ネットマネー 2017年6月号より一部を特別公開!

政権基盤が盤石なインドネシア、フィリピンなどが有望

 米国トランプ大統領の保護主義によって、世界経済は〝一人勝ち〞する米国と、総崩れするその他の国々に二極化するとの懸念が強まっている。

 だが、「『米国第一主義』を掲げて米国内に産業を呼び戻そうとしても、人件費の高さが障壁となることは間違いありません。相対的に低賃金のアジア諸国から産業がドラスティックに流出する可能性は低いといえるでしょう。むしろ、トランプ政策によって米国の景気が拡大すれば、その恩恵を受けてアジア経済はさらに発展するはずです」。

 そう語るのは、シンガポールを拠点にアジア全域の株式などを運用するフィリップキャピタルマネジメント(シンガポール)のジェフリー・リー・チェイ・オングさん。

 ジェフリーさんがアジアの中でも特に成長期待の大きな市場とみているのはインド。「ここ数年の経済成長率は7%台と中国よりも高く、都市化や中間層の拡大などによって今後も高成長が持続しそうです」(ジェフリーさん)

 一方、東南アジアでは、盤石な政権基盤に支えられて長期計画に沿った経済発展を推し進めているインドネシア、フィリピンなどの国々に注目しているという。

「インドネシアは、ジョコ大統領の強力なリーダーシップの下でインフラ投資が積極的に推進され、通貨ルピアも安定しています。最近、世界のコモディティ(商品)価格が上昇していることも、資源輸出の多いインドネシアには追い風です」(ジェフリーさん)

 同じようにフィリピンも、国民人気の高いドゥテルテ大統領が不十分な国内インフラの整備に力を入れている。1970年代初めの日本が田中角栄の強烈なリーダーシップの下で列島改造を推進したように、道路や鉄道、電力網といったインフラ整備は、さらなる成長の起爆剤となる。その意味でジェフリーさんは「やはりインフラ関連銘柄が、アジア株投資における注目株」だと指摘する。

 アジアのインフラ株の中で、ジェフリーさんが特に注目しているのは2016年11月上場のベトナム空港総公社。ベトナム国内の22空港を独占運営しており、同国政府による支援も厚い。

「外資系企業が中国から、より賃金の安いベトナムなどに生産拠点を移転させる『チャイナプラスワン』の動きは続いており、ベトナムの空運物流量や空港利用客数は今後も拡大するはず。同銘柄にとっては大きなチャンスが広がっています」(ジェフリーさん)

 また、個人消費関連ではタイ最大手の飲料メーカーでシンガポール市場に上場するタイ・ビバレッジに注目しているという。

「タイ国内のみならず東南アジア全域で販売を伸ばしており、大きな成長が期待できます」(ジェフリーさん)