!

「ヴィクトリアズ・シークレット」は日本でも有名

米国を代表する女性向けのアパレル企業といえば、エル・ブランズが挙げられます。

同社の主力ブランドは下着や香水などを取り扱う「ヴィクトリアズ・シークレット」で、日本でも知名度があります。また、ボディーケアやバスグッズが豊富な「バス&ボディワークス」もあり私も職場でお土産にもらったことがあります。

さて、対抗の日本は、なんといっても1946年創業の老舗、ワコールホールディングスが代表的です。同社は古くからあるブランドですが、若年層から幅広くターゲットに合わせたブランディングを行なっています。傘下には通信販売のピーチ・ジョンがあります。

まず、各指標について、エル・ブランズは自己資本比率がマイナス。いわゆる債務超過ですが、収益の減少というよりは、中国市場への先行投資、ヴィクトリアズ・シークレットならびにバス&ボディワークスの店舗への投資負担の影響が主要因でしょう。ただ、過去5期の平均では、エル・ブランズのほうが強いです。チャートは昨年は下降トレンドでしたが、反転上昇が期待できそうです。注視したい銘柄のひとつでしょう。

## スパイシ〜・マ〜ケットの歩き方 ## 第61味 インド ### 高額紙幣廃止で景気悪化も回避。堅調さと安定性に前進するインド ### モディ政権の進展で海外投資マネーの呼び込みをより可能に 今年2月末に公表された、インドの2016年10〜12月期の実質GDP(国内総生産)成長率の速報値は、前年同期比でプラス7%となりました。この結果は市場予想を上回り、国内外で少し驚きをもって迎えられたのです。  というのも、2016年11月に政府は突如として最高額紙幣の1000ルピー札と、2番目に高い500ルピー札を廃止。流通紙幣のおよそ8割を占めていた高額紙幣刷新による混乱の影響もあって、事前のGDP予想は6%台まで後退するという見方が多かったからです。 経済への悪影響というリスクを負ってまで紙幣の刷新を行なった理由ですが、インドでは現金決済が商取引の約9割を占め、銀行を介さないお金の流れによってマネーロンダリング(資金洗浄)や、偽札の流通といった問題を抱えていたことが大きな要因です。 また、キャッシュレス化の推進によって、クレジットや電子マネーなどの産業を振興させる狙いもあります。 導入時には、新紙幣の印刷が間に合わず、市場の一部に混乱が生じましたが、モディ政権の経済政策は、3月に行なわれた地方議会選挙で与党のインド人民党(BJP)が圧勝している結果から、おおむね国民の支持を得ているようです。 そのほか、モディ政権の目玉政策「GST(物品・サービス税)」も導入が間近とされています。これは、州ごとに異なる複雑な間接税を一本化するというもの。実現すれば企業の事業コストや手続きが大幅に軽減されて、インド経済に恩恵をもたらすと期待されているものです。

このように、足元のインドの状況を眺めてみると、比較的堅調な経済状況と政権基盤の安定化の流れがスムーズになっている印象です。実際、選挙後のインドの主要株価指数、インドSENSEX指数は2万9648ポイントと過去最高値をつけました。

さらに、インドは米国の「トランプ政権リスク」の影響を受けにくいという一面も持っています。インド経済は内需主導型の経済成長を志向していることもあり、輸出依存度が周辺の新興国に比べて低い水準にあります。GDPに占める輸出比率は20%台で、これはマレーシア(約85%)やタイ(約75%)などと比べてもかなり低く、今後トランプ政権が保護主義色を強めたとしても、他国に比べると影響を受けにくいといえます。

米国の利上げ加速による資金流出懸念も、モディ政権によるビジネス環境を改善する政策が進展することで、逆に海外からの資金を呼び込むことも可能になることでしょう。