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地震の補償を手厚くするなら

地震火災費用特約 vs 地震危険等上乗せ補償特約

地震保険と地震危険等上乗せ補償特約で損害全般の補償を

教えてくれたのは、ファイナンシャル・プランナー

金子千春さん

CHIHARU KANEKO 日本長期信用銀行(現・新生銀行)を経て、2003年に独立。保険の見直しや住宅ローン、資産運用の相談、セミナー講師として活躍中。

地震の補償を特約で上乗せする商品が増えている

 東日本大震災から6年、熊本地震から1年がたちました。首都直下型地震は、30年以内に70%の確率で発生するともいわれます。地震に対する不安から、地震保険の加入者が増えています。

 地震保険は単独では加入できず、火災保険の契約時にセットで加入する形ですが、損害保険料率算出機構によると地震保険の火災保険への付帯率は2015年度で60・2%。東日本大震災が発生した2010年度の48・1%と比べ12・1ポイント増えました。

 保険料が割高といわれ、加入を見送る人も多い地震保険ですが、逆に最高でも火災保険金額の50%と、自宅を再建するには不足する保険金の増額を求める人も多く、保険料は高めですが、地震の補償を特約で上乗せできる商品が増えています。

 この特約は火災保険に付けますが、大きく分けて2つのタイプがあります。地震が原因の火災のみをカバーする特約と、地震が原因の損害全般をカバーする特約です。

 今回はこの2タイプの特約を比べながら、地震保険だけでは不十分な地震への備えについて考えてみましょう。

地震火災費用特約と地震危険等上乗せ補償特約の違いは補償範囲

 火災保険は地震による火災は補償しません。ただ、火災保険には建物が半焼以上となるなど一定の損害を受けたときに保険金が支払われる「地震火災費用保険金」という仕組みがあります。しかし、受け取れる保険金は火災保険金額の5%、上限300万円と少額です。

 建物の耐震性が高く、津波による損害の可能性は低いが、火災のリスクには備えたいという場合、「地震火災費用特約」(下の表参照)などを付けると、地震が原因の火災もカバーできます

 保険金は、火災保険金額の最高50%まで増やすことができ、地震保険と合わせると、建物の復旧ができるレベルの金額が受け取れます。

 住宅ローン返済中に地震に遭い家が倒壊すると、倒壊した家のローンを返済しながら同時に新居のローンを返済するという二重ローンを負ってしまうこともあります。

 そんな場合、、火災に限らず、津波や損壊、液状化などの地震が原因の損害全般をカバーする「地震危険等上乗せ補償特約」があります。

保険金の支払いは地震保険と同様、2017年の契約から全損、大半損、小半損、一部損の4区分。受け取れる保険金の最高額は地震保険とわせると火災保険金額と同額となり、建物の復旧ができるレベルの保険金を確保することができます。

地震補償保険「リスタ」を地震保険の上乗せとして利用する方法も

「火災保険とのセットではなく、単独で契約できる少額短期保険の地震補償保険『リスタ』を地震保険の上乗せとして利用する方法もあります」と助言するのは、FPの金子千春さんです。

 補償額は家族構成により異なり、最大900万円。ほかの損害保険と異なり、被災時の損害調査は地方自治体が発行する「り災証明書」によって行なわれます。

 全壊(満額)、大規模半壊(全壊の2分の1)、半壊(全壊の6分の1)という3区分の損害認定で、一部損では支払われません。

「三井住友銀行などでは『〈自然災害時返済一部免除特約付住宅ローン〉』を取り扱っています。地震や噴火、津波などの自然災害によって損害を受けた場合、最大24カ月分のローン返済相当額を免除する約定返済保障型と、「全壊」の認定を受けた場合、住宅ローン残高の50%相当を免除する残高保障型があります。地震保険、特約、地震補償保険を併せて総合的に検討する必要があります」(金子さん)

 約定返済保障型は住宅ローン金利に年0・1%、残高保障型は年0・5%と金利が上乗せされますが、二重ローン対策には有効です。

保険料控除も要チェック。地震火災費用特約の多くは控除の対象外

 地震保険そのものは政府と損害保険会社が共同で運営するので、どの会社でも補償内容や保険料は同じです。しかし、上乗せ特約などは会社によって異なるので、各社で保険料の見積もりを取り、比較検討することが必要です。

 また、地震保険料は所得税で最高5万円、住民税で最高2万5000円が所得控除されますが、地震火災費用特約の多くは控除の対象外、「リスタ」も対象外です。

 積極的に地震の補償を手厚くするなら、地震危険等上乗せ補償特約は補償範囲が広く、保険料も控除対象です。今回は地震危険等上乗せ補償特約に軍配が上がります。